転移先で砂漠の王子に愛されています

梅花

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1章

147話

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ある日の昼下がり、俺は庭に出ると空を見上げた。
風もなく、雲もない晴天。
「今日もいい天気だね」
ポツリと呟くとしゅるりと竜神が現れた。
「テト、何があったのじゃ?」
水色の艶やかに染まる裾を翻し、降り立った竜神は俺の顔を覗き込んできた。
「こんにちは竜神様......何が......とは?どうかされましたか?」
「わからぬのか......お主、体調が悪かろう?」
そう言われて首を傾げた。
体調が悪い?ここ最近は体調を崩した事が無いのだけれど。
「いえ、俺は元気ですよ?大丈夫です」
自分の顔をペタペタと触ってみるも、特に熱がある訳でもない。
「そうか?まぁ良い......無理はせぬ事じゃ。双子も姫にべったりだしの?」
「えぇ、仲良く三人でおりますよ。こちらのお茶とお菓子をどうぞ、食べている間に祈りを捧げますので」
そう言いながら、絶妙なタイミングでお茶を出してくれたアスミタに目を伏せることで礼をする。
「無理はするでないが、祈りが無ければ我の力も行き届かぬ故......すまぬな」
竜神の言葉に手を振ると、俺は芝生の上を歩く。
靴は脱いで裸足で歩くと軟らかな芝生が擽ったくもある。
アスミタが小さな鈴を持ってきたが、それを断り俺はゆっくりと言の葉を音に乗せる。
今まで一番多く歌ってきた歌だ。
自然と身体が動く。
言の葉を紡ぎながら、ふと雨粒が落ちて来ないのに気付く。
竜神様が言うように体調が悪いのだろうか。
歌を止めようとした瞬間、ぽつりぽつりと雨粒が落ちて乾いた大地を濡らしていく。
降り始めの遅さに少し驚きながらも一曲歌い上げると、チクリと胸が痛んだ。
一瞬の痛みだったため、気のせいかもしれないと思いながら、そっと胸に触れてみる。
すると、既に痛みは無かった。
「ふう......」 
歌い終えると穏やかな雨が降っていた。
「テト、毎日祈ってくれるが無理はするでないぞ?伴侶が心配するゆえ......な?」
「カイルがですか?カイルの心配したがりは今始まった訳ではありませんから」
俺達が何をするにもまずカイルは心配をする。
俺はともかく、ミリシャは失敗をするのも勉強なのだと言うのに。
「そうよの......我も心配じゃが、仕方ない......ほれ、その伴侶が来たからな、我は戻ろうかの?テト、また来る」
用意したお茶もお菓子も綺麗に食べた竜神がチュッと俺の額にキスをしてから、パチンと水泡が弾けるように姿を消した。
「テト、竜神は帰られたのか?」
「うん、カイルは休憩?」
「あぁ......双子に聞いたらテトが此処だと」
自然な流れで唇にキスをする。
ふわりと抱き締められて俺はカイルを見上げた。
「うん。そうだ、ミリシャの行脚の件で話をしなきゃと思って。今夜にでも時間貰える?」
「あぁ、構わない」
カイルはミリシャの事だと言うと、心配そうに眉を潜めた。
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