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第五章
空に咲く華 1
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「何暗い顔してるのよ」
瑞華は呆れた声の夕凪弥生に頬をつままれた。
喫茶店でお茶しながら、九条の歴史についての授業中である。
テーブルの上に広げた資料は一通り、弥生さんには暗記してもらっていて、細かな点の確認や、よく話題に上る所を指導していたのだが。
どうも瑞華の覇気が足らなかったらしい。
弥生の恰好の餌になってしまった。
ちなみにこの勉強会、 九条家ですれば良いという、ありがたい申し出が九条月人からあったのだが。
「んー、ここに来ると月人さんには構いたくなるし、雪乃ちゃんにも構いたくなるし。誘惑多いから、今回はいいわ。他の時に甘えさせて?」
と、弥生は、なんとも不敵な断りを入れたのだ。
瑞華なら絶対言えない言葉であるが、魅惑的な微笑みで受け入れた九条の次期様の表情に、二人の結びつきの強さを感じてしまった。
と言うわけで、こうして弥生オススメの喫茶店でお茶を頂きながら勉強となっているわけだが・・・
どうやた九条家での勉強会を断ったのは、そもそも瑞華の様子がおかしかったかららしい。
心配されたというのなら、勿論ありがたいんだけど。
「悩み事があるなら言ってみたら?相談くらいのるわよ?」
にこりと笑う笑顔はまだしも、キラキラ期待に満ちた視線には少しばかり閉口してしまった。
だが、どうも弥生の言動に、瑞華は弱い。
どうしたものかと思いつつ。
「悩んでいるわけではないんですけど、ちょっと色々と」
出てきた答えはこれ以上なくアバウトだったが、弥生はお決まりのエスプレッソを口元に運んで笑って見せた。
「色々、ね」
エスプレッソの香りがふんわりと漂い。
つい気持ちが緩んでいると、穏やかに言葉が足される。
「案外最初に決めるのは、やるかやらないか、だったりしない?そこからの手段の選択、でしょ?」
ふふん、と鼻で笑われて。
やるか、やらないか。その言葉に確かにと頷く。
瑞華からするとつまり、それは。
「鷹羽さんと見切りをつけて全力で華屋を守るための攻めに転じるか、それとも諦めるか、でしょうか」
そう。
単純に言えば、この二択。
瑞華の心は既に、鷹羽氏から離れたがっている。
経営援助という、中々切っても切り切れない事情があるのは、心底分かっていて、だからこそ地団駄を踏んでいた。だが少しずつ心が『諦め』を嫌がり、行動したいと言っている。
その一方で、鷹羽氏に対する恐怖がどうしても抜けない。
一歩踏み出すその足を後ろから引きずられるような心境になるのだ。
単に自身のなさや、依存心が絡みついて判断が出来ないだけかもしれない。
ジンジャーエールを口に含んで、飲み込んだ。
「あら、三つめがあってもいいじゃない」
弥生の提案は瑞華の方へ乗り出して提案してくる。
「風人クンの本当の恋人になって、甘えて助けてもらう」
「・・・む、無理でしょう!」
瑞華は思わず立ち上がりかけて言い返した。
そして周りの視線を気にして、慌てて座った。
「えー?どして?」
わざとらしく首を傾げて、くすりと笑われる。
「だ、だって・・・風人さんは・・・」
瑞華が言い淀む様子に、弥生は楽しそうで満足そうだ。
瑞華は呆れた声の夕凪弥生に頬をつままれた。
喫茶店でお茶しながら、九条の歴史についての授業中である。
テーブルの上に広げた資料は一通り、弥生さんには暗記してもらっていて、細かな点の確認や、よく話題に上る所を指導していたのだが。
どうも瑞華の覇気が足らなかったらしい。
弥生の恰好の餌になってしまった。
ちなみにこの勉強会、 九条家ですれば良いという、ありがたい申し出が九条月人からあったのだが。
「んー、ここに来ると月人さんには構いたくなるし、雪乃ちゃんにも構いたくなるし。誘惑多いから、今回はいいわ。他の時に甘えさせて?」
と、弥生は、なんとも不敵な断りを入れたのだ。
瑞華なら絶対言えない言葉であるが、魅惑的な微笑みで受け入れた九条の次期様の表情に、二人の結びつきの強さを感じてしまった。
と言うわけで、こうして弥生オススメの喫茶店でお茶を頂きながら勉強となっているわけだが・・・
どうやた九条家での勉強会を断ったのは、そもそも瑞華の様子がおかしかったかららしい。
心配されたというのなら、勿論ありがたいんだけど。
「悩み事があるなら言ってみたら?相談くらいのるわよ?」
にこりと笑う笑顔はまだしも、キラキラ期待に満ちた視線には少しばかり閉口してしまった。
だが、どうも弥生の言動に、瑞華は弱い。
どうしたものかと思いつつ。
「悩んでいるわけではないんですけど、ちょっと色々と」
出てきた答えはこれ以上なくアバウトだったが、弥生はお決まりのエスプレッソを口元に運んで笑って見せた。
「色々、ね」
エスプレッソの香りがふんわりと漂い。
つい気持ちが緩んでいると、穏やかに言葉が足される。
「案外最初に決めるのは、やるかやらないか、だったりしない?そこからの手段の選択、でしょ?」
ふふん、と鼻で笑われて。
やるか、やらないか。その言葉に確かにと頷く。
瑞華からするとつまり、それは。
「鷹羽さんと見切りをつけて全力で華屋を守るための攻めに転じるか、それとも諦めるか、でしょうか」
そう。
単純に言えば、この二択。
瑞華の心は既に、鷹羽氏から離れたがっている。
経営援助という、中々切っても切り切れない事情があるのは、心底分かっていて、だからこそ地団駄を踏んでいた。だが少しずつ心が『諦め』を嫌がり、行動したいと言っている。
その一方で、鷹羽氏に対する恐怖がどうしても抜けない。
一歩踏み出すその足を後ろから引きずられるような心境になるのだ。
単に自身のなさや、依存心が絡みついて判断が出来ないだけかもしれない。
ジンジャーエールを口に含んで、飲み込んだ。
「あら、三つめがあってもいいじゃない」
弥生の提案は瑞華の方へ乗り出して提案してくる。
「風人クンの本当の恋人になって、甘えて助けてもらう」
「・・・む、無理でしょう!」
瑞華は思わず立ち上がりかけて言い返した。
そして周りの視線を気にして、慌てて座った。
「えー?どして?」
わざとらしく首を傾げて、くすりと笑われる。
「だ、だって・・・風人さんは・・・」
瑞華が言い淀む様子に、弥生は楽しそうで満足そうだ。
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