465 / 465
閑話9.リュミエル-9-
しおりを挟む「準男爵風情で次期ホワイトオーキッド公爵たる私の命令に従えぬとは・・・!貴様のように立場を弁えぬ者は打ち首にしてやる!!!」
「確かに私は準男爵です。ですが貴殿は生国では宰相や将軍といった類の肩書どころか何の爵位も持たぬ、父王のお情けでホワイトオーキッド公爵家に婿入りしただけの人間ではありませぬか」
それなのに何故、次期ホワイトオーキッド公爵と名乗っておられるのです?
奥方から離縁を言い出されたら、貴殿は無一文で追い出される事を理解しておられるのですか?
(いいぞ、兄ちゃん!その調子で勘違い男の心をへし折ってやってくれ!!!)
ホワイトオーキッド公爵家から追い出されたら平民として生きるしかないのだと追い打ちするレイモンドに対してアリオンが心の中で喝采を上げる。
「貴殿は、父王が貴殿の母上を愛しておられたおかげで公爵家の婿になれただけの男・・・一言で言えば平民に過ぎないのですよ?」
「ち、違う!わ、私は、私はロータスサファイア王国の、お、王子!ち、父上に、唯一愛された王子だ!!!」
「ですが貴殿は父王から王子としても、王族としても認められておられぬのですよね?」
何故、父王は貴殿を法衣であるにせよ爵位と官職を授けなかったのでしょうか?
しかも貴殿は平民でありながら皇女を娶るという大それた野望をお持ちなのですね
「~~~っ!!!」
無位無官の男に皇女が嫁ぐはずがないと、レイモンドの指摘にリュミエルの顔に憤怒の色が浮かぶ。
「う、う、う、五月蝿い!五月蝿い!五月蝿い!お前達のような蛮族が次期ホワイトオーキッド公爵たる私の妾になれるのだ!!!」
(・・・・・・へ?)
リュミエルが妾にしようとしている紗雪の手を取ったその時、彼の身体が宙に浮かび、そして───倒れた。
「婿殿!?」
(あの姉ちゃん、勘違い男に何をしたんだ?)
銀髪少女の姉と思しき女は何をしたのだろう?
女の動きが早かった事と見た事がない動きをしていたからというのもあるが、アリオンが目にしたリュミエルは脳震盪を起こしたのだろう。間抜け面を晒して気絶していた。
「貴方は私と娘を妾にしようとしていたニートの従者・・・公爵の命令で監視しているのですよね?このような男が当店に居るだけで空気が汚れてしまいますので今すぐにでも帰国して下さいね」
「は、はいっ!」
表面上は穏やかな笑みを浮かべ、言葉遣いも丁寧だが、内心は怒り狂っているのだと察したアリオンは気絶しているリュミエルを抱えて帰国するのだった。
※紗雪がリュミエルにやったのは背負い投げです。
アリオンが去ってから、レイモンドと紗雪はレスティーナをリュミエルから護る為にクリストフの元に避難させる、同時に三人をクリストフとソフィーの猶子にする話し合いをしています。
2
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
聖女追放 ~私が去ったあとは病で国は大変なことになっているでしょう~
白横町ねる
ファンタジー
聖女エリスは民の幸福を日々祈っていたが、ある日突然、王子から解任を告げられる。
王子の説得もままならないまま、国を追い出されてしまうエリス。
彼女は亡命のため、鞄一つで遠い隣国へ向かうのだった……。
#表紙絵は、もふ様に描いていただきました。
#エブリスタにて連載しました。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白くて読ませて頂いてます。紗雪さんに、いつの間にか子供が出来ててびっくりしました。これは、性女に対するストレスとかが無くなったからかな?とにかく、紗雪さんにはおめでとうと言いたいですねw
感想ありがとうございます。
性女の事は紗雪にとって最大のストレスだったのは確か。
それが解消されたのだから子供が産まれても不思議ではないです。
おもしろい!
お気に入りに登録しました~
ありがとうございます。
作品登録しときますね(^^)これからゆっくり読ませてもらいます♪
ありがとうございます。