10 / 94
本編
C4 けがらわしい過去
しおりを挟む
※児童への性暴力の描写があります。苦手な方はご自衛ください<(_ _)>
------------
死にたくて死にたくてたまらなかったけれども、自殺はできなかった。
日曜日ごとに通う教会で、自殺はとても罪深いもので永遠に魂が救われなくなると、繰り返し教えられて育ったからだ。
ある時ふと子供向けの冒険物語を読んでいて気が付いた。そうだ、騎士になればいい。
騎士ならば戦争で、要人警護で、都市の治安維持や都市周辺の害獣退治で、殉職する機会がとても多い。殉職ならば自殺にはならない。
だから僕は騎士になりたいと父上にねだった。初めのうちは父上たちもそんな危険な道を選ばなくても、と渋った。
それでも、年頃の少年らしさを装って騎士の活躍する冒険物語の数々を挙げ、自分もあの物語の主人公たちのような強く気高く格好良い騎士になりたいのだと熱心に語ると、渋々ながらも承諾してくれた。
父上は「騎士学校に入学できる年齢まで家にいれば良い」としきりに言っていたけれども、僕は一日も早く修行がしたいと駄々をこねた。
ちょうど見習いになるのに良い年頃だったため、すぐに王立騎士団に見習いとして入団することになった。父上は伯爵家にゆかりの深い家の私設騎士団に入れたかったらしいが、僕がどうしても王家直属の騎士団が良いと言って頑として譲らなかったのだ。
説得のために騎士の栄光やら王家への忠誠を引き合いに出したが、本音は家とできるだけ関りのない所で生きたいだけだった。
弟子入りして二年ほどは充実した日々を送っていた。
見習いから叩き上げで騎士団に入る高位貴族の子息は珍しく、目をつけられて絡まれる事も多かったが、平民出身の先輩も貴族出身の先輩同様に敬い、素直に指導に従う僕の事を可愛がってくれる人の方が多く、酷いイジメに遭う事もなかった。
次の叙任式の際には従騎士となるとの辞令も下った。師匠は貴重な身体操作魔法を使う人で、まだ見習いの僕にも手取り足取り丁寧に指導をしてくれた。
おかげで僕はすぐ簡単な身体強化魔法と治癒魔法を使えるようになった。扱いが難しいという槍斧の使い方も教えてもらった。
叙任式まであとわずかに迫った頃、同じ師匠に仕える先輩従騎士とその取り巻きの見習いたちに呼び出された。
「いつもヘラヘラして気持ち悪い」
「師匠に媚を売って特別扱いされて、貴重な身体強化魔法や治癒魔法も教えてもらって卑怯だ」
「見習いのくせに槍斧を持つなんて生意気だ」
みな口々に僕を責め立てた。
僕は先輩方もとうにそれらの指導を受けているものだと思っていたけれども、実は受けていたのは僕だけで、先輩方は武術と魔術のごく基礎しか学んでいなかった。
そして「誰にでも愛想を振りまきすり寄る売女に相応しい教育を施してやる」と言われ、全員に犯された。
全身の穴と言う穴に性器や異物を突っ込まれ、あちこち裂けて大量に出血してもお構いなしだ。あまりの激痛に泣き叫んだが誰も助けてくれなかった。何度も何度も失神したが、彼らは満足することなく朝まで入れ代わり立ち代わりさんざんに僕を犯した。
もはや立ち上がるどころか指一本たりとも動かせないほど消耗し、ぐったりとした僕は全裸のまま放置され、そのまま失神した。
発見された時にはいくつかの臓器が傷ついてかなり危険な状態だったらしい。意識が戻ったのは十日以上経ってからだった。生命をとりとめたのは、師匠が高度な治癒魔法を何度も使ってくれたからだという。
一時は腹膜炎を起こして高熱に苦しめられたらしいが、ひどい後遺症もなく、数か月のリハビリを経て僕は元通りの健康な身体を取り戻した。
精神の方は元々ひび割れていたので今更どうということもない。
