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第三章
風雅なる訪れ 2
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いざ口にしようとした時、初めてそのことに気付いて、瑞華の顔は急激に赤面してしまったのだ。
却ってそれは真実味を増したようだが、本当に本当に恥ずかしすぎて死にそうだった。
「九条風人さんが…その、そのですね」
言い出した言葉の一言一句を、両親が聞き逃すまいと待ち受けるあの表情。
もしかしたら一生忘れられないかもしれない。
どうにか一生懸命に説明して、当然の話ながら。
「それで瑞華ちゃんはどう思っているの?」
「まだ…急すぎて」
もう何も思いつかず、赤面した表情のまま伏せてしまった。
結果的にそれはもう都合よく理解してくださって。
良かったのか、何なのか分からない。
結局、九条家からの援助の話、風人さんがその陣頭指揮をする話をすれば、両親は思い通りの反応を示したのだ。
『鷹羽さんには悪いけれど、瑞華の幸せが一番だ』
『九条様の「風雅公」と呼ばれる方が力を試してほしいと言われるなら、お断りするなんてとんでもないわ。そのようにしましょう』
『まあ、表立ってどうこうするわけでもないし。こっそり招くなら良いだろう』
鷹揚な反応が、想像通りすぎて良かったのか何なのか。
しかし予想外の言葉も足された。
『瑞華ちゃんは、鷹羽さんのことも気になってきた所だもの。ゆっくり考えさせた方がいいわ』
『そうだな。娘の大切な将来だからな』
これには正直、絶句した。
いつ、一体いつ!?誰が??鷹羽氏に好意を見せた瞬間があったというのだ!?
しかも、いまでは九条風人にも気を寄せていることになっているのだから、どれだけ気が多い娘だと思っているのかと。そこはちょっとは嗜めるところだろう、と。
言いそうになって辞めた。
どこを言い直しても、何か均衡が崩れてまずい気がしたのだ。
下手に突いて、じゃあ九条風人に決めるか?と言われても、困る。
そんな一通りの話が終わって、どっと疲れてから自室に戻ると携帯に風人からのメールが着信していることに気付いた。
『話ついた?どんな顔で報告してるのか見たかったよ』
……くっ。
見ているのは携帯の画面だというのに、何故か黒い笑いの風人の顔を思い出し、怒りで震えたのも、もしかしてお見通しだろうか。
瑞華は華屋本社の通路を風人と並んで歩きながら、その時のことを思い出して密かにもう一度怒りに震えた。
そしてそれをエネルギーにしようと、隣に並んだ風人にとびきり柔らかく愛らしく見えるように微笑んだ。
「来て頂けて、嬉しく思っています」
「良いねえ」
ククッと愉しそうに、しかし人前だからかどこか華やかな笑顔で笑われる。
「その澄ました顔もだけど、さっき俺に見惚れてただろ?気分がいい」
その言葉に、思わず瑞華の笑顔は引き攣った。
却ってそれは真実味を増したようだが、本当に本当に恥ずかしすぎて死にそうだった。
「九条風人さんが…その、そのですね」
言い出した言葉の一言一句を、両親が聞き逃すまいと待ち受けるあの表情。
もしかしたら一生忘れられないかもしれない。
どうにか一生懸命に説明して、当然の話ながら。
「それで瑞華ちゃんはどう思っているの?」
「まだ…急すぎて」
もう何も思いつかず、赤面した表情のまま伏せてしまった。
結果的にそれはもう都合よく理解してくださって。
良かったのか、何なのか分からない。
結局、九条家からの援助の話、風人さんがその陣頭指揮をする話をすれば、両親は思い通りの反応を示したのだ。
『鷹羽さんには悪いけれど、瑞華の幸せが一番だ』
『九条様の「風雅公」と呼ばれる方が力を試してほしいと言われるなら、お断りするなんてとんでもないわ。そのようにしましょう』
『まあ、表立ってどうこうするわけでもないし。こっそり招くなら良いだろう』
鷹揚な反応が、想像通りすぎて良かったのか何なのか。
しかし予想外の言葉も足された。
『瑞華ちゃんは、鷹羽さんのことも気になってきた所だもの。ゆっくり考えさせた方がいいわ』
『そうだな。娘の大切な将来だからな』
これには正直、絶句した。
いつ、一体いつ!?誰が??鷹羽氏に好意を見せた瞬間があったというのだ!?
しかも、いまでは九条風人にも気を寄せていることになっているのだから、どれだけ気が多い娘だと思っているのかと。そこはちょっとは嗜めるところだろう、と。
言いそうになって辞めた。
どこを言い直しても、何か均衡が崩れてまずい気がしたのだ。
下手に突いて、じゃあ九条風人に決めるか?と言われても、困る。
そんな一通りの話が終わって、どっと疲れてから自室に戻ると携帯に風人からのメールが着信していることに気付いた。
『話ついた?どんな顔で報告してるのか見たかったよ』
……くっ。
見ているのは携帯の画面だというのに、何故か黒い笑いの風人の顔を思い出し、怒りで震えたのも、もしかしてお見通しだろうか。
瑞華は華屋本社の通路を風人と並んで歩きながら、その時のことを思い出して密かにもう一度怒りに震えた。
そしてそれをエネルギーにしようと、隣に並んだ風人にとびきり柔らかく愛らしく見えるように微笑んだ。
「来て頂けて、嬉しく思っています」
「良いねえ」
ククッと愉しそうに、しかし人前だからかどこか華やかな笑顔で笑われる。
「その澄ました顔もだけど、さっき俺に見惚れてただろ?気分がいい」
その言葉に、思わず瑞華の笑顔は引き攣った。
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