思い上がりの勇者パーティーに女神の裁きを

はなまる

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第5章 聖王都で明かされる真実

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 リゼは 女王陛下だから、普通はそう簡単に会うことは叶わないはずです。でも、彼女はいつものようにお城を抜け出していました。
 私としては気軽に会うことができるのでいいのですけど、王宮で働いている人達は何かと気苦労が耐えませんね。

「リゼ、お久し振りです」
「何じゃ。ルナマリア、もう戻ってきていたのかの。それならそうと連絡をよこさんか。盛大に歓迎してやったというのにの」
「いえ、結構です」

 リゼの歓迎は嫌な予感しかしません。見せ物にでもされたら溜まったものではありませんよ。

「釣れないの。して、どのような理由で戻ってきたのじゃ?」
「仲間と共に神聖国家 アレクシスに向かっている途中です」
「仲間とな?」
「はい。ガルヴァスさんの他に新しい仲間が増えました。紹介します。ユメリアと クロード君です」

 私が紹介すると、ユメリアと クロードは軽く会釈しました。

「エルフの弓使いのユメリアですぅ」
「はじめまして。僕が クロードです」
「ふむ。伝承通りというわけじゃの」

 リゼは訳知り顔で、自分一人だけ納得するようにそう呟きました。私は気になり、首をかしげて思いきって尋ねてみることにします。

「リゼ、伝承とは何のことですか?」
「 もちろん、千年前のルナマリアの伝承のことじゃよ」

 また 1000年前のことですか。私も 1000年前のルナマリアの手紙に従って、神聖国家アレクシスに向かっているので他人のことは言えないのですが、本当にどうなっているのでしょうか。

「もっと詳しく教えてください!」
「では、説明してやることにするかの」

 リゼは伝承の内容を教えてくれました。

 赤炎の国 フレアリーゼが魔物の暴走ーー スタンピードに襲われた時、聖女ルナマリアの活躍によって国は救われることでしょう。
 これは マチルダが引き起こしてしまった スタンピート を、【 バニッシュ】によって何とか食い止めることができたときの話ですね。でも、あれは皆さんの活躍があったからこそです。私一人の功績ではありませんよ。

 ・・・・・・その話は今更ですけど、何か関係があるのでしょうか。


 私が頭の中に クエスチョンマークがいっぱいになって首をかしげたところで、リゼはさらに告げることにしました。

「ここからが肝心なところなのじゃ。 千年前のルナマリアからの手紙があっての・・・・・」

 その手紙には スタンピードの予言がなされていて、もしもその予言が当たったなら、その時代のルナマリアが神聖国家アレクシスに向かうときに協力してほしいということでした。
 千年前のルナマリアは何もかもお見通しということでしょうか。 なんだか怖くもなってきますね。

「 手紙の予言通りだから、リゼは 私に協力してくれるということですか?」
「 面白いことにその手紙の筆跡は、 今のお主のものと全く一緒じゃった。ひょっとするとお主は、 1000年前のルナマリアそのものかもしれんの」

 リゼの予想は余りにも突飛過ぎるのですが、 1000年前のルナマリアが 私の筆跡を真似したのかもしれませんね。どうしてそうするのか理由が全くわからないですけどね。何かしらの意図があるはずです。

 リゼが私に協力してくれるそうですから、それでよしとしておきましょうか。

「リゼは私に協力してくれるのですよね? 具体的には何をしてくれるのですか?」
「王族しか使えない テレポーターが存在するのじゃ。それを使って、お主らを第五の国まで送り届けてやろうぞ」
「それって、王族の緊急時にしか使用してはいけない代物ではありませんか?」
「 千年前のルナマリアがわざわざ予言を残すほどじゃ。 世界レベルの危機やも知れん。使うに相応しいタイミングであるのじゃ」

 リゼが言うように 世界レベルの危機かどうかはわかりませんけど、確かに厄介事が起きるのは間違いありませんよね。 今までの1000年前のルナマリアの 予言から察すると、何かと面倒事に巻き込まれていました。これからも、きっとそうに違いありませんよね。


 王宮の中を歩いているというのに、何の感動もありませんでした。これからの事を思うと、ちっとも心が動かないのですよ。
 ガルヴァスは、いつものように平然としていました。さすがベテラン冒険者です。いざというときは、いつも頼りにしていますよ。
 ユメリアはキョロキョロと辺りを見回しています。おのぼりさん状態です。恥ずかしい子ですね。通り かかったメイドや執事に笑われているではありませんか。彼女には後でお仕置きが必要なようですね。
 クロードはガチガチに固まっていて、 右手と右足が 同時に 動いていました。彼は 今までは細々と冒険をしていて、王族どころか末端の貴族にさえ会う機会が全くなかったのだから、王宮に一歩足を踏み入れるだけでふわふわと地に足がつかない感覚がしてしまうのでしょう。
 私も高級ホテルで 似たような感じだったので、 クロードの気持ちはよくわかりますよ。 同じ神殿出身なだけに、 そういうところまで似てしまっているのかもしれませんね。

「ここがわしの部屋じゃ」
「えっ?」

 リゼはテレポーターのある場所に案内してくれていたのではなかったのですか。 私たちに遊んでいる暇はないのですよ。 彼女はどういうつもりで、私達を自分の部屋まで 連れてきたのでしょうか。

「 テレポーターは、わしの部屋の隠し扉から入ることができる隠し部屋にあるのじゃよ」
「何だ、そういうことですか」

 私はもう少しで、リゼに不敬を働くところ・・・・・・いえ、喧嘩を売るような真似をするわけがありません。本当ですよ?

「ほほう? ルナマリアはそんなにわしとの模擬戦を所望していたのかの。いいじゃろう。相手になってやろうぞ!」
「じ、冗談ですよね?」
「これも、 1000年前のルナマリアからの 指示じゃ」
「 絶対に今、突然思いつきましたよね!?」

 
 うぎゃああああ!!!??


 ーーしばらくお待ちくださいーー



 隠し通路には罠が仕掛けてありましたけど、リゼが簡単に解除してくれました。先に進むと広い空間に出ました。その部屋には巨大な魔方陣があります。
 リゼは呪文を唱えました。すると私達の体が光に包まれていきます。転移魔法が発動したようです。

「ルナマリア、お主にとっては大いなる試練となることじゃろう。しかし、お主なら絶対大丈夫じゃよ」

 私の体が完全に光の中に消え去る前に、リゼは激励の言葉をかけてくれました。
 この世に絶対などあり得ません。でも、 もしも1000年前のルナマリアが明るい未来を予言していて、リゼが その未来を信じているというのならば、 私も少しだけ信じてみたいと思いました。


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