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2、人に親切にしたら、不幸の手紙が届きました!?

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 魔法学校に入学してから一週間が経ちました。

 クレストとはあれから会っていません。
 クラスが違うから、これからも 関わることはないでしょう。
 一時はどうなることかと思ったけれど、これで一安心ですね。

 授業の前に魔力測定がありました。
 どうやら、私は平均値のようです。
 貴族の中での平均だから、 平民と比べたら魔力は高い方なんですけどね。
 魔法の実技ではそれなりの成績しか取れなさそうです。
 ヒロインのパラメーターはランダムに決まるから、 最低値でなかっただけ良しとしときましょうか。

 授業は何とかついていけそうです。
 でも、この世界独自の専門用語がちょっと厄介なんですよね。
 ゲームの知識である程度は理解できるけど、 それでも前世の感覚でところで つまずくところがあります。

「 仕方がないから、図書館で勉強しましょうか」

 図書室ではなく図書館です。 校舎とは別に、 図書館があるんですよ。
 王立図書館に負けないほどの品揃えだそうです。
 山ほどあるのはいいんですけど 目当ての本を探すのが 大変そうですよね。
 素人が一人で歩き回ってはいけません。 迷子になるほどひどいのですよ。
 司書さんを 頼らなければいけません。

「 魔法用語の本をお願いします」
「 かしこまりました。すぐにお持ちしますね」

 私がお願いすると、司書さんは 5分ほどで戻ってきました。 手には分厚くて高級そうな本を持っています。
 迷路のような場所でよく探し出せますね。

「 どんな魔法を使って本を見つけ出したんですか?」
「いえ、 魔法ではありませんよ。 私は全ての本のタイトルと内容を覚えているんです」
「 全てですか!?」

 驚かずにはいられません。 だって、図書館には1万冊以上の本があるんですよ!

「 すごいですね!」
「司書として、 当然のことです」
「 簡単にやって見えることが、実は一番難しいということはよくあります。 私は尊敬しますよ」
「 そう言ってもらえると嬉しいです」

 司書さんをは 笑うと可愛いらしいですね。
 普段はメガネでクールな印象です。
 これがギャップ萌えというやつですか!

 司書さんは、 言ってはなんですがモブの女性です。 絶対に私を陥れることはありません。
 そうではなければ、こんなに安心して話しかけられませんよ。

「 図書館で勉強するなら、 申し訳ありませんが相席になってしまいますよ」

 司書さんが そう言った。

 いつもならテーブルは空いているけど、 今日はなぜかほとんどの席が埋まっています。
 皆さん、勉強熱心ですね。
 まあ、 私もですけど。
 それぞれ静かに勉強するだけだから、何の問題もないでしょう。

「 私は気にしませんよ」
「 よかったです。それではこちらにどうぞ」

 司書さんに 案内された席の近くには、 なぜか攻略対象の一人の カイル= エルレイド 侯爵子息が いました。

「ひえっ!?」

 私は驚きのあまり、おかしな悲鳴をあげてしまいます。
 それにより注目を集めてしまいました。
 当然、カイルもこっちを見ています。

「 俺はそんなに怯えるほど怖い顔をしているのか?」

 カイルは切れ長の目をしていますからね。 私の態度に少しだけ落ち込んでいるようです。

「いえ、 そうではないんです。 私がちょっと転びそうになっただけです」
「そうか」

 カイルは、 ほっとして安堵のため息をついています。
 他のヒロイン達に見られるとやばいですね。

「 それでは、私はこれで失礼します」
「 君は勉強をしに来たんだろう? それとも・・・・・・やはり俺が怖いのか?」

 イケメンが子犬のように不安そうな目をしているんですよ。
 これは席に着くしかありませんね。

「あ、 そこ間違ってますよ」

 ふとカイルの ノートが目に入り、 私は間違いを見つけて指摘しました。

「 この回答では違うのか?」
「 惜しいですけど、正解はこうです」
「 なるほど、よく理解できた。ありがとう」

 イケメンの笑顔が眩しすぎますね。
 ・・・・・・ 本当に他のヒロインに見られていないならいいんですけど。


 翌日。
 私のもとに手紙が届きました。


『 校舎裏でお茶会をします。参加してください。 お待ちしております。
 ヒロインの一人より』

 はい、 他のヒロインからの脅しきました!
 校舎裏っていつの時代ですか。
 そんな所でお茶会するわけないですよね!?
 
 できれば行きたくないけど、 行かない方が後が怖そうですよね。
 どうして、私がこんな目にあわなきゃいけないのでしょうか。
 誰か教えてください!




 
 
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