4 / 6
カタルシス
①だれ?
しおりを挟む
自宅にお風呂はあったのだが、物心がついた頃には銭湯に行っていた。母と一緒に女湯に入ったり、父と一緒に男風呂に入ったり。
小学生になると、親の保護なく友達同士だけで行くようになった。低学年だと男女の差など大したことはなく、男の子と二人で女湯に入ったりもしていた。
今はどうか知らないが、当時は男の子に「男湯に入るよう」明記されていたのは、10歳以上ではなかったかと思う。
銭湯に行くのは夜のイメージだが、小学生の頃は親と一緒ではない限り、明るいうちに行っていた。
中学になると、明るいうちに行くのは休みの日くらいしかなく、夜になるのが当たり前だった。一人では怖かったかもしれないが、隣に住む同級生と一緒だったのでむしろ楽しいくらいだった。
夜ともなると、いろんな人が来ていて、先生とも会ったりした。裸の付き合いは多少恥ずかしいので、挨拶は交わすが後はなるべく知らんぷり。
ある日の事、いつも通り友達と脱衣所で準備をしようとしていると、少し離れたところから何やらヒソヒソ声がする。
見ると小学生らしき女子二人。どうもこちらをチラチラ見ながら話しているので、気になって顔を向けるとフルネームで呼ばれてビックリ。
反射的に、
「はい」
と答えると、どんどん近付いて来て、
「私たち◯◯先生のクラスなんです」
こちらが「クラス担任が一緒か」と理解するかしないうちに、
「先生に◯◯さんの事聞いたら、真面目だって言ってました」
「真面目?と言われる程じゃない……」
こちらの言葉に被せるように、
「握手して下さい」
こちらも思わず手を出すと、握手をして足取り早く帰っていった。
残されたこちらは、「ハテ、ハテ、ハテ?」。いわゆる「目が点」状態で、ただただ、呆然とするばかり。
着替えもせずに成り行きを見守っていた友に、
「それほど真面目じゃないよね」
と言うと、
「うん」
という返事が返ってきた。
「先生もいい加減だよね。私の事、覚えてないんじゃない!?」
と言いながらお風呂場に向かった。
あまりにも衝撃的な出来事で、何かの度に思い出す事の一つだが、なぜ彼女たちは私の事を知っていたのか、特にフルネームまで。
未だに聞かなかった事、いや聞けなかった事が悔やまれて仕方がない。
「なぜぇー~?」
「教えてぇー~!」
「モヤモヤするゥー!」
そして、
「貴女たちは誰ぇー~?」
「教えてぇー~?」
小学生になると、親の保護なく友達同士だけで行くようになった。低学年だと男女の差など大したことはなく、男の子と二人で女湯に入ったりもしていた。
今はどうか知らないが、当時は男の子に「男湯に入るよう」明記されていたのは、10歳以上ではなかったかと思う。
銭湯に行くのは夜のイメージだが、小学生の頃は親と一緒ではない限り、明るいうちに行っていた。
中学になると、明るいうちに行くのは休みの日くらいしかなく、夜になるのが当たり前だった。一人では怖かったかもしれないが、隣に住む同級生と一緒だったのでむしろ楽しいくらいだった。
夜ともなると、いろんな人が来ていて、先生とも会ったりした。裸の付き合いは多少恥ずかしいので、挨拶は交わすが後はなるべく知らんぷり。
ある日の事、いつも通り友達と脱衣所で準備をしようとしていると、少し離れたところから何やらヒソヒソ声がする。
見ると小学生らしき女子二人。どうもこちらをチラチラ見ながら話しているので、気になって顔を向けるとフルネームで呼ばれてビックリ。
反射的に、
「はい」
と答えると、どんどん近付いて来て、
「私たち◯◯先生のクラスなんです」
こちらが「クラス担任が一緒か」と理解するかしないうちに、
「先生に◯◯さんの事聞いたら、真面目だって言ってました」
「真面目?と言われる程じゃない……」
こちらの言葉に被せるように、
「握手して下さい」
こちらも思わず手を出すと、握手をして足取り早く帰っていった。
残されたこちらは、「ハテ、ハテ、ハテ?」。いわゆる「目が点」状態で、ただただ、呆然とするばかり。
着替えもせずに成り行きを見守っていた友に、
「それほど真面目じゃないよね」
と言うと、
「うん」
という返事が返ってきた。
「先生もいい加減だよね。私の事、覚えてないんじゃない!?」
と言いながらお風呂場に向かった。
あまりにも衝撃的な出来事で、何かの度に思い出す事の一つだが、なぜ彼女たちは私の事を知っていたのか、特にフルネームまで。
未だに聞かなかった事、いや聞けなかった事が悔やまれて仕方がない。
「なぜぇー~?」
「教えてぇー~!」
「モヤモヤするゥー!」
そして、
「貴女たちは誰ぇー~?」
「教えてぇー~?」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる