思い上がりの勇者パーティーに女神の裁きを

はなまる

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第1章 勇者を裁くだけの簡単なお仕事を始めました

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 やっと町までたどり着きました。
 めでたしめでたし。

 ・・・・・・ というわけにはいきませんよね。

 
 人間の国は全部で7つあります。 第一の国アイラッシュから始まり、 私がいるのは第4の国フレアリーゼです。
 フレアリーゼを治めているのは ドワーフの女性です。 そのためにこの国には多くのドワーフが住んでいて、鍛冶 職人が多くいます。 この辺りから魔法ダメージでなければ倒せないモンスターが増えてくるから、 魔法の武器や防具が多く売られているようです。
 住民の多くは 火属性と地属性の魔力を持っています。 ドワーフだけでなく、人間も赤毛の人が多いようです。
 確かエイミアの出身地でしたね。


「ガルヴァスさん、 行きましょうか」
「 どこに行くつもりなんだ?」
「ガルヴァスさんの 魔法の武器を買いに行くんです」

 ガルヴァスは、 魔法の武器さえあれば十分活躍できます。

「 俺は そんなお金は持っていないぞ?」
「 私が プレゼントしてあげますよ」
「 年下の女の子から施しを受けるわけにはいかない」

 強情ですね。 でも、なんとしてでも受け取ってもらいます。

「 では、護衛の依頼の前払いということではどうでしょうか?」
「依頼でなくても 、俺はちゃんと送り届けるぞ」
「ああ、もう!」

 男の人は、変なプライドがあって面倒くさいですね。
 現実を見てください。 魔法の武器がなくて私を守れますか。 補助魔法は無限にかけられるわけじゃないんですよ。 回数が限られているのだから、魔力の節約は必須なのです。

「 魔法の武器の購入は必要経費なのです。 いやでも受け取ってもらいますよ!」
「 わかった。 費用はいつか倍にして返すことにする!」

 昔気質と言いますか、何と言いますか。 アシュトンとは別の厄介さがありますね。
 ガルヴァスの 頑固さは、 誰かを彷彿とさせます。
 それは・・・・・・。

「ガルヴァスさんは 頑固おやじのようですね」

 私のお父さんも同じような性格でした。
 ガルヴァスは、 肩をわなわなと震わせています。

「 俺はまだ22歳だ!」
「ええっ!?」

 ベテランの風格を漂わせているから、てっきり30代かと思っていましたよ。 人は見た目で判断できないという典型例です。
 私も実は聖女らしくおしとやかというわけではありませんし、他人の ことは言えませんけどね。



 気を取り直して武器屋に向かいましょうか。
 どこがいいですかね。 キョロキョロと辺りを伺います。

「 何かお探しかの?」

 私を見かねたのか、 ドワーフの女の子が私に話しかけてきました。
 ドワーフの 女性は永遠に少女の姿をしているから、 見た目で判断できませんけどね。
 私は頷いてみせました。

「はい。 武器屋を探しています。 ここにいる戦士の魔法の武器を買いたいのです」
「 それならちょうどいい場所があるぞ。 よければわしが案内してあげるのじゃ」

 話し口調から察すると女性は、 ロリババアーーげふんげふん。 素敵な大人のようです。
 せっかくだからお願いすることにしましょう。



「 わしはリゼという。 よければお前さん達の名前を教えてくれるかの?」

 道すがら、私とドワーフの女性ーーリゼは、 仲良くおしゃべりをすることにしました。

「 私は 聖女のルナマリアと申します。 こっちは戦士のガルヴァスです」

 ガルヴァスは 会話に参加せずに黙っています。 いかにも女性特有のかしましさが苦手そうですからね。 致し方ないことでしょう。

 リゼは少し驚いたように目を開きます。

「 女神官ではなく聖女様だとはの。 これは敬語で喋らなければいけないかの?」
「いえ、 私は若輩者ですから気軽にしゃべってください」
「 それでは気兼ねなく。 ルナマリア よ、案内する代わりにわしの頼みを聞いてくれんかの?」

 リゼは、 最初から私に頼みごとをするために近づいてきたのでしょうか。
 いえ、 人の親切を疑ってはいけませんよね。

「 私は聖女さまを探しておったのじゃ。 ちょうど良いところでお前さんに会えてよかった」

 やはり、偶然でした。
 私は思わず笑顔になります。

「 私にできることなら、 なるべく聞き入れますよ」
「 ではしばらくの間、私に同行しておくれ。 もちろん、護衛として報酬は支払うぞ」

 リゼは 私に護衛の依頼をしたいようです。 でも、聖女でなければならない理由は何なのでしょうか。

「 今の私は 街中じゃないと無理ですよ」

 アシュトンたちがいませんからね。 馬車の護衛などは不可能なのです。
 ガルヴァスも 力不足で、 誰かを守りながらの戦闘は難しいことでしょう。

「 安心せい。わしは町から出るつもりはないぞ」
「 それならお受けいたします」
「 その言葉、忘れるでないぞ」

 リゼは、 なぜかニヤリと笑った気がします。
 冷や汗ダラダラ、嫌な予感がしてきました。

「 私は戦闘力の低い、 一介の聖女にすぎませんからね!?」
「 しばらくの間、わしの買い物に付き合ってもらいたいだけじゃ」

 それは聖女じゃなくても良くありませんか。 知り合いに頼めば済む話ですよね。

「 勇者のサインをもらったと自慢 してくる輩がいての。そやつに自慢し返すために、 私は聖女のルナマリアとデートするのじゃ。あ、 サインの方も頼む」

 何からつっこめばいいのか分からなくなってきましたよ・・・・・・。

 脱力感でいっぱいです。

 お金に余裕があるし、目的があるわけじゃないですからね。 しばらくリゼに付き合ってあげますか。

 サイン? 別に書いてあげてもいいけど、どうしてこんなものを欲しがるのか分かりません。

 ・・・・・・ 武器屋って、こんなに遠かったですかね。




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