14 / 15
第二章 復讐の終わり
最終回 アレンとハワード
しおりを挟む
数ヶ月後、国は大きく変わった。国王失脚、そして第一皇子の犯罪。それらが民からの信頼を失う切っ掛けとなった。
もうこの国は駄目だと誰もが嘆くなか、第二皇子でもあるハワードが国王の座につく。
ノワール殿下の元婚約者ルシア、そして聖女のレナ。この二人の後押しと推薦のおかげで、彼は新たな国王になった。
元々ハワードは国民からの信頼は厚い。顔は怖くても親しみやすい性格だということを、皆が知っているからだ。
そしてもうひとり。悲劇に見舞われた公爵一族の現当主、アレンだ。彼はハワードの婚約者ということ。多くの民から信頼されているということから、新しい女帝の地位を授かった。
もちろん、ルシアとレナの二人の支援があってのこと。
「ふふ。あの二人には、感謝しなきゃね」
ルシアは妃教育を受けていたこともあり、アレンの補佐役に任命される。そんな彼女はレナとともに、国の膿を炙り出すために、地方へと飛び回っていた。
そしてアレンはと言うと……
手に花束を抱えて、大きな木がある丘の上へと訪れていた。
ゆったりと動く雲と、眩しいばかりの太陽。どこまでも続く青空が、丘の頂上に穏やかな風を運んできた。
「…………」
アレンは髪を押さえる。空を仰ぎ見ては、平和で爽やかな空気に包まれていた。
そんなアレンの隣にはハワードがいて、彼もまた、たくさんの花を手にしている。
二人の目の前には一つの墓があった。そこには【ネロ・モリアーディ、リリス・モリアーディの墓】という文字が彫られている。
アレンたちはそっと花束を墓の前に置き、静かに胸の前で拳を握った。
「父上、母上、ようやく終わりましたよ。二人の無念……魂が、解放されるんです」
(厳しくて、笑うことのなかった父上。優しくて、ユーモア溢れる母上。どちらもが私を愛し、私のために散っていった)
亡き両親のことを思いながら、グッと瞳を閉じる。今でも浮かぶのは楽しかった日々。優しい笑顔たちだ。
顔をあげ、微笑する。
「……私を、守ってくれてありがとう」
目頭が熱くなっていった。泣かないと決めたはずなのに、いざ二人の墓を前にすると、どうしても両親の子供でいたくなってしまう。頬に、ひっそりと雫が伝った。それを拭い、隣で心配そうに見つめてくるハワードに笑顔を向ける。
「わかっているよ。いつまでも、それでは駄目だってことぐらい」
ハワードと手を握った。するとハワードは墓の前で片膝をつく。
「安心してください。アレンは絶対に、俺が守ってみせます。今までのことが嘘だったと思えるぐらい、幸せにしてみせますから」
すっと、立ち上がった。アレンを見て、強面な顔に笑顔を浮かべる。
アレンは彼の気持ちに答えるように、それでいて、悪戯をしかけんとした。握っている手をサッと離し、代わりにハワードへと抱きつく。
「あ、アレン!?」
「ふふ。隙を見せた、ハワードが悪い」
両親の墓標の前だというのに、恥ずかしげもなくハワードに甘えた。その瞳はとても妖艶で、美しい。
ハワードはゴクッと唾を飲みこむ。そして誘惑に負け、その場にアレンを押し倒す。
「……っ! 君が、いけないんだぞ!?」
「何のことかな?」
小悪魔的に微笑んだ。上に乗るハワードの頬へ手を伸ばし「──」と、口パクで伝える。
ハワードは言葉の意味を察した様子で、着ている服の襟をほどいていった。そして「うん」と、無邪気な笑顔で答える。
こうして二人は丘の上で、熱い口づけを交わした──
もうこの国は駄目だと誰もが嘆くなか、第二皇子でもあるハワードが国王の座につく。
ノワール殿下の元婚約者ルシア、そして聖女のレナ。この二人の後押しと推薦のおかげで、彼は新たな国王になった。
元々ハワードは国民からの信頼は厚い。顔は怖くても親しみやすい性格だということを、皆が知っているからだ。
そしてもうひとり。悲劇に見舞われた公爵一族の現当主、アレンだ。彼はハワードの婚約者ということ。多くの民から信頼されているということから、新しい女帝の地位を授かった。
もちろん、ルシアとレナの二人の支援があってのこと。
「ふふ。あの二人には、感謝しなきゃね」
ルシアは妃教育を受けていたこともあり、アレンの補佐役に任命される。そんな彼女はレナとともに、国の膿を炙り出すために、地方へと飛び回っていた。
そしてアレンはと言うと……
手に花束を抱えて、大きな木がある丘の上へと訪れていた。
ゆったりと動く雲と、眩しいばかりの太陽。どこまでも続く青空が、丘の頂上に穏やかな風を運んできた。
「…………」
アレンは髪を押さえる。空を仰ぎ見ては、平和で爽やかな空気に包まれていた。
そんなアレンの隣にはハワードがいて、彼もまた、たくさんの花を手にしている。
二人の目の前には一つの墓があった。そこには【ネロ・モリアーディ、リリス・モリアーディの墓】という文字が彫られている。
