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【第8話】
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「腹減った……」
岩場を見つけ、僕はヤシの実を割ろうと何度も叩きつけたりこすりつけたりしたけれど、まったく割れる気配はなかった。
浜辺から離れたくはないが、森に入って何か食べ物を見つけないと、このままでは飢え死にしてしまう。
「う、ううっ……、どこがイージーな世界だよ。食べ物がなけりゃもうゲームオーバーじゃないか」
腹が減りすぎて思わず泣けてきた。
「バナナなんかがなってたら最高なんだけど。ヤシの木があるんだし、南の島なんだからあってもいいはずだよな。ああ、でもやっぱり肉だよなァ。焼肉、ステーキ、ハンバーグ、唐揚だっていい」
溢れ出るよだれを手の甲で拭い、僕は森へと向かった。
その途中、
「きゃー!!!」
悲鳴が聴こえてきた。
「やめてけろー! あっちさ、イケー!!」
子供の声だった。
どこから聴こえてくるんだろう……。
立ち止まって耳を澄ませてみると、周囲に眼をやると、居た。
森へ入る手前で、子供が三匹の青くて丸い何かに囲まれている。
「なんだー! どうしたー!」
僕は走って近づいていった。
だが、腹が減りすぎて眼が回り、不覚にも僕は前のめりに倒れ込んでしまった。
すると、
「ピギー!」
僕のお腹の下で何かが潰れるような感触があった。
「おい、だ、ダイジョブだべか?」
その声に顔を上げると、子供が僕の顔を心配そうに見つめていた。
「腹、減った……」
僕には、その言葉しか出てこなかった。
「腹減ってるだか? んなら、これ食ってけろ」
何やら黒い芋のようなものを差し出され、僕は起き上がって受け取ると、夢中で食べた。
なんだこれ、ゲロマズじゃん……。
ふかし芋なのだろうか。
皮もむいてないし生っぽかったが、とにかく食べ物を口に入れたことで、少しだけ落ち着いた。
「ありがとう。助かったよ」
僕は礼を言った。
「いんやー、助けてもらったのはオラのほうだァ。ほんどにありがとです」
訛りがあって、とても可愛いその子供を、僕は観察した。
まつ毛が長くて、大きな瞳がとても愛くるしい。
しかし、髪がベリーショートなので、男の子か女の子なのかわからない。
陽に焼けた肌はきれいだけれど、身に着けているものはボロボロでホームレスとかわらない。
「助けたって、どういうこと? 僕、何もしてないじゃない」
「オラがスライムに襲われてたら、あっという間にやっつけてくれたべ。ボディスラムで」
「んー、腹が減りすぎて気絶するように倒れただけだけど、僕のお腹で潰れたのって、あの青いスライムだったんだ」
腹部を触ってみると、ネバネバがこびりついていた。
「兄ちゃんて、つえーんだなァ。あったら怖え魔物、オラは見るのもヤんだ」
「ははは」
ちょっと気分がよかった。
「そったら少ねえ芋じゃ、足りねえべ。お礼さしてえから、うちに来てくんろ」
「え? 君の家に? いいの? 助かるよ」
「あいー、さ、いくべ。あ! その前に」
大きな瞳の子供は、屈みこんで何かを拾い上げた。
「何だい、それは?」
子供の手にはコインとオイルらしきものがある。
「魔物はお金を持ってるだよ。あと、スライムは死ぬとオイル落とすだ。兄ちゃんが倒したから、これは兄ちゃんのだ。受け取ってけろ」
初めて倒した魔物から入手したアイテム。
なんだよ、ここってほんとに異世界ってか!
僕は、ちょっと心が躍った。
岩場を見つけ、僕はヤシの実を割ろうと何度も叩きつけたりこすりつけたりしたけれど、まったく割れる気配はなかった。
浜辺から離れたくはないが、森に入って何か食べ物を見つけないと、このままでは飢え死にしてしまう。
「う、ううっ……、どこがイージーな世界だよ。食べ物がなけりゃもうゲームオーバーじゃないか」
腹が減りすぎて思わず泣けてきた。
「バナナなんかがなってたら最高なんだけど。ヤシの木があるんだし、南の島なんだからあってもいいはずだよな。ああ、でもやっぱり肉だよなァ。焼肉、ステーキ、ハンバーグ、唐揚だっていい」
溢れ出るよだれを手の甲で拭い、僕は森へと向かった。
その途中、
「きゃー!!!」
悲鳴が聴こえてきた。
「やめてけろー! あっちさ、イケー!!」
子供の声だった。
どこから聴こえてくるんだろう……。
立ち止まって耳を澄ませてみると、周囲に眼をやると、居た。
森へ入る手前で、子供が三匹の青くて丸い何かに囲まれている。
「なんだー! どうしたー!」
僕は走って近づいていった。
だが、腹が減りすぎて眼が回り、不覚にも僕は前のめりに倒れ込んでしまった。
すると、
「ピギー!」
僕のお腹の下で何かが潰れるような感触があった。
「おい、だ、ダイジョブだべか?」
その声に顔を上げると、子供が僕の顔を心配そうに見つめていた。
「腹、減った……」
僕には、その言葉しか出てこなかった。
「腹減ってるだか? んなら、これ食ってけろ」
何やら黒い芋のようなものを差し出され、僕は起き上がって受け取ると、夢中で食べた。
なんだこれ、ゲロマズじゃん……。
ふかし芋なのだろうか。
皮もむいてないし生っぽかったが、とにかく食べ物を口に入れたことで、少しだけ落ち着いた。
「ありがとう。助かったよ」
僕は礼を言った。
「いんやー、助けてもらったのはオラのほうだァ。ほんどにありがとです」
訛りがあって、とても可愛いその子供を、僕は観察した。
まつ毛が長くて、大きな瞳がとても愛くるしい。
しかし、髪がベリーショートなので、男の子か女の子なのかわからない。
陽に焼けた肌はきれいだけれど、身に着けているものはボロボロでホームレスとかわらない。
「助けたって、どういうこと? 僕、何もしてないじゃない」
「オラがスライムに襲われてたら、あっという間にやっつけてくれたべ。ボディスラムで」
「んー、腹が減りすぎて気絶するように倒れただけだけど、僕のお腹で潰れたのって、あの青いスライムだったんだ」
腹部を触ってみると、ネバネバがこびりついていた。
「兄ちゃんて、つえーんだなァ。あったら怖え魔物、オラは見るのもヤんだ」
「ははは」
ちょっと気分がよかった。
「そったら少ねえ芋じゃ、足りねえべ。お礼さしてえから、うちに来てくんろ」
「え? 君の家に? いいの? 助かるよ」
「あいー、さ、いくべ。あ! その前に」
大きな瞳の子供は、屈みこんで何かを拾い上げた。
「何だい、それは?」
子供の手にはコインとオイルらしきものがある。
「魔物はお金を持ってるだよ。あと、スライムは死ぬとオイル落とすだ。兄ちゃんが倒したから、これは兄ちゃんのだ。受け取ってけろ」
初めて倒した魔物から入手したアイテム。
なんだよ、ここってほんとに異世界ってか!
僕は、ちょっと心が躍った。
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