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⑥春のキャンプ
しおりを挟む山では溶けた雪が川へと注がれ、冬の寒さに耐えた花々が色鮮やかに咲き乱れる時、都会では肌を突き刺すような冷気を含んだ風が太陽と温かさと花の香りを含んだものへと変わり、人々に春の訪れを告げる。
その頃になると、クレッセント学園ではある行事が開催される。
それは、春のキャンプである。
自然の雄大さと厳しさ、そして美しさを肌で感じて欲しいという意味で、毎年行われているのだ。
ん~っ・・・
「王都と違って、山の空気は清々しくて綺麗だな」
心が洗われるようだよ
「こうして山の空気を肌で感じているだけで、自然の偉大さと人間という存在の小ささを感じるな」
ミスリルとヴィクトワールが、緑と水の匂いを含んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。
「そうか?俺には王都の空気も山の空気も同じように感じるけどな」
お前達の言っている事は全然分からん!
「マルス・・・二人が言っている事を理解出来ない貴方は本当に脳筋ですね」
ミスリルとヴィクトワールと同じように、山の空気を美味しいと感じているアルトが幼馴染みの無骨さに頭を抱える。
「山でキャンプといえば、突然の雷雨に見舞われてしまった主人公達が山小屋で一晩過ごすというのがセオリーだったりするよね」
今はこんなに晴れているから、雨なんて降らないと思うけど
「「「「シュトローム殿下。それを言ってしまったら本当にそうなってしまいそうですので、そういう類の発言を控えていただきませんか?」」」」
お約束の展開になるような気がしてならない四人が一斉にツッコミを入れたその時──・・・
「・・・・・・雨、降って来たね?」
今まで晴れていたはずなのに、山に降り注ぐのは大粒の雨。
空を走り抜ける稲妻が、大気を震わせる雷鳴が、キャンプに来ていた教師と生徒達を恐怖に陥れ──・・・。
「いや~ん♡ダーリン、怖~い♡」
「僕が付いているよ、ハニー♡」
「雷を恐れるとは何事だ!お前達のような軟弱者の尻穴は俺の聖剣でお仕置きだ!!」
「押忍!俺の尻穴を先生の硬くて太い剣でお仕置きして下さい!!」
「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」
「こういうハプニングって連帯責任になったり、友達から恋人に発展するのもまたセオリーなんだよね~」
ここまで来たら、彼等の恋愛模様を傍観するという行為を楽しまないと損だよ
違う!
何かが違う!
教師の前に筋肉質な尻を差し出す光景を目の当たりにしてしまっただけではなく、目の前で繰り広げられる兄貴達が醸し出すピンク色の空気を楽しんでいるシュトロームの台詞に頭を抱える四人であった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「山にキャンプに行くと雨に見舞われたり遭難するが、偶然に見つけた山小屋で一夜を過ごして助かるのもセオリーなんだよな?」
「そうですね・・・」
「何故、僕達だけ外にいるんだろうね・・・?」
ある事が原因で山小屋に居る事が出来なくなってしまったミスリル、ヴィクトワール、シュトローム、アルト、マルスの五人は、春の山の寒さに震えながらも現実逃避するかのように満天の星空を眺めていた。
「先生!俺のケツ穴を先生の逞しくて雄々しい肉竿で激しく突いて下さい!!」
うほっ!
「いいぜっ!俺の剣を締め付けながら包み込むお前の肉襞は最高じゃねぇか!!」
これからも使ってやるからな!
「押忍!先生、俺のケツ穴で良かったら幾らでも使って下さい!!」
「僕・・・初めてだから、凄く怖いよ?でもね、エドワード君にだったら・・・僕の、しょ、処女を、捧げてもいいかなって・・・思っているんだ」
だから、僕を抱いて欲しい・・・
「分かったよ。実は僕も初めてだから・・・痛かったら止めるからね」
何で避難先の山小屋で事に及ぶのだろう?
そういう事はせめて自分の部屋か、連れ込み宿でやればいいのに
卒業するまで、こいつ等のショッキングピンクな空気を眺める羽目になるのか・・・?
角刈りや毛むくじゃらのゴリマッチョな兄貴の筋肉質なケツ、脛毛が濃い美少年達のファイト一発を思い描いてしまった五人は、思わず遠い目になってしまうのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
昨日の大雨が嘘であるかのように、翌日の天気は快晴で、キャンプに来ていた生徒達は山を下り寮へと戻る。
゚.+:。クラ(@O@)クラ゚.+:。
春とはいえまだ肌寒い外で一夜を明かしたせいで、五人が高熱で寝込んでしまったのは言うまでもない。
※これでこの話は終わりです。
学園祭の出し物を何にするか?で、兄貴達が給仕するカフェにしよう。
その衣装は裸エプロンにするべきか、ベビードールにするべきかで生徒達が盛り上がる話が浮かんでいたのですが、海外の学校では学園祭はないらしいのでボツになりました。
舞台が現代日本だったら、兄貴による強制猥褻罪や汚物陳列罪な体育祭や学園祭の話を書けたのだろうな・・・。
応援ありがとうございます!
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