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6話
しおりを挟むそれからの私達の人生は悲惨としか言いようがなかった。
恋人達は家族と縁を切られただけではなく婿入りした家からも離縁を言い渡された。
そのおかげで恋人達の実家の両親と婿入りした家は家畜落ちを免れたが、公爵家の乗っ取りを企んでいたと、嘘か本当か分からないが世間ではそのような噂が広がっている・・・らしい。
これも嘘か本当か分からないが、その噂に耐え切れなくなった恋人達の実家と婚家は他国へと引っ越したらしい。
それはまだマシな方で両親と三人の姉、恋人達、そして私と恋人の一人との間に出来た娘にはシナモン様が立て替えていた金と慰謝料を支払う能力などあるはずがないじゃない!
『出来ない』とシナモン様に訴えたのだけど、契約違反したのだから払わなければならないって聞く耳を持ってくれないの!
酷いと思わない!?
シナモン様に対して文句を垂れている私達に、私と恋人達が住んでいた屋敷で働いていた執事とメイドの一人が金貸し業者を教えてくれたの。
私達は執事とメイドが教えてくれた金貸し業者にお金を借りてシナモン様に払ったのだけど・・・実は二人が教えてくれた金貸しってトイチというオチつきだった。
金貸し業者から借りたお金を返す為に私達は鉱山で働いた。
だけどトイチだから鉱山で働いても働いても借金は減るどころか増えるばかり。
遂に金貸し業者に借りたお金を払えなくなった私達は・・・家畜を意味する動物の焼き鏝を押されて家畜落ちとなった──・・・。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「さっさと働け!」
「五月蝿いわね!私は公爵夫人よ!公爵夫人を鞭で叩くなんて何考えてんのよ!?」
「僕達は公爵夫人の恋人だ!」
「公爵夫人?侯爵夫人の恋人?お前達は何を言っているんだ?っていうか、何で家畜が人間様の言葉で喋ってんだ?あぁ?」
「家畜は『ブヒッ』か『モ~』でしか喋っちゃいけねぇんだ・・・よ!!!」
「ブヒッ!ブヒッ!」
「モ~!」
私達が人間の言葉を使って反論する度に、鉱山の指揮をしている男達が私達を鞭で叩くの。
これは私達だけではなく家畜落ちした人間全てに言える事なの。
それだけではなく、家畜落ちした人間が食べる事が出来るのは奴隷の残飯のみ。
奴隷は貴重な労働力だから雇う方は生活から健康方面などに気を遣い大切に扱わないといけないけど、家畜落ちした人間は家畜だから雇い主は乱暴に扱ってもいいし、仮に雇い主が家畜落ちした人間を殺したとしても罪には問われない。
どれだけ乱暴に扱われても、瀕死になっても・・・家畜は雇い主に対して文句の一つも返してはいけないの。
それが家畜落ちした人間の行く末──・・・。
私は美人だから幸せになりたかった
綺麗になる為にはお金が必要だから
お金の為だけにキモデブなシナモン様と結婚した
それなのに・・・
何で私は家畜になってしまったのかしら・・・?
応援ありがとうございます!
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