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第五章
空に咲く華 光は堕ちて 2
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弥生へのお願いが効いたのか、携帯に風人からの着信はなかった。
だが、駅に到着して、待合室のベンチに腰を下ろすとすぐに携帯が鳴る。
どきり、として液晶を見ると
鷹羽一王、と表示されていた。
どうしようか視線を一瞬彷徨わせるが。
この時間から急に誘われることもないだろうと思いなおす。
誘われたとしても出先なのだから、友達と花火大会に来てると言って断ろう。
通話ボタンを押した。
「もしもし…」
『ああ、瑞華さん。ちょっと声が聴きたくなってね』
「そう、なんですか」
『今はお出かけ中かな?電車とは珍しいね。君みたいなお嬢さんが』
駅のホームの音が聞こえたのだろうか。
珍しいと言いつつ、驚いた風でもない。なんだか見透かされているような錯覚さえ受けてしまう。
曖昧に瑞華が返事をすると、鷹羽は低く穏やかな声で切り出した。
『ところで、小耳に挟んだんだが。最近仲の良い男の子がいるそうだね』
瑞華は、すっと息を呑んだ。
きっとこれこそが本題だったのだろうと察する。
なんてことはないという様子を装って、瑞華は答えた。
「九条風人さんのことでしょうか…?」
電話なので、演じるのは随分楽だ。
焦って、動揺している風には取られないように、なるだけ、おっとりとした言い方を心がける。
『そうそう。分野違いだが、大手メーカーの次男らしいね』
「はい。同じ大学の先輩なんです」
育ちがよく、少し天然。勉強は出来るが物事を深く考えないお嬢様。
仲良くしてる男性がいることを婚約予定の男性に知られ慌てるなんてない。
恥じらいをもって認めるだけ。
そう自分に言い聞かせた。
『瑞華さんは、その男の子のことが好きなの?』
今、この時に、その質問は胸に刺さったが、声には出さない。
ゆっくりと呼吸を整えつつ、考えた。
鷹羽氏はどこまで知っているだろうか?
今の会社の経営に一枚噛んでいるのは知っているだろうか?
出入りがあるのは流石にばれているのだろう。
同時期に経営パターンに変化があれば多少の因果関係は疑わない方がおかしい。
まだダメだ。
疑いは疑いのままでいてもらわないと。
風人に迷惑を掛けて、華屋を助けて貰っていることは心苦しいが、それでも迂闊に返事をしては、更に迷惑をかけることになる。
だから、素知らぬ振りをするのが正解だと判断した。
「私、そういうのは、良く分からないんです。」
あなたと婚約の予定がありますし、なんて言葉は言わない。特に鷹羽氏に媚びを売りたくはなかった。
「九条さんには良く気にかけて頂いて、光栄に思ってます。」
そうとだけ言って、声に明るさが混じる様に微笑みを浮かべた。
だが、駅に到着して、待合室のベンチに腰を下ろすとすぐに携帯が鳴る。
どきり、として液晶を見ると
鷹羽一王、と表示されていた。
どうしようか視線を一瞬彷徨わせるが。
この時間から急に誘われることもないだろうと思いなおす。
誘われたとしても出先なのだから、友達と花火大会に来てると言って断ろう。
通話ボタンを押した。
「もしもし…」
『ああ、瑞華さん。ちょっと声が聴きたくなってね』
「そう、なんですか」
『今はお出かけ中かな?電車とは珍しいね。君みたいなお嬢さんが』
駅のホームの音が聞こえたのだろうか。
珍しいと言いつつ、驚いた風でもない。なんだか見透かされているような錯覚さえ受けてしまう。
曖昧に瑞華が返事をすると、鷹羽は低く穏やかな声で切り出した。
『ところで、小耳に挟んだんだが。最近仲の良い男の子がいるそうだね』
瑞華は、すっと息を呑んだ。
きっとこれこそが本題だったのだろうと察する。
なんてことはないという様子を装って、瑞華は答えた。
「九条風人さんのことでしょうか…?」
電話なので、演じるのは随分楽だ。
焦って、動揺している風には取られないように、なるだけ、おっとりとした言い方を心がける。
『そうそう。分野違いだが、大手メーカーの次男らしいね』
「はい。同じ大学の先輩なんです」
育ちがよく、少し天然。勉強は出来るが物事を深く考えないお嬢様。
仲良くしてる男性がいることを婚約予定の男性に知られ慌てるなんてない。
恥じらいをもって認めるだけ。
そう自分に言い聞かせた。
『瑞華さんは、その男の子のことが好きなの?』
今、この時に、その質問は胸に刺さったが、声には出さない。
ゆっくりと呼吸を整えつつ、考えた。
鷹羽氏はどこまで知っているだろうか?
今の会社の経営に一枚噛んでいるのは知っているだろうか?
出入りがあるのは流石にばれているのだろう。
同時期に経営パターンに変化があれば多少の因果関係は疑わない方がおかしい。
まだダメだ。
疑いは疑いのままでいてもらわないと。
風人に迷惑を掛けて、華屋を助けて貰っていることは心苦しいが、それでも迂闊に返事をしては、更に迷惑をかけることになる。
だから、素知らぬ振りをするのが正解だと判断した。
「私、そういうのは、良く分からないんです。」
あなたと婚約の予定がありますし、なんて言葉は言わない。特に鷹羽氏に媚びを売りたくはなかった。
「九条さんには良く気にかけて頂いて、光栄に思ってます。」
そうとだけ言って、声に明るさが混じる様に微笑みを浮かべた。
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