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4章 想い

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「…っ、やっちゃった!」

お酒が入っていたとは言え、アイヴィス様と…。
昨夜の事はしっかりと覚えている。
あれは、誰がどう言ったって…キスだよねぇ?

ちょっとだけですまなかったキスは抱きあうようにして深くなって…って、駄目だ思い出しちゃ。

セラフィリーアはゆっくりと深呼吸をしてから立ち上がる。
今日、シュクラとアルトリアに帰るのだ。
まずは、お父様とお母様に挨拶をして…お兄様にも。
その前に。

「シュクラ?」

寝着に肩掛けを掛けてから部屋の窓を開けてバルコニーに出ると、ふわりと白飛竜が手摺へと降り立つ。
幼竜だからできること。

『ママ、おはよう』

「おはよう。今日、アルトリアに帰るからね?もうちょっとルディアスといてね?帰るときは呼ぶから。喉が渇いたら騎士のお兄さんに言えば、ジュースを貰えるから、もうちょっとだけ我慢してね?」

頬を寄せて話しかけ、ルディアスの所に行くように伝える。
きっと自分と一緒ではない方がいい。
バルコニーから飛び立つシュクラを見送ると、着替えと朝食の準備を問うため侍従が入ってくる。
それとほぼ同時にアイヴィスの来訪を告げる。
着替える為に待って欲しいと伝えて貰い、何に着替えるか選んでいく。

「お待たせいたしました」

「いえ、先触れもなく来たのは私ですから」

「宜しければ中庭で朝食をいかがですか?」

喜んでと笑みを浮かべるアイヴィスは、今日も色気駄々漏れ。
どうしたらこんな風になるんだろうと見上げると、額に軽くキスをされる。
あわあわしてしまうと、ふわりと抱き上げられて、中庭へと運ばれるが…ちょっ、中庭まで距離がありますよ?

「アイヴィス様…重いですから…あの」

俺だって男の子だよ?

「構わない。父君には許可を貰った」

へ?許可?何の…
意味がわからずにわたわたしていると、危なげない足取りで階段を降りて中庭へと向かう。
朝の強くない陽射しが気持ちいいが、それを堪能している場合ではなく。

「あ、ありがとうございました」

ベンチに下ろされると、食事が運ばれてくる。
並べられていく食事はファレナスとアルトリアと食事が混ざり品数が多い。

「ふふ、アルトリアのものとは違いますがシェフが頑張ってくれたみたいなので、アイヴィス様温かいうちにいただきましょうか」

食べましょうと言うセラフィリーアに少し驚いたようでアイヴィスは何度か瞬きをしてから笑みをつくる。

「温かい食事が珍しいのでしょうが、私が毒味をしますから、アイヴィス様はそのあとに」

皇帝ともなれば、他国では毒味後の冷たい料理ばかりだろう。ファレナスでは信用してもらうしかないが、毒など入れられた事は無い。

「いや、大丈夫だ」

少しずつ取り分けながら朝食を口にする。
会話をすると、少しの緊張は無くなった。
楽しい食事をしながらも、ついアルトリアの事を考えてしまう
それが良くなかったのか何かを引き留める声。
そして現れたのは…
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