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冒険者とは?
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【冒険者都市アルムハーン】
赤茶けたタイルが敷かれ、大きな時計塔を中心に迷路のように入り組んだ町並み。
特徴的な言葉の訛りに、龍と剣の紋章が描かれた旗がいたるところに下がる町は、医師とレンガで全体的に赤茶けた色をした建物が多く、四方を見回すと巨大な大壁が町を囲う様に建てられている。
通常であれば、町を数分も歩けば町の警備を行う王国騎士団の兵士とすれ違うのだが。
冒険者が自治をする町の名の通り、駐在の騎士団はおろか、王国騎士団のシンボルである獅子の紋章を掲げている建物も見当たらない。
ここはいわゆる冒険者の町であり、同盟国に一つは必ず存在する、冒険者が収める拠点の一つであるようだ。
私は初めて来る冒険者の町に、ナイトさんと一緒にあたりを見回してしまう。
余所者であることは一目瞭然であったことだろう。
「国境付近……国防において最も重要な拠点だが、騎士団がいなくて大丈夫なのか?」
私と同じく物珍しそうにあたりを見回していたナイトさんは、私にというよりも局長に対して不思議そうな顔をしてそう問いかける。
この世界にきて先ほどまでの話を聞いていれば、その疑問が浮かぶのも当然だろう。
局長も予想はしていたようで、ナイトさんの質問に対し悩む素振りもなく、弾んだ口調で説明を開始した。
「そうだね、君の言う通り国境付近には国が指揮する軍隊が駐在をするのが基本だ。だけどこの場所は少しわけが違くてね、王国騎士団が介入できない地域とされているんだ」
「……介入できない? 自国だというのにか?」
その言葉に、ナイトさんは疑問符を浮かべ問い返すと。
「そう、この国にある戦力保有組織は二つあってね、一つは国が運営する王国騎士団。そしてもう一つが、冒険者ギルドさ」
「話を止めて悪いが、まず国が戦力保有組織を二つも所有する理由がわからない……不和の元だろう」
確かに、今の説明だとそう聞こえてしまうかもしれないが、厳密には少し違う。
「厳密には少し違います。 あくまでこの国が独自に保有している組織は王国騎士団です。王国に命を捧げた、王国のための兵団です」
「じゃあ冒険者ギルドは?」
「これは、同盟国全体で保有する戦力となります。全二十八ヵ国、冒険者ギルドに登録された人間は冒険者ギルドの名のもとにあらゆる地域での活動を許可されます。騎士団では解決できない問題や、国家間の行き来が必要となる任務……国がかかわるとややこしくなる問題……そういった問題を解決するために、獅子王同盟に参加した国は中立の戦闘組織を作り上げました」
「なるほど、それが冒険者ギルドか……ギルドとは名ばかりで、その実態は国境なき兵団ということか」
「ええ、同盟国が全体で作り上げた組織であるからこそ、どの国に加担することはない。自由と正義の名のもとに彼らは彼らの剣を抜きます」
「中立戦力によるバランスの確立か……俺たちの世界には実現しなかった考えだ」
「まぁ、実際はどれだけ払いがいいかによって懇意にする相手を変える人間もいるけれどそれはそれ。ただ確実に言えることは、流石は各国が協力して作り上げた組織であるからこそ、その実力は折り紙付きなのさ」
「なるほど、そしてこの町は勇者が救った冒険者発祥の地ということか」
「そういうこと。このアルムハーンは領土こそ王国の物だけど、その権力は王国騎士団と同等、下手をすれば王国騎士団をもしのぐほどの兵士が駐在しているし、国の命令を受けないから王国が口を出せないのさ。こんなギルドが世界中に点在している。その中でもアルムハーンは発祥の地とだけあって、ほかのギルドよりもはるかに大きいのが特徴だね。冒険者都市なんて呼ばれているのはそれが原因さ」
「なるほど、俺たちがいるこの場所も、正確には町ではなくギルドということになるのだな」
「あぁ、当然国の一部だから税金は払っているし、法律もその国のものに準拠する。だけどそれ以外はすべて冒険者側に任されている。もちろん来るもの拒まずさるもの追わずが冒険者ギルドの鉄則だからね、移民や難民も勝手に入ってくることはあるけどそれはあくまでギルドの責任の範囲内の話だ。もちろんこの国が特別ってわけじゃあない、同盟国全部で、同じような町が存在しているよ」
「ふむ……しかし冒険者ギルドが隣国の侵略に加担するという心配はないのか?」
「言っただろう? ギルドはあくまで中立の存在だ。戦争には基本的に加担しない決まりになっているし、正当性のない軍事行動にはギルド側からの強制排除が行われる」
「国家間での紛争が起こりそうになったときは?」
「ギルドが間に入り交渉や和平が行われるね。時には、派手な交渉になることもあるけど」
「ふむ、俺たちの知っている冒険者とは随分と異なった組織みたいだな……具体的に違うところをあげると……えーと」
「冒険をしていない、ですか?」
「そう、それだ」
ナイトさんの言葉ももっともだ。
冒険者は本来未開拓の土地を開拓し、新たな鉱脈や資源を探すものをさしていたが。
千年前の勇者の功績から、冒険者の地位は格段に上がった。
勇者の技や知恵を引き継ぐもの……冒険者の中でも【ブレイバー】と呼ばれるものたちは、時に各国家の要人護衛なども任されると聞く。
「仕方がないよ。今やこの時勢に冒険をするところなんてないのさ。それに加えて転生者の存在。今この世界には、冒険をする余裕も冒険ができる場所も存在していない。だけど大きな組織であったギルドは、自警団という方向で生き残ることを選んだんだ。もともと腕っぷしだけはある人間組織だからね。だけどその分、その剣には誇りがあり、正義があり、そして何より勇気がある。アッガス君が転生者にひるまず立ち向かったように、その冒険者の意志と矜持だけは、変わらずに残っているんだよ。人種も違えば思想もばらばらだから、お金が好きな人もいれば正義と愛に生きる人もいる……だけど、根っこの部分……冒険者の掟という部分ではつながっている……固く、強固にね」
「立場や時代が変わっても変わらない意志か、尊敬に値する」
ナイトさんはその話に、感服するかのように一つ唸り、そんな言葉を漏らす。
「意外だね、君、人のことをほめるんだね」
局長の発言は失礼極まりない言い方であったが何も言えない。
なぜなら不覚にも私もナイトさんの言葉に局長と同じ感想を抱いてしまったからだ。
だが、その言葉にナイトさんはむっとするでもなく。
「確かに俺は至高のナイトだが、学ぶべきことはまだ多い。至高のナイトとは終着点ではない、あり続けるよう努力しなければあっという間に堕落をする。ゆえに自らの心打たれる在り方を見れば称賛をするし、見習うべきところがあれば見習う。至高の騎士とは常に謙虚に研鑽を積み続けることこそが必要になるのだ」
ナイトさんはそう自信満々に言い放ち、私と局長はあっけにとられる。
「なんだろう、僕はどうやら君のことを誤解していたみたいだ」
「そうか? 誤解が解けて何よりだ」
割と失礼なことを言われたにも関わらず、一切気にしないというようにけろりとした表情のナイトさん。
まだ短い付き合いであるが、基本的には温和な人間であるようだ。
少々口調はくどく傲慢に聞こえる節があるが……それも騎士であることを誇りに思っているからなのだろう。
「うん、君という人物が信用できる人間だってわかって何よりだ! さて、そんな話をしているうちにあっという間に目的地に到着をしたわけだけど、そこからギルドは見えるかい? サクヤ君、ナイト君」
その言葉に私は一度あたりを見回してみるが、それらしき建物は見当たらない。
巨大な酒場に、武器屋、防具屋が乱立する町の中心部。
道案内のプレートを見てみると、大きく【冒険者通り】と書かれている。
人通りも冒険者の数も多く、多くの人が武器や盾を鳴らしながら、道具屋で道具をそろえたり、商品の換金などにいそしんでおり活気がある。
「見当たりませんね……」
しかし、活気はあり、冒険者らしき人間も多いのだが、冒険者ギルドと銘打たれた建物は一度ぐるりと見回しただけでは見つけることができなかった。
「ふむ、見回した感じだとそれらしき荘厳な建物は見当たらないが、場所は本当にここであっているのか?」
私の代わりにナイトさんはそう局長に対して呟くと、局長は「あれー?」なんて言葉と同時に通信の向こう側から
パラパラと本のページをめくる音が聞こえる。
「ちょっと調べるから、待っててもらえるかい?」
「了解だ。ではマスター俺たちも捜索を……」
「きゃっ!」
「おっと」
こてんという可愛らしい音が響き、私はナイトさんの方を振り返ると。
どうやらナイトさんは女性にぶつかったらしく、栗色の長い髪のローブ姿の女性が尻もちをついているところを目撃する。
赤茶けたタイルが敷かれ、大きな時計塔を中心に迷路のように入り組んだ町並み。
特徴的な言葉の訛りに、龍と剣の紋章が描かれた旗がいたるところに下がる町は、医師とレンガで全体的に赤茶けた色をした建物が多く、四方を見回すと巨大な大壁が町を囲う様に建てられている。
通常であれば、町を数分も歩けば町の警備を行う王国騎士団の兵士とすれ違うのだが。
冒険者が自治をする町の名の通り、駐在の騎士団はおろか、王国騎士団のシンボルである獅子の紋章を掲げている建物も見当たらない。
ここはいわゆる冒険者の町であり、同盟国に一つは必ず存在する、冒険者が収める拠点の一つであるようだ。
私は初めて来る冒険者の町に、ナイトさんと一緒にあたりを見回してしまう。
余所者であることは一目瞭然であったことだろう。
「国境付近……国防において最も重要な拠点だが、騎士団がいなくて大丈夫なのか?」
私と同じく物珍しそうにあたりを見回していたナイトさんは、私にというよりも局長に対して不思議そうな顔をしてそう問いかける。
この世界にきて先ほどまでの話を聞いていれば、その疑問が浮かぶのも当然だろう。
局長も予想はしていたようで、ナイトさんの質問に対し悩む素振りもなく、弾んだ口調で説明を開始した。
「そうだね、君の言う通り国境付近には国が指揮する軍隊が駐在をするのが基本だ。だけどこの場所は少しわけが違くてね、王国騎士団が介入できない地域とされているんだ」
「……介入できない? 自国だというのにか?」
その言葉に、ナイトさんは疑問符を浮かべ問い返すと。
「そう、この国にある戦力保有組織は二つあってね、一つは国が運営する王国騎士団。そしてもう一つが、冒険者ギルドさ」
「話を止めて悪いが、まず国が戦力保有組織を二つも所有する理由がわからない……不和の元だろう」
確かに、今の説明だとそう聞こえてしまうかもしれないが、厳密には少し違う。
「厳密には少し違います。 あくまでこの国が独自に保有している組織は王国騎士団です。王国に命を捧げた、王国のための兵団です」
「じゃあ冒険者ギルドは?」
「これは、同盟国全体で保有する戦力となります。全二十八ヵ国、冒険者ギルドに登録された人間は冒険者ギルドの名のもとにあらゆる地域での活動を許可されます。騎士団では解決できない問題や、国家間の行き来が必要となる任務……国がかかわるとややこしくなる問題……そういった問題を解決するために、獅子王同盟に参加した国は中立の戦闘組織を作り上げました」
「なるほど、それが冒険者ギルドか……ギルドとは名ばかりで、その実態は国境なき兵団ということか」
「ええ、同盟国が全体で作り上げた組織であるからこそ、どの国に加担することはない。自由と正義の名のもとに彼らは彼らの剣を抜きます」
「中立戦力によるバランスの確立か……俺たちの世界には実現しなかった考えだ」
「まぁ、実際はどれだけ払いがいいかによって懇意にする相手を変える人間もいるけれどそれはそれ。ただ確実に言えることは、流石は各国が協力して作り上げた組織であるからこそ、その実力は折り紙付きなのさ」
「なるほど、そしてこの町は勇者が救った冒険者発祥の地ということか」
「そういうこと。このアルムハーンは領土こそ王国の物だけど、その権力は王国騎士団と同等、下手をすれば王国騎士団をもしのぐほどの兵士が駐在しているし、国の命令を受けないから王国が口を出せないのさ。こんなギルドが世界中に点在している。その中でもアルムハーンは発祥の地とだけあって、ほかのギルドよりもはるかに大きいのが特徴だね。冒険者都市なんて呼ばれているのはそれが原因さ」
「なるほど、俺たちがいるこの場所も、正確には町ではなくギルドということになるのだな」
「あぁ、当然国の一部だから税金は払っているし、法律もその国のものに準拠する。だけどそれ以外はすべて冒険者側に任されている。もちろん来るもの拒まずさるもの追わずが冒険者ギルドの鉄則だからね、移民や難民も勝手に入ってくることはあるけどそれはあくまでギルドの責任の範囲内の話だ。もちろんこの国が特別ってわけじゃあない、同盟国全部で、同じような町が存在しているよ」
