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7話
しおりを挟む祖母の為に花束を作った花畑で花の冠を作ったり
森林浴を楽しんだり
ハーブや山菜を採ったり
人間では踏み入れる事が出来ない山の険しい場所に行ったり
夏には川で水遊びをしたり
ウォルフから異国の話を聞いたり
採ったハーブでお茶を作ったり効能を教わったり
花が咲き乱れる春から葉が生い茂る夏へ
太陽が最も強く輝く灼熱の夏から天が高いと感じる秋へ
季節が一つ、また一つ過ぎて行く。
森の木々が緑から赤や黄色へと変わり作物が実る秋を迎える中、二人は兄と妹のような付き合いをして順調に絆を深めていった。
そんなある秋の日
「ウォルフお兄ちゃん。これ、お母さんと一緒に魔女をイメージした服を作ったのだけど・・・似合っている、かな?」
ヴィルヘルミナの部屋では、今夜の精霊祭り(日本で言うところのお盆に当たる)の為に作ったという赤と黒を基調にしたゴスロリ魔女っ娘の衣装に身を包んだヴィルヘルミナがウォルフの前で恥ずかしそうに顔を赤らめながら立っていた。
(か、可愛いーーーっ!!!)
流石は俺の未来の嫁(何れプロポーズするとはいえまだしてない)!!
今すぐ獣人の里に持ち帰ってヴィルヘルミナを食べちゃいたい(性的に)!!!
でも嫁はまだ子供だから食べる訳にはいかない!
味見なら許されるよな!?
精霊祭りの為に魔女っ娘の仮装をしているヴィルヘルミナは可憐でありながら男を誘惑するかのように小悪魔的な可愛さもあったものだから、ウォルフは心の中で七転八倒しつつしっかり欲情していた。
「ウォルフお兄ちゃん?」
(ヴィルヘルミナ・・・っ!)
触り心地が良さそうな柔肌
桜色に色づいた口唇
本人は無自覚なのだろうが、ヴィルヘルミナが纏う少女の色香がウォルフの欲望を煽り、本能を刺激する。
「・・・っ!」
「お、お兄ちゃん!?ウォルフお兄ちゃんの頭から耳が!それに牙と尻尾!瞳が・・・っ!」
緑色の瞳が金色に変わり、人間にあるはずのない物が突然ウォルフに生えてきたものだから、思わず声を上げそうになったのヴィルヘルミナの口元をウォルフが慌てて自分の掌で塞ぐ。
「隠していて済まない、ヴィルヘルミナ」
自分は何百年も前から森の奥の───人間では踏み入る事が出来ない場所(町というより都市レベルに発展している獣人の里・鬱蒼とした原生林を通り抜けても結界が張っているので辿り着けない。隠れ里というか異界みたいな感じ)に棲んでいる狼なのだと、耳と尻尾をシュンと項垂れさせながらウォルフが正体をヴィルヘルミナに打ち明ける。
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