思い上がりの勇者パーティーに女神の裁きを

はなまる

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第1章 勇者を裁くだけの簡単なお仕事を始めました

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「 マチルダさんにどんな動機があるというのですか!」
「 論より証拠。【 神の眼】で調べれば 結果が明らかになるぞ」

 リゼの 言うとおりです。 でも、混乱している頭では何も考えられません

「・・・・・・ 心の整理のための時間をください」
「 あまり猶予はないのじゃが・・・・・・ 今日1日で決意を固めておくのじゃよ」
「はい」
「 そうと決まれば、 町を案内してやろう。 冒険ばかりで観光は全くしておらんのじゃろ?」

 リゼは 切り替えて、 私を気分転換に誘ってくれました。・・・・・・ 本当は自分が遊びたいだけでしょうけどね、 今は素直に嬉しく思いますよ。

「では、ガルヴァスに 待ち合わせの連絡をしておきますね」

 ギルドカードで連絡をを交換した者同士は、 念話ができるようになります。 メッセージを送ることも可能です。
 そういえば、 アシュトンたちとの 連絡先登録は抹消していませんでしたね。まあ、 お互いに話すことはないから別にこのままでも困ることはないでしょう。
 そう思った矢先に、なぜかエイミアからの メッセージが届きました。

「私も脳筋 コンビにイライラしていたの。 戦術を立ててもどうせあの二人が暴走するから、 火力でゴリ押しした方が魔物を早く殲滅できるのよね。 それでルナマリアに八つ当たりしてしまって・・・・・・ ごめんなさい。 よければ直接会って謝る機会をくれないかしら」

 昨日の今日で掌を返すなんて、随分と面の皮が厚いですね。私はエイミアの腹黒さをバッチリ身に染みていますから、出来ることなら顔を会わせたくありません。
 でも、無視を決め込んだ方が後々厄介なことになりそうなんですよね。粘着質と言いますか、何と言いますか。エイミアに眼をつけられた時点で、悟りの境地にはいらなければいけません。

「仕方がありません。エイミアの企みに付き合ってあげますか」
「エイミアなら、 ここに呼びつければ良い」

 リゼはエイミアを 知っているような口ぶりでした。 おそらく女王陛下と宮廷魔術師として、 公務の場で席を共にしたことがあるのでしょう。

「あやつは 一度、懲らしめておかなければいけないと思っていたところじゃ」

 私もエイミアには恨みつらみがありますけどね。
 果たして、リゼはどうするつもりなのでしょうか。




「まさか、 ルナマリアに 貴族とのコネがあるとは思わなかったわ」

 エイミアは部屋に入ると、 意外そうに感想を漏らしました。
 貴族と言うか、女王陛下のコネですけどね。
 天井付きのベッドとか、確かに私には似合わないですよ。 言われなくてもわかっています。

「・・・・・・ それでご用件は?」

 あまり時間を取られたくないので、 私はさっさと本題に入ることにしました。エイミアは まるで親しい間柄かのように 笑顔を浮かべます。

「 そんなに邪険に扱わないでよ。 私は本当に反省してるんだからね」

 心からの謝罪だとは思えません。 上辺だけ取り繕って、 私に取り入ろうとする魂胆が見え見えですよ。

 エイミアの 狙いは予想がついています。

 アシュトンパーティーは C ランクになりました。 C ランクパーティーは 人族最後の国 ガードラインで冒険活動ができません。 魔王に挑むことさえ許されないのです。
 アシュトンは、今代最強の勇者に成長すると 歌われていました。 魔王を倒せる可能性もゼロではなかったのです。 だからこそエイミアは アシュトンの仲間入りをして、 私もパーティーメンバーの横暴な態度を我慢していました。

 エイミアは、 女神の裁きでアシュトンのパーティーから 足抜けすることができないから、 勇者の義務で冒険を続けなければなりません。 彼女は宮廷魔術師に戻りたいから、 私にそのことを頼みに来たのでしょう。

「 よかったら、私をルナマリアの仲間に入れてくれない? この国に勇者候補の知り合いがいるし、 新しいパーティーを組みましょう」

 そうきましたか。 図々しいにも程がありますね。 さすがにここまで、 自分本位に考えられる人だとは思いませんでしたよ。
 腹黒ここに極まれり、ですね。

 私にエイミアの相手は荷が重すぎます。リゼに 任せることにしましょう。

「エイミアよ、 自分勝手な言い分じゃの」
「えっ? ・・・・・・まさか、 フレアリーゼ女王陛下ですか!?」

 リゼの 登場に、エイミアは 飛び上がるほど 驚いていました。
 ちなみに、リゼはずっとこの場にいましたよ。 自分の主に気づかないなんて、 忠義心というものは持ち合わせているのでしょうか。 きっと、皆無に違いありません。

「 すぐに気づかないとは、 それだけの忠誠でしかなかったということじゃの。 残念じゃ」
「 もちろん気づいていましたよ。 ルナマリアとの要件を優先してしまい申し訳ありませんでした!」

 私、 土下座って初めて見ました。エイミアの 必死さが滑稽です。 思わず笑ってしまいますね。

「 お主は相変わらず愉快なやつじゃの」
「 楽しんでいただけて光栄です!」
「 正直に申してみよ。 お主は宮廷魔術師に戻りたいのか、戻りたくないのかの?」
「 戻りたいです!」

 エイミアは 頭を床に擦り付けながら、リゼに 懇願するように正直に答えました。

「 勇者の仲間になって魔王討伐の 一員になってみせるから、宮廷魔術師長の席を用意するように啖呵を切ったのは、どこのどいつじゃったかの」
「 若気の至りだったのです。本当に申し訳ありませんでした!」
「ふむ。・・・・・・ ルナマリアよ、エイミアは こう申しておるが、 お主は 謝罪を受け入れてもいいと思うかの?」

 いきなり、私に話題を振らないでくださいよ!? 
 すっかり油断していて、お菓子を頬張っていたわけではありませんよ。 本当ですよ?

 ・・・・・・。

 こほん。

 私にこれ以上迷惑をかけてこないなら、エイミアの 願いを許可してもいいのではないでしょうか。

「エイミアが 宮廷魔術師を名乗ることを許してもいいと思いますよ」
「 では、今度の事件で活躍したらの」
「はい。 誠心誠意ことに当たらせていただきます! ・・・・・・ 何の事件が起きるんですか?」
「 スタンピードの予兆があるのじゃよ」

 リゼはエイミアを 通じて、 アシュトン等勇者パーティーまで利用することにしました。
 さすが女王陛下。 人を使うのがお上手ですね。

 そんな会話をしているところに、 なぜか扉が開きました。
 ルームサービスは誰も頼んでなかったですよね。

「エイミア、 ルナマリアと一緒にいたのか。 探したぞ」

 免れざる客はアシュトンでした。 シルフィーユも後ろに控えています。



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