カフェ・ユグドラシル

白雪の雫

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閑話8.ミルクパン粥と卵とじうどん-4-

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(あれ?何で私は寝込んでいるの?これは何かしら?)

 自分の額に何かが乗っている事を感じた紗雪がそこに手を当ててみると、温くなっている湿った布が乗っていた。

(・・・・・・そうか。そうだったわね。寝込むなんて情けないわ)

 思い出した紗雪は己の体調管理がなっていなかった事と自分の不甲斐なさに対して心の中で愚痴を零す。

(レイモンド・・・レオルくん・・・クーくん・・・)

 クローヴィスはミルクを飲んでくれるだろうか?

 レオルナードはレイモンドと遊んでいるだろうか?

 子供達の面倒を見ながら家事をするのはレイモンドの負担になっていないだろうか?

「紗雪?・・・起きていたのだな。熱は・・・まだあるな。もうすぐで昼食の時間になるからミルクパン粥を作ったのだが食べられるか?」

 普段使っている夫婦の寝室とは別の個室に入って来たのは、クローヴィスをおんぶしているレイモンドとレオルナードだった。レイモンドは自分の額を紗雪の額に当てて熱を測る。

「え?ええ・・・」

(今の私・・・熱、ではなく恥ずかしさで顔が赤くなっているわよね?)

 少し熱っぽいがお粥の類なら何とか口に出来る紗雪はレイモンドの問いにそう答える。

「まぁま!れお、ぱぁぱとつくったの」

「レオルくん?」

「いっしょにたべよ!」

「え?レオルくんがレイモンド・・・パパと一緒にミルクパン粥を作ったの!?」

「ああ。ダイニングに行くのが難しいのであれば持って来るが?」

「ダイニングまで行くわ」

 喉が痛い、咳が出る、鼻水が出るといった症状があれば夫と子供達に風邪を感染うつさない意味で紗雪は個室で食べようと思っていたのだが、疲労から出た熱だから感染する事はないと思う、多分。

 二人が作ったミルクパン粥を楽しみだと思いながら紗雪はガウンを羽織るとダイニングに向かって歩いていく。

 神よ、あなたの慈しみに感謝いたします

 たーしましゅ!

「レオルくん、偉いね」

 クローヴィスを揺り籠に寝かせた後、食事前の祈りを捧げる幼いレオルナードを褒めるレイモンドと紗雪は傍から見れば親バカだと思うかも知れない。





 褒めるべきところは褒める

 怒る時はちゃんと理由を言う





 これをモットーに二人は子供達を育てているのだ。

 食事前の祈りを捧げた三人はミルクパン粥を口に運ぶ。

「美味しい・・・」

 優しい甘さの牛乳の風味を感じるパンは口の中で溶けるように柔らかい。

「この黄金色のソースは・・・蜂蜜よね?でも私が知っている蜂蜜より甘さがさっぱりしているのに深みとコクを感じるわ」

「アルフィーさんから分けて貰った蜂蜜を加えてみたんだ」

「アルフィーさん!?という事はフォレストベアによる養蜂の蜂蜜・・・」

 王侯貴族に富豪ですら普段使い出来ない高級蜂蜜を使ったと日常会話のように宣ったレイモンドに紗雪は呆気に取られるしかなかった。

「まぁま、おいしい?」

「ええ」

 紗雪の中ではミルクパン粥は赤ちゃんの離乳食、食欲がない時や身体の調子が悪い時に食べる料理というイメージが強い。

 しかしこれは朝食としても食べたいと思う。

 それに───

「本当に美味しいわ」

 今食べているミルクパン粥が今まで食べて来たミルクパン粥よりも美味しいと思うのは、夫と息子が自分の事を思って作ったからという事を感じるからだ。

「ぱぁぱ、またいっしょにつくろうね」

「ああ」

「その時は私も一緒に作りたいわ」

「何時か・・・そうだな。クーくんが歩けるようになったら四人で料理を作りたいな・・・」

「楽しみね」

 親子で料理を作る日が来て欲しい

 四人で料理を作っているところを思い描きながら三人はミルクパン粥を食べていく。







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