僕を襲った者は一人残らず除籍となり、貴族の子息に暴行を加えたとして厳罰を受けた。どのような処罰かは教えてもらえなかったが、少なくとも主犯の元従騎士は処刑されたらしい。
師匠も弟子の監督不行き届きとのことで王立騎士団を退団し、地方の私設騎士団に入ったそうだ。その後、彼がどうなったかは知らない。誰に訊いてもわからなかった。
僕のせいで師匠の人生をめちゃくちゃにしてしまったと思うと申し訳なくて、何とか謝罪したかった。しかし、いくら父上や兄上たちにそう言っても手紙を出す事すら叶わなかった。
僕自身も意識不明の間に騎士団を退団しており、そのまま実家に帰された。
意識が戻るまでは後遺症が残るかどうかもわからなかったし、全裸で血と精液にまみれて失神している姿を多数の団員に見られたのだ。そのまま居座られてもみなどう接したら良いかわからないだろう。
もはや騎士団内に僕の居場所なんてどこにもなかった。
従騎士叙任間近ではあったが、騎士の道は諦めるしかなかった。
実家の中でも同じことだ。家族も使用人も、僕に対して腫れものを扱うように接した。
さすがにあれだけのことがあった後だ。いくら明るく振舞おうとしても無理がある。
兄たちは学園の寮に入り、休暇になっても帰ってこなかった。父も仕事に没頭し、家には僕と使用人たちだけが残された。
また僕のせいで家族がバラバラになってしまったのだ。
------------
死にたくて死にたくてたまらなかったけれども、自殺はできなかった。
日曜日ごとに通う教会で、自殺はとても罪深いもので永遠に魂が救われなくなると、繰り返し教えられて育ったからだ。
ある時ふと子供向けの冒険物語を読んでいて気が付いた。そうだ、騎士になればいい。
騎士ならば戦争で、要人警護で、都市の治安維持や都市周辺の害獣退治で、殉職する機会がとても多い。殉職ならば自殺にはならない。
だから僕は騎士になりたいと父上にねだった。初めのうちは父上たちもそんな危険な道を選ばなくても、と渋った。
それでも、年頃の少年らしさを装って騎士の活躍する冒険物語の数々を挙げ、自分もあの物語の主人公たちのような強く気高く格好良い騎士になりたいのだと熱心に語ると、渋々ながらも承諾してくれた。
父上は「騎士学校に入学できる年齢まで家にいれば良い」としきりに言っていたけれども、僕は一日も早く修行がしたいと駄々をこねた。
ちょうど見習いになるのに良い年頃だったため、すぐに王立騎士団に見習いとして入団することになった。父上は伯爵家にゆかりの深い家の私設騎士団に入れたかったらしいが、僕がどうしても王家直属の騎士団が良いと言って頑として譲らなかったのだ。
説得のために騎士の栄光やら王家への忠誠を引き合いに出したが、本音は家とできるだけ関りのない所で生きたいだけだった。
弟子入りして二年ほどは充実した日々を送っていた。
見習いから叩き上げで騎士団に入る高位貴族の子息は珍しく、目をつけられて絡まれる事も多かったが、平民出身の先輩も貴族出身の先輩同様に敬い、素直に指導に従う僕の事を可愛がってくれる人の方が多く、酷いイジメに遭う事もなかった。
次の叙任式の際には従騎士となるとの辞令も下った。師匠は貴重な身体操作魔法を使う人で、まだ見習いの僕にも手取り足取り丁寧に指導をしてくれた。
おかげで僕はすぐ簡単な身体強化魔法と治癒魔法を使えるようになった。扱いが難しいという槍斧の使い方も教えてもらった。
叙任式まであとわずかに迫った頃、同じ師匠に仕える先輩従騎士とその取り巻きの見習いたちに呼び出された。
「いつもヘラヘラして気持ち悪い」
「師匠に媚を売って特別扱いされて、貴重な身体強化魔法や治癒魔法も教えてもらって卑怯だ」
「見習いのくせに槍斧を持つなんて生意気だ」