「ふむ……しかし冒険者ギルドが隣国の侵略に加担するという心配はないのか?」
「言っただろう? ギルドはあくまで中立の存在だ。戦争には基本的に加担しない決まりになっているし、正当性のない軍事行動にはギルド側からの強制排除が行われる」
「国家間での紛争が起こりそうになったときは?」
「ギルドが間に入り交渉や和平が行われるね。時には、派手な交渉になることもあるけど」
「ふむ、俺たちの知っている冒険者とは随分と異なった組織みたいだな……具体的に違うところをあげると……えーと」
「冒険をしていない、ですか?」
「そう、それだ」
ナイトさんの言葉ももっともだ。
冒険者は本来未開拓の土地を開拓し、新たな鉱脈や資源を探すものをさしていたが。
千年前の勇者の功績から、冒険者の地位は格段に上がった。
勇者の技や知恵を引き継ぐもの……冒険者の中でも【ブレイバー】と呼ばれるものたちは、時に各国家の要人護衛なども任されると聞く。
「仕方がないよ。今やこの時勢に冒険をするところなんてないのさ。それに加えて転生者の存在。今この世界には、冒険をする余裕も冒険ができる場所も存在していない。だけど大きな組織であったギルドは、自警団という方向で生き残ることを選んだんだ。もともと腕っぷしだけはある人間組織だからね。だけどその分、その剣には誇りがあり、正義があり、そして何より勇気がある。アッガス君が転生者にひるまず立ち向かったように、その冒険者の意志と矜持だけは、変わらずに残っているんだよ。人種も違えば思想もばらばらだから、お金が好きな人もいれば正義と愛に生きる人もいる……だけど、根っこの部分……冒険者の掟という部分ではつながっている……固く、強固にね」
「立場や時代が変わっても変わらない意志か、尊敬に値する」
ナイトさんはその話に、感服するかのように一つ唸り、そんな言葉を漏らす。
「意外だね、君、人のことをほめるんだね」
局長の発言は失礼極まりない言い方であったが何も言えない。
なぜなら不覚にも私もナイトさんの言葉に局長と同じ感想を抱いてしまったからだ。
だが、その言葉にナイトさんはむっとするでもなく。
「確かに俺は至高のナイトだが、学ぶべきことはまだ多い。至高のナイトとは終着点ではない、あり続けるよう努力しなければあっという間に堕落をする。ゆえに自らの心打たれる在り方を見れば称賛をするし、見習うべきところがあれば見習う。至高の騎士とは常に謙虚に研鑽を積み続けることこそが必要になるのだ」
ナイトさんはそう自信満々に言い放ち、私と局長はあっけにとられる。
「なんだろう、僕はどうやら君のことを誤解していたみたいだ」
「そうか? 誤解が解けて何よりだ」
割と失礼なことを言われたにも関わらず、一切気にしないというようにけろりとした表情のナイトさん。
まだ短い付き合いであるが、基本的には温和な人間であるようだ。
少々口調はくどく傲慢に聞こえる節があるが……それも騎士であることを誇りに思っているからなのだろう。
「うん、君という人物が信用できる人間だってわかって何よりだ! さて、そんな話をしているうちにあっという間に目的地に到着をしたわけだけど、そこからギルドは見えるかい? サクヤ君、ナイト君」
その言葉に私は一度あたりを見回してみるが、それらしき建物は見当たらない。
巨大な酒場に、武器屋、防具屋が乱立する町の中心部。
道案内のプレートを見てみると、大きく【冒険者通り】と書かれている。
人通りも冒険者の数も多く、多くの人が武器や盾を鳴らしながら、道具屋で道具をそろえたり、商品の換金などにいそしんでおり活気がある。
「見当たりませんね……」
しかし、活気はあり、冒険者らしき人間も多いのだが、冒険者ギルドと銘打たれた建物は一度ぐるりと見回しただけでは見つけることができなかった。
「ふむ、見回した感じだとそれらしき荘厳な建物は見当たらないが、場所は本当にここであっているのか?」
私の代わりにナイトさんはそう局長に対して呟くと、局長は「あれー?」なんて言葉と同時に通信の向こう側から
パラパラと本のページをめくる音が聞こえる。
「ちょっと調べるから、待っててもらえるかい?」
「了解だ。ではマスター俺たちも捜索を……」
「きゃっ!」
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