ドSな銀髪美人は復讐と、恋人の愛を両天秤にかける

液体猫(299)

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第二章 復讐の終わり

最終回 アレンとハワード

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 数ヶ月後、国は大きく変わった。国王失脚、そして第一皇子の犯罪。それらが民からの信頼を失う切っ掛けとなった。
 もうこの国は駄目だと誰もが嘆くなか、第二皇子でもあるハワードが国王の座につく。
 ノワール殿下の元婚約者ルシア、そして聖女のレナ。この二人の後押しと推薦のおかげで、彼は新たな国王になった。
 元々ハワードは国民からの信頼は厚い。顔は怖くても親しみやすい性格だということを、皆が知っているからだ。

 そしてもうひとり。悲劇に見舞われた公爵一族の現当主、アレンだ。彼はハワードの婚約者ということ。多くの民から信頼されているということから、新しい女帝の地位を授かった。
 もちろん、ルシアとレナの二人の支援があってのこと。

「ふふ。あの二人には、感謝しなきゃね」 

 ルシアは妃教育を受けていたこともあり、アレンの補佐役に任命される。そんな彼女はレナとともに、国のうみを炙り出すために、地方へと飛び回っていた。
 そしてアレンはと言うと……



 手に花束を抱えて、大きな木がある丘の上へと訪れていた。
 ゆったりと動く雲と、眩しいばかりの太陽。どこまでも続く青空が、丘の頂上に穏やかな風を運んできた。

「…………」

 アレンは髪を押さえる。空を仰ぎ見ては、平和で爽やかな空気に包まれていた。
 そんなアレンの隣にはハワードがいて、彼もまた、たくさんの花を手にしている。
 二人の目の前には一つの墓があった。そこには【ネロ・モリアーディ、リリス・モリアーディの墓】という文字が彫られている。
 アレンたちはそっと花束を墓の前に置き、静かに胸の前で拳を握った。

「父上、母上、ようやく終わりましたよ。二人の無念……魂が、解放されるんです」

 (厳しくて、笑うことのなかった父上。優しくて、ユーモア溢れる母上。どちらもが私を愛し、私のために散っていった)

 亡き両親のことを思いながら、グッと瞳を閉じる。今でも浮かぶのは楽しかった日々。優しい笑顔たちだ。
 
 顔をあげ、微笑する。

「……私を、守ってくれてありがとう」

 目頭が熱くなっていった。泣かないと決めたはずなのに、いざ二人の墓を前にすると、どうしても両親の子供でいたくなってしまう。頬に、ひっそりと雫が伝った。それを拭い、隣で心配そうに見つめてくるハワードに笑顔を向ける。

「わかっているよ。いつまでも、それでは駄目だってことぐらい」

 ハワードと手を握った。するとハワードは墓の前で片膝をつく。

「安心してください。アレンは絶対に、俺が守ってみせます。今までのことが嘘だったと思えるぐらい、幸せにしてみせますから」

 すっと、立ち上がった。アレンを見て、強面な顔に笑顔を浮かべる。
 
 アレンは彼の気持ちに答えるように、それでいて、悪戯をしかけんとした。握っている手をサッと離し、代わりにハワードへと抱きつく。

「あ、アレン!?」

「ふふ。隙を見せた、ハワードが悪い」 

 両親の墓標の前だというのに、恥ずかしげもなくハワードに甘えた。その瞳はとても妖艶で、美しい。

 ハワードはゴクッと唾を飲みこむ。そして誘惑に負け、その場にアレンを押し倒す。

「……っ! 君が、いけないんだぞ!?」

「何のことかな?」

 小悪魔的に微笑んだ。上に乗るハワードの頬へ手を伸ばし「──」と、口パクで伝える。

 ハワードは言葉の意味を察した様子で、着ている服の襟をほどいていった。そして「うん」と、無邪気な笑顔で答える。

 こうして二人は丘の上で、熱い口づけを交わした──
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