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第3章 追憶の詩を聴いてみました
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ジャネットは聖剣を抜き放ち、 魔族に斬りかかりました。これだけだと、 普通の勇者としての行動なのですけどね。 彼女は尋常じゃないです。鬼気迫る 表情をしていますよ。
魔族は勇者を鍛えるための存在だから、 戦い自体は間違ってはいません。
しかし、 魔族がエリーゼの両親を殺してしまった真相は別にあるような気がします。 せめて理由だけでも聞き出さなければ、 取り返しのつかないことに なるような気がするのです。
勘でしかないのですけどね。 ジャネットは・・・・・・ エリーゼは、 このままでは復讐心に囚われたままになってしまう気がするのです。
そんなことは、ご両親は望んでいないはずですよ。 二人はエリーゼに幸せになってもらいたいと 思っているはずです。
エリーゼを止める方法はないものでしょうか。
「【 ブレイブソード】!!」
エリーゼは勇者の力を使いこなせています。 勇者の力と聖女の力を切り替えることができるのかもしれませんね。
私との戦いで勇者の力を使わなかったのは、女神の裁きを警戒したからでしょうか。
だけど、 エリーゼの動きは心なしかぎこちないですね。
「 何者かは分からないが、 攻撃してくるなら容赦しないことにした」
魔族はエリーゼの攻撃をひらりと回避して、 彼女の顔面に 右拳を 繰り出しました。 エリーゼの体は宙に舞い、 地面に激突してしまいます。
「がはっ!?」
「 接近戦に慣れていないとみた。 それでは俺に傷一つつけられなかった」
「 うるさいっ! 魔族は何としてでも根絶やしにしてみせる!!」
エリーゼは何度も 攻撃を繰り返します。けれど、 空を切るばかりでした。
「 何度やっても結果は一緒だった」
「 力も素早さも私の方が上のはずなのに、どうして当たらないのですか!?」
エリーゼは動揺して、 聖女のしゃべり方に戻っていました。 彼女は表情を歪めながらも、 果敢に攻め続けます。段々と無駄な動きが少なくなり、 剣を振るスピードも鋭くなっています。 それでも魔族には 届きませんでした。
「 そろそろ本気を出すことにした。【 ブラストインパクト】!!」
対象に接触しないと発動できない代わりに、 強力な威力を誇る攻撃魔法です。
魔族は魔力を自分の右拳に加えて、 エリーゼに向かって 振りかぶりました。
このままではエリーゼが死んでしまうかもしれません。
「【 プロテクション】!!」
私は咄嗟に防御魔法を唱えて、 魔族の一撃からエリーゼを救い出しました。
「 ルナマリア、私に恩を売ったつもりですか!?」
エリーゼはすっかり素になって、 私を責めたてました。
そんなわけないじゃないですか。 とっさに助けに入ったのですから、 何の打算も ありませんでしたよ。 本当ですよ?
信用を勝ち取るのは、 なかなか難しいものですね。
私は勇気を出して、 エリーゼに声をかけることにしました。
「 ひょっとして、ジャネットというのは偽名ですか?」
「 偽名ではありませんよ。 あなたに 詳しく説明する義理はないけど、 今の私はジャネット自身で間違いありませんよ」
説明を聞いても理解出来るどころか、 ますます分からなくなってきました。
二重人格というやつでしょうか。
でも、 喋り口調や 性格を加味すると エリーゼで間違いないのですよね。
考えてもわからないことは後回しにしましょう。 とにかく私は、エリーゼを助けたいのです。
「 邪魔をするなら 、貴様にも容赦しないことにした!」
魔族は 私のことを睨みつけてきました。 恐ろしくて今すぐ逃げ出したいです。 それでも私は踏みとどまることにしました。
「 エリーゼを殺させるわけにはいきません!」
「 エリーゼだった!?」
魔族は驚愕の表情を浮かべて、 一瞬だけ動きが止まりました。 その隙を突いて、ガルヴァスが 魔族の背後から グレートソードを振り下ろします。
魔族はとっさに回避行動を取りましたけど、 避けきれずに 深いダメージを受けました。
「これならっ!!」
エリーゼは 魔族に止めを刺すべく駆け出しました。
ところが・・・・・・。
「 今すぐ戻ってこい」
知らない男性の声が響き渡りました。 エリーゼは動きを止めて、 その声に反応します。
「しかし、 この魔族を殺すチャンスなのですよ!」
「 逆上して冷静さに欠けているようだな。 そいつには切り札があるから、 攻撃すれば 呪いを受けてしまうことになるぞ」
言うが早いか、ガルヴァスが 崩れ落ちるように倒れてしまいました。
「ガルヴァスさん!?」
私はガルヴァスに 駆け寄り、解呪の 魔法を詠唱しました。
「 彼の者の呪いを消し去れ。【 リムーブカース】!」
お願いします、女神様。ガルヴァスは 私の大切な仲間なのです。 別れたくありません。 一緒にいたいのです。 ヴァルハラに連れて行かないでください。
私の願いが届いたのか、ガルヴァスは ゆっくりと目を開けました。
「 ルナマリア、なんて顔しているんだ? 可愛い顔が台無しだぞ」
「 誰のせいだと思っているんですか」
私が涙で視界を曇らせている間に、 男の声がエリーゼに忠告していました。
「 悔しいだろうが、 本来の力を発揮することもできないお前では到底敵う相手ではない。 まだ魔族と戦うには準備が足りないから、今すぐ戻ってくるんだ」
「わかり、ました・・・・・・」
エリーゼは唇を噛み締めながらも 声に従って、【 ホーリーディメンション】で どこかへと消え去りました。
前の時と同じく気配は全く感じません。 このトリックを 暴き出さない限り、 彼女の動きを封じて、 話し合いの場につかせることはできそうにありません。
「 俺は何のために戦ったのか分からなくなった・・・・・・」
魔族はエリーゼと戦うつもりは全くなかったようで、 戦っていた相手が彼女だったと気付くと 後悔しているようでした。
「さあ、 エリーゼの両親が亡くなった時の真相を打ち明けてもらいましょうか」
魔族に絶対に敵わないというのに、 フォルテが勇敢に 質問を投げかけました。
魔族は勇者を鍛えるための存在だから、 戦い自体は間違ってはいません。
しかし、 魔族がエリーゼの両親を殺してしまった真相は別にあるような気がします。 せめて理由だけでも聞き出さなければ、 取り返しのつかないことに なるような気がするのです。
勘でしかないのですけどね。 ジャネットは・・・・・・ エリーゼは、 このままでは復讐心に囚われたままになってしまう気がするのです。
そんなことは、ご両親は望んでいないはずですよ。 二人はエリーゼに幸せになってもらいたいと 思っているはずです。
エリーゼを止める方法はないものでしょうか。
「【 ブレイブソード】!!」
エリーゼは勇者の力を使いこなせています。 勇者の力と聖女の力を切り替えることができるのかもしれませんね。
私との戦いで勇者の力を使わなかったのは、女神の裁きを警戒したからでしょうか。
だけど、 エリーゼの動きは心なしかぎこちないですね。
「 何者かは分からないが、 攻撃してくるなら容赦しないことにした」
魔族はエリーゼの攻撃をひらりと回避して、 彼女の顔面に 右拳を 繰り出しました。 エリーゼの体は宙に舞い、 地面に激突してしまいます。
「がはっ!?」
「 接近戦に慣れていないとみた。 それでは俺に傷一つつけられなかった」
「 うるさいっ! 魔族は何としてでも根絶やしにしてみせる!!」
エリーゼは何度も 攻撃を繰り返します。けれど、 空を切るばかりでした。
「 何度やっても結果は一緒だった」
「 力も素早さも私の方が上のはずなのに、どうして当たらないのですか!?」
エリーゼは動揺して、 聖女のしゃべり方に戻っていました。 彼女は表情を歪めながらも、 果敢に攻め続けます。段々と無駄な動きが少なくなり、 剣を振るスピードも鋭くなっています。 それでも魔族には 届きませんでした。
「 そろそろ本気を出すことにした。【 ブラストインパクト】!!」
対象に接触しないと発動できない代わりに、 強力な威力を誇る攻撃魔法です。
魔族は魔力を自分の右拳に加えて、 エリーゼに向かって 振りかぶりました。
このままではエリーゼが死んでしまうかもしれません。
「【 プロテクション】!!」
私は咄嗟に防御魔法を唱えて、 魔族の一撃からエリーゼを救い出しました。
「 ルナマリア、私に恩を売ったつもりですか!?」
エリーゼはすっかり素になって、 私を責めたてました。
そんなわけないじゃないですか。 とっさに助けに入ったのですから、 何の打算も ありませんでしたよ。 本当ですよ?