アレンたちはそっと花束を墓の前に置き、静かに胸の前で拳を握った。
「父上、母上、ようやく終わりましたよ。二人の無念……魂が、解放されるんです」
(厳しくて、笑うことのなかった父上。優しくて、ユーモア溢れる母上。どちらもが私を愛し、私のために散っていった)
亡き両親のことを思いながら、グッと瞳を閉じる。今でも浮かぶのは楽しかった日々。優しい笑顔たちだ。
顔をあげ、微笑する。
「……私を、守ってくれてありがとう」
目頭が熱くなっていった。泣かないと決めたはずなのに、いざ二人の墓を前にすると、どうしても両親の子供でいたくなってしまう。頬に、ひっそりと雫が伝った。それを拭い、隣で心配そうに見つめてくるハワードに笑顔を向ける。
「わかっているよ。いつまでも、それでは駄目だってことぐらい」
ハワードと手を握った。するとハワードは墓の前で片膝をつく。
「安心してください。アレンは絶対に、俺が守ってみせます。今までのことが嘘だったと思えるぐらい、幸せにしてみせますから」
すっと、立ち上がった。アレンを見て、強面な顔に笑顔を浮かべる。
アレンは彼の気持ちに答えるように、それでいて、悪戯をしかけんとした。握っている手をサッと離し、代わりにハワードへと抱きつく。
「あ、アレン!?」
「ふふ。隙を見せた、ハワードが悪い」
両親の墓標の前だというのに、恥ずかしげもなくハワードに甘えた。その瞳はとても妖艶で、美しい。
ハワードはゴクッと唾を飲みこむ。そして誘惑に負け、その場にアレンを押し倒す。
「……っ! 君が、いけないんだぞ!?」
「何のことかな?」
小悪魔的に微笑んだ。上に乗るハワードの頬へ手を伸ばし「──」と、口パクで伝える。
ハワードは言葉の意味を察した様子で、着ている服の襟をほどいていった。そして「うん」と、無邪気な笑顔で答える。
こうして二人は丘の上で、熱い口づけを交わした──
11
あなたにおすすめの小説
《一時完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ
MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
続編執筆中
【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜
キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。
モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。
このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。
「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」
恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。
甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。
全8話。
姉の代わりに舞踏会に行ったら呪われた第三王子の初恋を奪ってしまった
近井とお
BL
幼少期、ユーリは姉によく似ていることから彼女の代わりに社交の場に出席することが多々あった。ある舞踏会の夜、中庭に姿を眩ませたユーリに誰かがぶつかってくる。その正体は呪われていると噂の第三王子であったが、ぶつかられたことに腹を立てたユーリは強気に接し、ダンスを踊った後、彼を捜している気配を感じてからかいながら立ち去る。
それから数年後、第三王子は初恋の令嬢を探し始めたが、それはユーリに違いなく……。
初恋の相手を捜す第三王子×軽口令息
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
届かない「ただいま」
AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。
「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。
これは「優しさが奪った日常」の物語。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 一月十日のアルファポリス規約改定を受け、サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をこちらへ移しましたm(__)m サブ垢の『バウムクーヘンエンド』はこちらへ移動が出来次第、非公開となりますm(__)m)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる