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【第16話】
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村に行く中途でスライムを退治しながら、お金を稼いだ。
さすがにスライムのたまり場じゃないから、昨日みたいに短時間でそれほど稼げないしLvも上がらなかったけど、手持ちで100J近くあるし、スライムを倒したときに入手したオイルや薬草などのアイテムも売れるだろうから、村に着いたら昼食を摂(と)ろう。
昨夜の食事につづき、今朝の食事もバナナだったから、昼食は腹にたまるまともなものが食べたい。
「ああ、母さんの作ったご飯をたべたいなァ……」
母さんは、朝から元気が出るようにと、肉がたっぷりの野菜炒めを毎日作ってくれる。
二日も帰って来ない僕を、さぞかし心配していることだろう。
母さんのことを考えていたら、めちゃくちゃ腹が減ってきた。
グゥ、グゥウ……。
鳴る腹を押さえながら、僕は村へと急いだ。
チェルシーちゃんの家から、10Kmくらい歩いたところに村はあった。
海に面した小さな村だ。
そこは、僕が目覚めた場所のすぐ近くだった。
くぅーッ! こんな近くに村があったのか……。
僕はため息をつき、浜辺に眼を向けると舟が3艘(そう)ほどる。
きっと、魚料理があるはずだ……。
ほんとうは肉料理が食べたかったが、贅沢は言ってられない。
芋やバナナから比べたら、ご馳走以外のなにものでもない。
そのときの僕は、そんなこんな食べもののことばかり考えていて、すれ違う人々がまるで死人(ゾンビ)のようだったことに気づきもしなかった。
チェルシーちゃんの家よりもみすぼらしい民家はさすがにないが、小さな民家が4~5ほどあった。
そして、おそらく宿屋であろう他よりもやや大きな建物に入った。
「いらっしゃい……。お、あんた、よそ者だね。この島にどうやって来たんだい」
瘦せこけた背の高い男の店主が驚いて、眼を見開いた。
この人もルミエールさんと同じくらいの背丈だろうか。
とはいえ、ルミエールさんとは違うタイプだが、イケメンのたぐいではある。
「えっと、そうですね……、何故か異世界から転送されたというか、その……、元の世界で気を失い、気づくと1Kmほど先の浜に……」
こんなこと話してもいいのか迷ったが、僕のように異世界から来た人間の情報を得られることができるかもと、正直に言った。
「――すると、なんだい。あんた、異世界から来たってのかい」
店主はまたも驚いた眼をした。
「はい、そうです」
「じゃあ、あんたも勇者なのか」
あ、忘れてた……。
ここでは異世界人とは勇者のことだった。
「いや、違いますよ。 僕は勇者なんて大それたものじゃないんです。っていうか、あんたもって言ってましたけど、ここに勇者がいるんですか?」
「いる。あ、いや、いた、かな」
「いた……。そうですか。それは残念だな。会ってみたかった。その勇者に」
「もう、会ってるよ」
「いえ、僕は会ってませんよ」
「あんたの目の前にいるじゃないか」
「え、ほんとに!?」
今度は僕のほうが、見開いた眼で店主を見た。
「じゃあ、あなたが勇者……」
「ああ。だが、正確には、だった、だがな。11年前だったよ、王国に召喚されたのは」
「ま、まじでー!!!」
まさか、こんなにも早くに勇者に遭遇するとは思わなかった。
僕は興奮し、胸は高鳴り、そして、
「グゥウウウウ」
何か早く食わせろと腹が鳴った。
さすがにスライムのたまり場じゃないから、昨日みたいに短時間でそれほど稼げないしLvも上がらなかったけど、手持ちで100J近くあるし、スライムを倒したときに入手したオイルや薬草などのアイテムも売れるだろうから、村に着いたら昼食を摂(と)ろう。
昨夜の食事につづき、今朝の食事もバナナだったから、昼食は腹にたまるまともなものが食べたい。
「ああ、母さんの作ったご飯をたべたいなァ……」
母さんは、朝から元気が出るようにと、肉がたっぷりの野菜炒めを毎日作ってくれる。
二日も帰って来ない僕を、さぞかし心配していることだろう。
母さんのことを考えていたら、めちゃくちゃ腹が減ってきた。
グゥ、グゥウ……。
鳴る腹を押さえながら、僕は村へと急いだ。
チェルシーちゃんの家から、10Kmくらい歩いたところに村はあった。
海に面した小さな村だ。
そこは、僕が目覚めた場所のすぐ近くだった。
くぅーッ! こんな近くに村があったのか……。
僕はため息をつき、浜辺に眼を向けると舟が3艘(そう)ほどる。
きっと、魚料理があるはずだ……。
ほんとうは肉料理が食べたかったが、贅沢は言ってられない。
芋やバナナから比べたら、ご馳走以外のなにものでもない。
そのときの僕は、そんなこんな食べもののことばかり考えていて、すれ違う人々がまるで死人(ゾンビ)のようだったことに気づきもしなかった。
チェルシーちゃんの家よりもみすぼらしい民家はさすがにないが、小さな民家が4~5ほどあった。
そして、おそらく宿屋であろう他よりもやや大きな建物に入った。
「いらっしゃい……。お、あんた、よそ者だね。この島にどうやって来たんだい」
瘦せこけた背の高い男の店主が驚いて、眼を見開いた。
この人もルミエールさんと同じくらいの背丈だろうか。
とはいえ、ルミエールさんとは違うタイプだが、イケメンのたぐいではある。
「えっと、そうですね……、何故か異世界から転送されたというか、その……、元の世界で気を失い、気づくと1Kmほど先の浜に……」
こんなこと話してもいいのか迷ったが、僕のように異世界から来た人間の情報を得られることができるかもと、正直に言った。
「――すると、なんだい。あんた、異世界から来たってのかい」
店主はまたも驚いた眼をした。
「はい、そうです」
「じゃあ、あんたも勇者なのか」
あ、忘れてた……。
ここでは異世界人とは勇者のことだった。
「いや、違いますよ。 僕は勇者なんて大それたものじゃないんです。っていうか、あんたもって言ってましたけど、ここに勇者がいるんですか?」
「いる。あ、いや、いた、かな」
「いた……。そうですか。それは残念だな。会ってみたかった。その勇者に」
「もう、会ってるよ」
「いえ、僕は会ってませんよ」
「あんたの目の前にいるじゃないか」
「え、ほんとに!?」
今度は僕のほうが、見開いた眼で店主を見た。
「じゃあ、あなたが勇者……」
「ああ。だが、正確には、だった、だがな。11年前だったよ、王国に召喚されたのは」
「ま、まじでー!!!」
まさか、こんなにも早くに勇者に遭遇するとは思わなかった。
僕は興奮し、胸は高鳴り、そして、
「グゥウウウウ」
何か早く食わせろと腹が鳴った。
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