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1章
144話
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カイルが食事を終えて、執務に向かうのを見送るまで俺は食事ができなかった。
きっと一緒に食事を始めると、俺の食事が終わるまでカイルが席を立たないのを知っている。
いくら臣下が優秀であっても、カイルがやらなければならないことは多々あるのだし、俺にだって仕事はある。
この国へ来たときのように龍神へ祈りを捧げるだけではないのだ。
「カイル、いってらっしゃい」
寝台の上から頬に触れるだけのキスをして、愛する伴侶を送り出す。
謁見の仕事が入っていないのがせめてもの救いだ。
「あぁ、行ってくる」
心配そうな表情のカイルにいってらっしゃいと手を振ると、カイルは後ろ髪を引かれるように何度も俺を見ていたが漸く部屋の外に出た。
静に扉が閉まると、俺はアスミタを呼んだ。
「アスミタ、食事はテーブルでいただくから、軽く摘まめるものとお茶を。それと一緒に地図を用意して?」
「テト様、休まなければ……」
「うん、これだけやったらね?」
テーブルに広げて貰った地図には、アルーディアの街が書かれそれに合わせて新しく作られた井戸と水脈を書き足してある。
『また、仕事かえ?』
頭上から降ってきた声は、双子竜神の母である王都を守護する竜神だった。
「おはようございます」
俺は立ち上がり頭を下げようとしたが、良い良い座っておれと竜神に言われ、その言葉に素直に従った。
『何をするつもりじゃ?』
美しい青にも緑にも見える鱗が光を弾く。
竜神は本来の姿よりもずっとずっと小さな姿で空中を漂いながら地図を覗き込んでいた。
「ミリシャを国内の竜神たちに逢わせようと思いまして……何処から回ろうかと……」
『なんじゃ、そんなことか』
竜神は空中でくるりと円を描いた。
『妾が此所に呼び寄せれば良いだけじゃろう?力の弱い者は無理じゃろうが要所要所の者は直ぐに集まれるぞ?いつがいい』
その言葉に俺は驚きを隠せない。
「そんなことが出来るのですか?」
『うむ、出来るようになったのじゃ。テトが妾達の繋がりを強固にしてくれたからの』
竜神がするりと首に巻き付き、頬を擦り寄せてくる。
その仕草は愛らしい。
「少し待ってください、ミリシャにも話をしないといけませんし……」
『決まったら報告に参れ、あ。皆、焼き菓子を所望じゃ』
するりと離れて行った竜神は、ぱちんと音を立てて消えた。
「そっか、少しでも早い方がいいかもしれないなぁ」
俺はそう呟いた。
きっと一緒に食事を始めると、俺の食事が終わるまでカイルが席を立たないのを知っている。
いくら臣下が優秀であっても、カイルがやらなければならないことは多々あるのだし、俺にだって仕事はある。
この国へ来たときのように龍神へ祈りを捧げるだけではないのだ。
「カイル、いってらっしゃい」
寝台の上から頬に触れるだけのキスをして、愛する伴侶を送り出す。
謁見の仕事が入っていないのがせめてもの救いだ。
「あぁ、行ってくる」
心配そうな表情のカイルにいってらっしゃいと手を振ると、カイルは後ろ髪を引かれるように何度も俺を見ていたが漸く部屋の外に出た。
静に扉が閉まると、俺はアスミタを呼んだ。
「アスミタ、食事はテーブルでいただくから、軽く摘まめるものとお茶を。それと一緒に地図を用意して?」
「テト様、休まなければ……」
「うん、これだけやったらね?」
テーブルに広げて貰った地図には、アルーディアの街が書かれそれに合わせて新しく作られた井戸と水脈を書き足してある。
『また、仕事かえ?』
頭上から降ってきた声は、双子竜神の母である王都を守護する竜神だった。
「おはようございます」
俺は立ち上がり頭を下げようとしたが、良い良い座っておれと竜神に言われ、その言葉に素直に従った。
『何をするつもりじゃ?』
美しい青にも緑にも見える鱗が光を弾く。
竜神は本来の姿よりもずっとずっと小さな姿で空中を漂いながら地図を覗き込んでいた。
「ミリシャを国内の竜神たちに逢わせようと思いまして……何処から回ろうかと……」
『なんじゃ、そんなことか』
竜神は空中でくるりと円を描いた。
『妾が此所に呼び寄せれば良いだけじゃろう?力の弱い者は無理じゃろうが要所要所の者は直ぐに集まれるぞ?いつがいい』
その言葉に俺は驚きを隠せない。
「そんなことが出来るのですか?」
『うむ、出来るようになったのじゃ。テトが妾達の繋がりを強固にしてくれたからの』
竜神がするりと首に巻き付き、頬を擦り寄せてくる。
その仕草は愛らしい。
「少し待ってください、ミリシャにも話をしないといけませんし……」
『決まったら報告に参れ、あ。皆、焼き菓子を所望じゃ』
するりと離れて行った竜神は、ぱちんと音を立てて消えた。
「そっか、少しでも早い方がいいかもしれないなぁ」
俺はそう呟いた。
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