カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

文字の大きさ
96 / 465

㉖酵母-8-

しおりを挟む









 「「「「では・・・」」」」

 四人はフォークで刺したシーフードピザを口に運ぶ。

 「海老と烏賊のプリッとした食感と旨味が溶け込んでいるクリームみたいな白いソースとチーズ、パリッとした食感の生地。全てが一つになって、まるで舌の上で楽を奏でているようだ・・・」

 「確かにこれはワインの肴になるな。いや、シュルツベルクの名物として売り出すというのもありじゃないのか?」

 「それ、いいですね!海の幸を使ったパン、売れると思います」

 南方のパンも具材を変えるだけで馳走になるとランスロットが言っていたが、それは事実だった。

 シーフードピザが気に入ったのか、アルバートとアルベリッヒがお代わりを頼む。

 「最後は、カスタードプリンに似たクリームを載せた平たいパン・・・」

 「「「「では・・・」」」」

 給仕達が一口サイズに切り分けたピザを口に運ぶ。

 口に広がるのはカスタードプリンに似たクリームのコクのある甘さ、パンに似た生地の柔らかくてもちっとした食感。

 ケーキやタルトとは異なるスイーツに四人はただ舌鼓を打っている。

 「カスタードプリンに似たクリームと果物って合うのではないかしら?」

 甘いクリームと、甘さの中に酸味を感じさせる果物との相性はいいはずだ。

 夏の果物の一つである葡萄は皮が付いたままで、桃は切って持ってくるようにと、ロスワイゼが給仕の一人に命じる。

 「お待たせいたしました」

 暫く待っていると、給仕の一人が葡萄と桃を盛っている皿を持ってきた。

 給仕の一人がテーブルに置いていくと、四人は早速カスタードクリームに葡萄を載せたピザを食べてみる。

 「これは・・・」

 「やはり、このクリームと果物って相性がいいのね」

 タルトとは違った食感に、カスタードプリンに似たクリームの適度な甘さにロスワイゼが満面の笑みを浮かべる。

 次に四人は桃を載せたピザを口に運んだ。

 葡萄の時のように、桃とクリームは相性が良かった。

 「俺は桃とクリームのピザが好みだな」

 「私はクリームだけのピザの方が好みだ」

 「僕は全部ですね」

 桃とクリームという組み合わせ、葡萄とクリームという組み合わせ、クリームだけにはクリームの、それぞれの良さがあるのだと男性陣は談笑しあうのだった。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










「サユキお嬢様、レイモンド様。旦那様達に酵母液を使って作ったパンと、海の幸とカスタードプリンに似たクリームを載せた平たいパンは好評でしたよ」

 「良かった・・・」

 給仕の言葉に紗雪は安堵の息を漏らす。

 「紗雪殿、明日の試食で父上達に出すパンとピザは決まっているのか?」

 「ええ。明日の試食にツナ・・・マグロのオイル漬けを使った包みピザ・・・カルツォーネと、明後日の試食にちくわを使った総菜パンにしようと思っているの」









しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。

SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない? その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。 ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。 せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。 こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

処理中です...