信用を勝ち取るのは、 なかなか難しいものですね。
私は勇気を出して、 エリーゼに声をかけることにしました。
「 ひょっとして、ジャネットというのは偽名ですか?」
「 偽名ではありませんよ。 あなたに 詳しく説明する義理はないけど、 今の私はジャネット自身で間違いありませんよ」
説明を聞いても理解出来るどころか、 ますます分からなくなってきました。
二重人格というやつでしょうか。
でも、 喋り口調や 性格を加味すると エリーゼで間違いないのですよね。
考えてもわからないことは後回しにしましょう。 とにかく私は、エリーゼを助けたいのです。
「 邪魔をするなら 、貴様にも容赦しないことにした!」
魔族は 私のことを睨みつけてきました。 恐ろしくて今すぐ逃げ出したいです。 それでも私は踏みとどまることにしました。
「 エリーゼを殺させるわけにはいきません!」
「 エリーゼだった!?」
魔族は驚愕の表情を浮かべて、 一瞬だけ動きが止まりました。 その隙を突いて、ガルヴァスが 魔族の背後から グレートソードを振り下ろします。
魔族はとっさに回避行動を取りましたけど、 避けきれずに 深いダメージを受けました。
「これならっ!!」
エリーゼは 魔族に止めを刺すべく駆け出しました。
ところが・・・・・・。
「 今すぐ戻ってこい」
知らない男性の声が響き渡りました。 エリーゼは動きを止めて、 その声に反応します。
「しかし、 この魔族を殺すチャンスなのですよ!」
「 逆上して冷静さに欠けているようだな。 そいつには切り札があるから、 攻撃すれば 呪いを受けてしまうことになるぞ」
言うが早いか、ガルヴァスが 崩れ落ちるように倒れてしまいました。
「ガルヴァスさん!?」
私はガルヴァスに 駆け寄り、解呪の 魔法を詠唱しました。
「 彼の者の呪いを消し去れ。【 リムーブカース】!」
お願いします、女神様。ガルヴァスは 私の大切な仲間なのです。 別れたくありません。 一緒にいたいのです。 ヴァルハラに連れて行かないでください。
私の願いが届いたのか、ガルヴァスは ゆっくりと目を開けました。
「 ルナマリア、なんて顔しているんだ? 可愛い顔が台無しだぞ」
「 誰のせいだと思っているんですか」
私が涙で視界を曇らせている間に、 男の声がエリーゼに忠告していました。
「 悔しいだろうが、 本来の力を発揮することもできないお前では到底敵う相手ではない。 まだ魔族と戦うには準備が足りないから、今すぐ戻ってくるんだ」
「わかり、ました・・・・・・」
エリーゼは唇を噛み締めながらも 声に従って、【 ホーリーディメンション】で どこかへと消え去りました。
前の時と同じく気配は全く感じません。 このトリックを 暴き出さない限り、 彼女の動きを封じて、 話し合いの場につかせることはできそうにありません。
「 俺は何のために戦ったのか分からなくなった・・・・・・」
魔族はエリーゼと戦うつもりは全くなかったようで、 戦っていた相手が彼女だったと気付くと 後悔しているようでした。
「さあ、 エリーゼの両親が亡くなった時の真相を打ち明けてもらいましょうか」
魔族に絶対に敵わないというのに、 フォルテが勇敢に 質問を投げかけました。
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