みな口々に僕を責め立てた。
僕は先輩方もとうにそれらの指導を受けているものだと思っていたけれども、実は受けていたのは僕だけで、先輩方は武術と魔術のごく基礎しか学んでいなかった。
そして「誰にでも愛想を振りまきすり寄る売女に相応しい教育を施してやる」と言われ、全員に犯された。
全身の穴と言う穴に性器や異物を突っ込まれ、あちこち裂けて大量に出血してもお構いなしだ。あまりの激痛に泣き叫んだが誰も助けてくれなかった。何度も何度も失神したが、彼らは満足することなく朝まで入れ代わり立ち代わりさんざんに僕を犯した。
もはや立ち上がるどころか指一本たりとも動かせないほど消耗し、ぐったりとした僕は全裸のまま放置され、そのまま失神した。
発見された時にはいくつかの臓器が傷ついてかなり危険な状態だったらしい。意識が戻ったのは十日以上経ってからだった。生命をとりとめたのは、師匠が高度な治癒魔法を何度も使ってくれたからだという。
一時は腹膜炎を起こして高熱に苦しめられたらしいが、ひどい後遺症もなく、数か月のリハビリを経て僕は元通りの健康な身体を取り戻した。
精神の方は元々ひび割れていたので今更どうということもない。
僕を襲った者は一人残らず除籍となり、貴族の子息に暴行を加えたとして厳罰を受けた。どのような処罰かは教えてもらえなかったが、少なくとも主犯の元従騎士は処刑されたらしい。
師匠も弟子の監督不行き届きとのことで王立騎士団を退団し、地方の私設騎士団に入ったそうだ。その後、彼がどうなったかは知らない。誰に訊いてもわからなかった。
僕のせいで師匠の人生をめちゃくちゃにしてしまったと思うと申し訳なくて、何とか謝罪したかった。しかし、いくら父上や兄上たちにそう言っても手紙を出す事すら叶わなかった。
僕自身も意識不明の間に騎士団を退団しており、そのまま実家に帰された。
意識が戻るまでは後遺症が残るかどうかもわからなかったし、全裸で血と精液にまみれて失神している姿を多数の団員に見られたのだ。そのまま居座られてもみなどう接したら良いかわからないだろう。
もはや騎士団内に僕の居場所なんてどこにもなかった。
従騎士叙任間近ではあったが、騎士の道は諦めるしかなかった。
実家の中でも同じことだ。家族も使用人も、僕に対して腫れものを扱うように接した。
さすがにあれだけのことがあった後だ。いくら明るく振舞おうとしても無理がある。
兄たちは学園の寮に入り、休暇になっても帰ってこなかった。父も仕事に没頭し、家には僕と使用人たちだけが残された。
また僕のせいで家族がバラバラになってしまったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
七年目の裏切り 〜赴任先の夫から届く愛の手紙は、愛人の代筆でした〜
恋せよ恋
恋愛
「君は僕の最愛だ。もう二度と、君を危険に晒したくない」
命懸けの出産後、涙を流して私を抱きしめた夫ジュリアン。
その言葉通り、彼は「私を大切にするため」に夜の営みを断った。
私は、女としての寂しさを「愛されている誇り」に変え、
隣国へ赴任した夫を信じて二人の子供と家を守り続けていた。
毎週届く、情熱的な愛の手紙。タイプライターで綴られた
その愛の言葉を、私は宝物のように抱きしめていた。
……しかし、その手紙は「裏切り」だった。
夫が異国の地で、愛人と肌を重ねながら綴らせていた「偽りの愛」。
身分を隠して夫の赴任先の隣国へと向かった私が見たのは……。
果たして、貞淑な妻・メラニアが選んだ結論は……。
子供たちのため結婚生活の継続か、それとも……。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる