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そう言うとアリアナは顎に指先を当てた。
何かを考えながら話すときのアリアナの癖だと知っているベスはアリアナから放たれる言葉をドキドキしながら待つ。こう言う時のアリアナの話は面白い。
「一番可能性が高いのは賭博かしらね」
「賭博、ですか?」
「ええ。」
「賭け事は基本的に禁止されていますよね」
「そうね。でも、賭博を完全に禁止なんてできないでしょう。だからこそ公営のもので認められているものがあるの」
「でもそれならこのように手間のかかることは必要ありませんよね」
「だから、違法で、なのでしょうね。賭け事が禁止されているのは身を滅ぼす人間が多いから。でも、全く禁止にしてしまうと王の目の届かないところで、そう言うものができてしまう。だからある程度監視できるように公営の賭博、カジノや競馬を用意しているの。でもね、公営の賭場は入る時に身分と資産の提示が義務付けられている。だからこそ平民は入れないし、利用するのは大金持ちの貴族や一部の商人達が多い。」
「つまり、ハンゼ公爵家は資産がないから公営の賭場には入れないということですか?」
「そうでしょうね。それでも賭博をしたい欲求には勝てずに闇賭場と呼ばれるような場所に行く者達も多いのだから、おおよそクレメント様もそうでしょう。」
「それで、架空請求とどう繋がるのでしょうか」
「バーグ商会はおそらく闇賭場を経営してるのよ。で、闇賭場は万が一衛兵達が踏み込んで来ても言い逃れられないような現金は使わないのが一般的なの」
「お金を賭けないのですか?」
驚いたようにベスが尋ねると、アリアナは笑って首を振る。
「賭けるわよ。それも公営の賭博では禁止されているような高額でも、賭けられるわよ。」
「ですが現金は使わないのですよね?」
「使わないというより、その場で扱わない、が正しいわね。もしゲームが終わって金銭のやり取りをしているところを踏み込まれたらその場で捕縛されるわ。でも、お金の受け渡しが確認できないのであれば、それはただのお遊びでしかない。だから、お金の代わりに賭場札という独自の札を客に配布して勝ち負けを明示させるのよ。」
「賭場専用のお金…」
「ええ、そうね。でも金銭じゃないからいくらでも言い逃れができる。で、バーグ商会が主催ならおそらく闇賭場でも身分を明かした者しか入れないでしょうから、取りっぱぐれもないの。」
「ですが、そうまでして賭け事とはしたくなるものでしょうか」
不思議そうに尋ねたベスに、アリアナは苦笑いした。
何かを考えながら話すときのアリアナの癖だと知っているベスはアリアナから放たれる言葉をドキドキしながら待つ。こう言う時のアリアナの話は面白い。
「一番可能性が高いのは賭博かしらね」
「賭博、ですか?」
「ええ。」
「賭け事は基本的に禁止されていますよね」
「そうね。でも、賭博を完全に禁止なんてできないでしょう。だからこそ公営のもので認められているものがあるの」
「でもそれならこのように手間のかかることは必要ありませんよね」
「だから、違法で、なのでしょうね。賭け事が禁止されているのは身を滅ぼす人間が多いから。でも、全く禁止にしてしまうと王の目の届かないところで、そう言うものができてしまう。だからある程度監視できるように公営の賭博、カジノや競馬を用意しているの。でもね、公営の賭場は入る時に身分と資産の提示が義務付けられている。だからこそ平民は入れないし、利用するのは大金持ちの貴族や一部の商人達が多い。」
「つまり、ハンゼ公爵家は資産がないから公営の賭場には入れないということですか?」
「そうでしょうね。それでも賭博をしたい欲求には勝てずに闇賭場と呼ばれるような場所に行く者達も多いのだから、おおよそクレメント様もそうでしょう。」
「それで、架空請求とどう繋がるのでしょうか」
「バーグ商会はおそらく闇賭場を経営してるのよ。で、闇賭場は万が一衛兵達が踏み込んで来ても言い逃れられないような現金は使わないのが一般的なの」
「お金を賭けないのですか?」
驚いたようにベスが尋ねると、アリアナは笑って首を振る。
「賭けるわよ。それも公営の賭博では禁止されているような高額でも、賭けられるわよ。」
「ですが現金は使わないのですよね?」
「使わないというより、その場で扱わない、が正しいわね。もしゲームが終わって金銭のやり取りをしているところを踏み込まれたらその場で捕縛されるわ。でも、お金の受け渡しが確認できないのであれば、それはただのお遊びでしかない。だから、お金の代わりに賭場札という独自の札を客に配布して勝ち負けを明示させるのよ。」
「賭場専用のお金…」
「ええ、そうね。でも金銭じゃないからいくらでも言い逃れができる。で、バーグ商会が主催ならおそらく闇賭場でも身分を明かした者しか入れないでしょうから、取りっぱぐれもないの。」
「ですが、そうまでして賭け事とはしたくなるものでしょうか」
不思議そうに尋ねたベスに、アリアナは苦笑いした。
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