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本編【第二章】
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「シュナイダーと一緒にいたのだろう?」
「あの、どうして…」
「君が言い淀むとすれば、私のことを慮ってとしか思えない…すまない。」
「先ほど、私がシュナイダー様のダンスのお誘いをお断りした時に一緒にいらっしゃったのです。でもまさか…」
「詳細は奴に聞く。本当にすまない」
「あの、フォーゼム様が悪いわけではございません。それにシュナイダー様が関与しているかも分かりませんし…」
「ありがとう…そうだといいのだが」
悄然とした様子のフォーゼム様の姿を見て胸が痛む。
「あの…シュナイダー様はどちらに?」
「おそらくまだパーティ会場だ。奴のことだ。おそらくまだこの騒ぎには気づいてないだろう」
「ということは会場の招待されて方達は…」
「ああ、まだ知らされていないはずだし、気づいている者もほとんどいないだろう。」
私が不思議そうな顔をしたからだろう。フォーゼム様は困ったような笑みを浮かべて続けた。
「君たちのいた控え室は、会場よりだいぶ入り口に近いからな。それにエルシラはこういうことに敏感なんだ。異変を察知することに長けているというか…だからこそ君の護衛を任せたのだが」
「そうでしたか」
「私はシュナイダーに話を聞くが、君はエルシラに屋敷まで送ってもらうといい。カレン殿のことは私の方で手配する」
「あの、私も同席させていただけないでしょうか」
カレンに何があったのか知りたい、そう思いフォーゼム様に尋ねる。答えはもちろん是だと信じていた。しかし返ってきた答えに言葉を失う。
「いや、それは…許可できない」
想定外の返答に絶句していると、フォーゼム様は一度ゆっくり瞬きしてから続けた。
「すまない。弟には必ず私から話を聞き出す。奴がカレン殿を弑した者と繋がりがあれば必ず厳罰を与える。だから、今日のところは…」
フォーゼム様の瞳が懇願するように揺れるのを見て、私は諦めた。
「そう…ですか。それならば仕方ありませんね。どうぞカレンのことをよろしくお願いします」
「ああ。エルシラ、カリーナを頼む」
「はい」
フォーゼム様に背を向けて歩き始めると、瞳から涙が伝ってくる。カレンを失った悲しみなのか、フォーゼム様に拒絶されたことへの恨みなのか分からない。そっと背中を優しく押されて見上げると、エルシラ様が困ったように微笑んでいた。
「カリーナ様。フォーゼムはおそらくこれ以上カリーナ様を渦中に置いておきたくなかったのです。決して悪意から同席を拒否した訳ではありませんよ。」
「あの、どうして…」
「君が言い淀むとすれば、私のことを慮ってとしか思えない…すまない。」
「先ほど、私がシュナイダー様のダンスのお誘いをお断りした時に一緒にいらっしゃったのです。でもまさか…」
「詳細は奴に聞く。本当にすまない」
「あの、フォーゼム様が悪いわけではございません。それにシュナイダー様が関与しているかも分かりませんし…」
「ありがとう…そうだといいのだが」
悄然とした様子のフォーゼム様の姿を見て胸が痛む。
「あの…シュナイダー様はどちらに?」
「おそらくまだパーティ会場だ。奴のことだ。おそらくまだこの騒ぎには気づいてないだろう」
「ということは会場の招待されて方達は…」
「ああ、まだ知らされていないはずだし、気づいている者もほとんどいないだろう。」
私が不思議そうな顔をしたからだろう。フォーゼム様は困ったような笑みを浮かべて続けた。
「君たちのいた控え室は、会場よりだいぶ入り口に近いからな。それにエルシラはこういうことに敏感なんだ。異変を察知することに長けているというか…だからこそ君の護衛を任せたのだが」
「そうでしたか」
「私はシュナイダーに話を聞くが、君はエルシラに屋敷まで送ってもらうといい。カレン殿のことは私の方で手配する」
「あの、私も同席させていただけないでしょうか」
カレンに何があったのか知りたい、そう思いフォーゼム様に尋ねる。答えはもちろん是だと信じていた。しかし返ってきた答えに言葉を失う。
「いや、それは…許可できない」
想定外の返答に絶句していると、フォーゼム様は一度ゆっくり瞬きしてから続けた。
「すまない。弟には必ず私から話を聞き出す。奴がカレン殿を弑した者と繋がりがあれば必ず厳罰を与える。だから、今日のところは…」
フォーゼム様の瞳が懇願するように揺れるのを見て、私は諦めた。
「そう…ですか。それならば仕方ありませんね。どうぞカレンのことをよろしくお願いします」
「ああ。エルシラ、カリーナを頼む」
「はい」
フォーゼム様に背を向けて歩き始めると、瞳から涙が伝ってくる。カレンを失った悲しみなのか、フォーゼム様に拒絶されたことへの恨みなのか分からない。そっと背中を優しく押されて見上げると、エルシラ様が困ったように微笑んでいた。
「カリーナ様。フォーゼムはおそらくこれ以上カリーナ様を渦中に置いておきたくなかったのです。決して悪意から同席を拒否した訳ではありませんよ。」
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