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悪役令息編
偽りの悪役令息は竜に溺愛されている〜婚約破棄に潜む竜の罠〜【2】
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人々の視線が集まる中、皇太子はエドワードの華奢な体を柔らかく抱き寄せた。
「殿下がそこまでおっしゃるならば、今ここで私たちの婚約は破棄しましょう。そして殿下とエドワード様の明るい未来を祝福いたしましょう!」
「そうか…!」
セオドールがにっこりと微笑みながら婚約破棄を受け入れると、皇太子は安心した様子でほっと胸を撫で下ろした。
「あぁ、そうだ。私からお2人へのささやかなプレゼントとして、一つある真実をお教えしましょう」
セオドールがパチンと指を鳴らす。
その瞬間、魔法の鏡が浮かび上がり、ある映像が流れ始めた。
「…っ!」
「こ、これは…」
そこに映っていたのはエドワード。
貴族たちに大金を渡し、契約書を交わしている。
彼らはオーウェン子爵家を支持し、セオドールを何かにつけて批判していた。
この映像からエドワードが金で彼らを買って、セオドールの悪評を流していたのは明らかだった。
「殿下はこのような卑劣な真似をなさるお方が国母に相応しいとお思いですか?」
セオドールが涼しげにそう言うと、エドワードは先程の不安そうな表情から一転して、悔しげに彼を睨んだ。
「う、嘘だろう?純真で愛らしいエドワードが、そんなこと…」
「くっ…。このように証拠があるならば、最早言い逃れはできません。これは事実でございます、殿下」
「見損なったぞ、エドワード…」
この瞬間、皇太子がエドワードを見限ったのは明白だった。
それを確認してから、セオドールはその場から去ろうと踵を返す。
「私はこれで失礼いたします」
「あっ…、待ってくれ!セオドール!」
その瞬間、皇太子がセオドールの腕を掴んだ。
彼の顔には皇族とは思えないほどの下卑た薄ら笑いを浮かんでいる。
「セオドール、君との婚約破棄を破棄させてほしい。僕が愚かだった。もう一度、やり直せないか?」
セオドールは目をパチクリさせて、驚いた表情で彼を見つめる。
やがて柔らかく微笑む。
「二言はないのでは?そうおっしゃいましたよね?」
「うっ…、それは…」
「私との契約はこれで終了ですよ」
セオドールは皇太子の手を自分の腕から外す。
しかしながら、なおも皇太子はセオドールに食い下がる。
「だが…!」
「私にとってあなたとの婚約は窮屈な鳥籠でごさいました」
「えっ」
「殿下が私に破棄を申し出て下さったおかげで、ようやく自由になれたのです」
セオドールは微笑んだまま、今度こそ舞踏会を後にした。
それから数年後――。
セオドールの隣にはエドワードがいた。
「殿下がそこまでおっしゃるならば、今ここで私たちの婚約は破棄しましょう。そして殿下とエドワード様の明るい未来を祝福いたしましょう!」
「そうか…!」
セオドールがにっこりと微笑みながら婚約破棄を受け入れると、皇太子は安心した様子でほっと胸を撫で下ろした。
「あぁ、そうだ。私からお2人へのささやかなプレゼントとして、一つある真実をお教えしましょう」
セオドールがパチンと指を鳴らす。
その瞬間、魔法の鏡が浮かび上がり、ある映像が流れ始めた。
「…っ!」
「こ、これは…」
そこに映っていたのはエドワード。
貴族たちに大金を渡し、契約書を交わしている。
彼らはオーウェン子爵家を支持し、セオドールを何かにつけて批判していた。
この映像からエドワードが金で彼らを買って、セオドールの悪評を流していたのは明らかだった。
「殿下はこのような卑劣な真似をなさるお方が国母に相応しいとお思いですか?」
セオドールが涼しげにそう言うと、エドワードは先程の不安そうな表情から一転して、悔しげに彼を睨んだ。
「う、嘘だろう?純真で愛らしいエドワードが、そんなこと…」
「くっ…。このように証拠があるならば、最早言い逃れはできません。これは事実でございます、殿下」
「見損なったぞ、エドワード…」
この瞬間、皇太子がエドワードを見限ったのは明白だった。
それを確認してから、セオドールはその場から去ろうと踵を返す。
「私はこれで失礼いたします」
「あっ…、待ってくれ!セオドール!」
その瞬間、皇太子がセオドールの腕を掴んだ。
彼の顔には皇族とは思えないほどの下卑た薄ら笑いを浮かんでいる。
「セオドール、君との婚約破棄を破棄させてほしい。僕が愚かだった。もう一度、やり直せないか?」
セオドールは目をパチクリさせて、驚いた表情で彼を見つめる。
やがて柔らかく微笑む。
「二言はないのでは?そうおっしゃいましたよね?」
「うっ…、それは…」
「私との契約はこれで終了ですよ」
セオドールは皇太子の手を自分の腕から外す。
しかしながら、なおも皇太子はセオドールに食い下がる。
「だが…!」
「私にとってあなたとの婚約は窮屈な鳥籠でごさいました」
「えっ」
「殿下が私に破棄を申し出て下さったおかげで、ようやく自由になれたのです」
セオドールは微笑んだまま、今度こそ舞踏会を後にした。
それから数年後――。
セオドールの隣にはエドワードがいた。
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