至高の騎士、動きます〜転生者がこの世界をゲームと勘違いして荒らしてるので、最強騎士が分からせる〜

nagamiyuuichi

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ナイトさん絡まれる

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「なっなっ!? 何言ってやがんですかナイトさん!」

 空気が読めないにもほどがある発言に、冒険者達の視線は殺意に近い敵意に代わり、同時にあきれたようなため息を漏らし。

「話聞いてたかい?」

 釘を刺すような視線を向けるが。

「もちろんだ。自分の力量を推察した結果、俺はこの場所にいる誰よりも強い」

 ナイトさんはけろりとした表情でそんなことを言い始める。

「ちょっ!? 空気を読みやがれってんですよナイトさん!」

 回りの視線は新参者の妄言と流してくれるつもりはないらしく、刺すような視線が私とナイトさんを突き刺す。
私はその視線に追われるように、ナイトさんの肩を引っ張り自重をするように命令をするが、ナイトさんは首を傾げ。

「なぜだマスター。この冒険者ギルドで俺が最も実力のある至高の騎士であることは確定的に明らかだ。ならば必然的に最高難易度のクエストを受けるのが自然な流れであるし、何よりも難易度が高いクエストをこなすほうが報酬も期待できるはずだ」

 正論……正論ではあるのだが。

「た、確かにそうかもしれないですけど! 一応私たち新米冒険者扱いなんですから!」

「??? 理解不能だ。他人は他人、自分は自分。自分のペースで歩んでいけばいいではないか。新米が熟練者を 
打倒できないという法則はこの世界には存在しないはずだが?」

 すごいこの人、淡々と私にしゃべりかけながらこの場にいる全員に喧嘩を売っている。

「な、ナイトさん! まずいですって! 後ろ、後ろすごい睨んでいますから!」

「ナイトへの羨望だろう、至高の騎士にあこがれるのは人として当然のことだ」

「前向きか! 怒ってるんですよ! ナイトさんが人を馬鹿にするような態度取るから!」

「失礼な……馬鹿にしたわけではない。ただ事実を」

依然自分の発言を撤回しようとしないナイトさんに、私は飛び蹴りをかますか否かを真剣に検討しだしたところで。

「もう我慢ならねえ」

 近くにあったテーブルの酒瓶がひとりでに割れ、同時に私の体が宙に浮く。

「わっ!?わっ!? ふええぇ!」

「う、浮いてる! サクヤ君が浮いてる!」

「うぅ! 何ですかこれぇ!」

「ブレイブを習得してもいねえ若造が少々口がでかいんじゃないか?」

 奥から現れたのは初老の冒険者。 

「やめな、ゼン」

「いいややめないね。若造がイキがるのは仕方がないが、ここは冒険者ギルドだ。中立の組織であり調和とバランス、そして自由を保つ場所。ガキが騒ぎ立てる場所じゃないってことを教えてやらなきゃな」

 会話から、彼が私を持ち上げている張本人であることがわかるが。

「魔力反応が感じられないな……スキルか?」

 ナイトさんの言う通り、私を持ち上げる力に、私もナイトさんですら魔力が感じられない。

「ブレイブ……彼ら冒険者が操る特殊技能だね。手を触れずに物を持ち上げたり、破壊したり熟練者は相手の心まで読むっていうけど」

「ほぅ、興味深いな。だが見せ方は感心しない。力を披露するのは勝手だが、俺のマスターに無礼を働くのは賢くない選択だ。今すぐにやめて非礼を詫びなきゃ、お前は一か月病院の世話になることになる」

 殺意はないが、ナイトさんはそう警告を発する。

 その発言すら相手を挑発しているとも気づかずに。

 そしてその空気の読めなさから私が巻き込まれているという事実に気づくことなく……。

「いうじゃねえか……後悔するなよ若造が」

「まったく、けんかっ早い若造どもだねえ。 おいやめときな騎士の坊や。ゼンはこのギルドでも十本の指にはいる冒険者さ。最高クラスの冒険者なんだよ?」

「もっとも、今更謝っても許してやらねえけどな!」

「そうか、では力を示せば最高難易度のクエストをくれるんだな?」

「まだ言うのね……分かったわ。勝てたらね。バカは痛い目見ないと分からないっていうけど、本当のようだね。外でやれって言っても聞かないだろうし、負けたほうが壊したもんを弁償だかんね」

 もはやあきらめたとばかりにギルドマスターはそういうと、冒険者たちは二人の戦いのために場所を開け、私は二人の頭上でふよふよと浮いている。

 なんともシュールな光景であるため、戦う時ぐらい下ろしてほしいのだが……どうやらそれはかなわないらしく、私は仕方なくその戦いを見届けることにする。

 まぁ、おそらくは一方的な戦いになるのだろうが。

「え、えーと……ナイトさん。わかってるとは思いますけど」

「安心しろ、殺しはしないさ。主人公だからな」

「なんだか、僕は時々彼と会話が成立しているのか不安になるよ」

「珍しく意見が合いましたね……局長」

 局長の言葉に私はそうため息とともに返答をすると、同時にゼンさんはナイトさんに向かい剣を抜いて切りかかる。

「安心しろ! 両腕両足だけで済ませてやるよ!」

 いかにもなセリフを吐きながら切りかかるゼン。

 それに対しナイトさんは剣も盾も抜くことはなく、右手を出すと。

 空中でデコピンをするように指をはじく。
 
「魔力解放……出力【微】」

「ぼぐっふおおぉ!?」

――――――――――――――――――――!!

 吹き抜けるは一陣の風。

 それと同時に、5メートルは離れていたはずのゼンさんは、まるで巨大なこん棒にでも殴られたかのように、机や
扉を巻き上げて店の外まで吹き飛ばされ。

 思い出すかのように遅れて轟音と、瓶や食器が割れる音がルインの酒場の中に響き渡る。

―――――――!! 

「今のは……ブレイブ?」

 冒険者の一人がそう呟くが、ナイトさんは首を振り否定する。

「そんな大それたものじゃない。抑え込んでいた魔力を一瞬、ほんの少しだけ放出しただけにすぎない。戦術でも
戦略でもない。強いて言うならただのすごいデコピンだ」

 何でもないというようにナイトさんはそう語り、その場にいた人たちのざわめきはさらに大きくなる。

 そんなざわめきに対し、この事態をどうしたものかと思案していると、ブレイブが切れたのか、ふわりと私は床に落とされる。

 正直この大惨事にナイトさんに対して言いたいことは腐るほどできたが、ナイトさんのおかげでいろいろと上手くことが運びそうだ。

 いささか不本意で、騎士団として誇れるようなものではないが今は現状の打開を最優先にしなければ。

「あんたたち……一体」

「いったはずだ。至高の騎士……」

「じゃなくて、新米冒険者です。約束通り高難易度依頼を受けたいのですが」

 ここまでやってしまえば、このギルドで好印象を受けるのは不可能だろう。

 本来ならば地道にコツコツ、友好関係を築きつつ路銀と情報を集めようかと思っていたが、こうなってしまったら
ナイトさんの言う通り、高難易度クエストを受注してさっさとお金を集めてしまったほうが早い。
そうと決まればもはや他人の目など気にする必要はない、心底迷惑そうな表情をするルインさんではあったが、私
はやけ気味に高難易度クエストを催促する。

「君もたくましいよね……存外」

 そんな局長のあきれるような声が聞こえたような気がしたが、耳を傾ける必要はないだろう
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