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1章 旅立ち

1-20話

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「ふわぁ……」

声を漏らした瞬間、アスランにはしたないですよと注意されたが、仕方ないと思う。
飛竜が綺麗な編隊を組んで空を行くのだ。
真っ青な空を背に綺麗な模様を象って滑るように移動していく。

「副団長様、あれは色で別れているのですか?」

王城を背にして海の上、そこをいくつかの隊が向かって行くのをセラフィリーアは目を凝らす。
竜の鱗が黒、赤、青にきらりと光を弾いた。

「えぇ、飛竜騎士も竜の色によって着る騎士服が違い、同じ色の竜で集まった方が竜同士の統率が取れて力を発揮しますから」
「陛下の竜は黒でしたよね、副団長様の子も」
「はい、その通りです。ですから陛下も私も騎乗するときには黒の騎士服を着ます」

飛竜は同じ色を好み、同じ色で群れる。
そして、ごく稀にその身体に金を穿く個体が生まれてくるが、その個体が各色の飛竜を纏める役目をするとのこと。
アイヴィスの飛竜は角が金だったような気がする。
思い出すようにセラフィリーアは無意識のうちに顎に手を添えた。

「陛下の飛竜は角が金を帯びていたと記憶していますが……」
「はい、その通りです。金を帯びた飛竜と契約した騎士は、同じ色の飛竜達を纏めます。
陛下の飛竜は角と瞳が鮮やかな金を、私の飛竜は爪が金をしています。
陛下を騎士団長とし、その下に副団長が3名、各色の飛竜毎におりますが、どの飛竜も何処かに金を帯びているのです。
ですから、陛下及び副団長は正装時は金の飾り帯を下げるのですよ」

飛竜は視覚から色を識別するため、騎士は飛竜と同じ色の服を着る。
そのため、アスランとリオルがセラフィリーアに選んだのはベージュをメインにモスグリーンの差し色が入った乗馬服だった。
色が被らないように……か。

「凄いですね……いくら見ていても見飽きません……」

それでもふと過去の記憶を呼び起こすと、確か、飛竜には激レアカラーの白がいる筈だ。
他の飛竜よりは一回り小さい個体になるが、その角と爪は黄金を纏い、神々しく感じるほどらしい。
流石にアルトリアでも出なかったのかと思いながら、空を見上げた。

「こちらにいる飛竜達は訓練をして比較的大人しくなっていますが、崖に近い方、まだ契約を結んでいない飛竜は少し気性が荒いため、あまり近寄らないでください。
また、ここだけの話ですが、卵で運ばれてきた子は金を帯びている可能性が高いのです。ですから、成竜が多く居る騎士団の中で大切にしているのです」

金を帯びた子が、もしかしたらもう2頭……

見てみたいとセラフィリーアは思うのだった。
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