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5.荷物持ちだと思っていたのに荷物持ちではなかった-3-
しおりを挟む「翠耀様?何故、僕に女物の服を?」
「ホクトであれば似合うと思ったからだ」
「僕、額と腹部に花の痣なんてありませんけど?」
「それは分かっている。だがホクトの雰囲気と身体つきは母上よりも柔らかくてほっそりとしているから絶対に女物の服が似合うと思うのだ」
翠耀さんと仕立て屋に来たのだけど、てっきり私は翠耀さんが飯店に行く為に服を新調するのだと思っていたのよ!?
それなのに・・・どこをどうすれば私の服を買う事になるのよ!?
しかも女物!
いや、仕立て屋さんで売っている服はオートクチュールだけど、どれもデザインが洗練されているし、着心地だって素晴らしいものかも知れないわよ?
しかし・・・何で翠耀さんは某ゲームに出てくる某舞姫が着ている服を選んだの?
さらしを取れば胸の辺りはスカスカにならないけど、今の私は男として振舞っているから女物の服を着る訳にはいかないもの。
「店主、彼に似合いそうな女物の服を頼む」
「翠耀様!?」
何の理由もないのに貰う訳にはいかないと私は断るのだけど・・・。
「これとこれを着てくれないか?」
翠耀さん!
当事者である私を無視して店主さんと話を進めないでよ!!!
って言いたいけれど、悲しいかな。
雇い主に逆らえない立場にある私は翠耀さんが勧める服を試着するしかなかったの。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(何だか不思議な気分だわ・・・)
某舞姫を彷彿とさせる服を着た事でコスプレイヤーだった頃を思い出した私は久し振りに気分が華やぐのを感じたわ。
(もし私がこの服を気に入って買ってしまったら給料から天引きされるのでしょうね・・・)
ビッグイベントやコスプレパーティーならともかくプライベートでコスプレをした事がないもの。
(・・・女だとばれないかしら?)
気分が華やぐと同時に気恥ずかしさと不安を覚えてしまった私は試着室で座り込んでしまったわ。
「ホクト?着方が分からないのであれば手伝うが?」
「だ、大丈夫です!服の着方くらい分かります!」
「そうか。俺が選んだ服を着て娘娘のように麗しくなった姿を見せてくれないか?」
「ぼ、僕は翠耀様が期待する娘娘のように麗しくありません!翠耀様は僕を笑うに決まっています!」
女物の服を着た事で女装(?)しているお嬢様よりも女らしく見える雰囲気を纏っている事に気が付いた私は普段着に着替えようとしたの。
「!?」
「ホクト!・・・・・・君は妖艶な月の娘娘だ!」
着替えようとした時に試着室の扉を開けられたものだから普段着に着替える事が出来なかった私は某舞姫っぽいコスプレをしている自分の姿を翠耀さんに見られてしまったわ・・・。
ビッグイベントとかコスプレパーティーならその場の雰囲気とノリがあるし、何よりコスプレしているキャラになりきっているから何とも思わないけど、日常生活でコスプレしているところを見られるのは恥ずかしい以外の何者でもないわ!
「こ、こんなに露出がある服は、恥ずかしい、です・・・」
「確かに・・・。このように肌の露出が多い服は俺と二人で居る時だけにした方がよいな」
「翠耀様?」
今、何か変な事を言わなかった?
「次はこれを試着してくれないか?」
そう言った翠耀さんが私に渡してくれたのは白と青のグラデーションが美しい漢服だったわ。
これだったら某舞姫のような衣装と違って肌の露出が少ないから恥ずかしくないかな?と思った私は試着する事にしたの。
「翠耀、様・・・」
着替えた私は試着室の扉を開けて翠耀さんに見て貰ったわ。
「ホクトは清楚な中に艶を含んだ色香を纏っている花の娘娘だ!」
今日、私は学んだわ。
お世辞とはいえ露骨に褒められるのは恥ずかしいという事を──・・・。
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