偽りの悪役令息は竜に溺愛されている〜婚約破棄に潜む竜の罠〜

明太子

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悪役令息編

偽りの悪役令息は竜に溺愛されている〜婚約破棄に潜む竜の罠〜【3】

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セオドールの外見は相変わらず麗しいままだったが、線の細い美少年だったエドワードは筋骨隆々に成長し、精悍な色男になっていた。

いやはや成長期とは恐ろしいものだ。

「セオドール、ザクロ食うか?美味いぞ」
「あぁ」

セオドールはエドワードの逞しい太腿の上に座り、彼が差し出したザクロの実を口で受け取った。
セオドールの口から覗く紅の舌はやけに色っぽくて、エドワードはごくりと生唾を飲む。

セオドールが領地からの報告書を真剣に読んでいるのをいいことに、エドワードの片手はセオドールの尻をいやらしく揉み始めた。

「エドワード、知っているか?皇太子、ようやく結婚したらしい」
「へぇ。相手は?」
「ビッチで有名な男爵令嬢だ。その上、婿入りしたんだって。あの後からあいつの悪事がバレて、支持率が下がっていたし、相手もなかなか見つからなかっただろう?これで完全に皇位継承から外れたな」
「舞踏会がきっかけになったのなら、いい気味だな」

舞踏会での出来事、つまりはセオドールの婚約破棄、全ては仕組まれたことだった。

皇太子に一目惚れされ、猛アタックを受けていたエドワードだったが、実際彼自身はそれを非常に疎ましく思っていた。
なぜならエドワードはセオドールへ密かに恋心を抱いていたからだ。

だが、当のセオドールは皇太子に長年虐げられていた。
セオドールへの劣等感から来る稚拙な嫌がらせだった。

『婚約者だから』という理由だけで職務を押し付けられる。
会う度に暴言を吐かれる。
周りの貴族の前で貶される。
それが彼にとっては日常茶飯事だった。

それでもセオドールはどうにかして彼との結婚から逃げたいと切望していた。

想い人の願いを叶えるため、エドワードはセオドールにある策略を持ちかけた。

まずはエドワードが皇太子の気持ちを受け入れたフリをする。
そして金で買った貴族たちを扇動して、セオドールの悪評を流すことで、彼を『悪役令息』に仕立てあげ、皇太子の婚約者として似つかわしくないという印象を周りに与える。
そうして環境を整えたところで、舞踏会で皇太子にセオドールに婚約破棄をするように唆す。

「あいつ、エドワードの手のひらでまんまと転がされていたもんな」

セオドールが晴れて自由の身となった後は今度はセオドールがエドワードを助ける番に回る。
エドワードの悪事を皆の前でバラすことにより、他人に対しては憎たらしいほどに潔癖さを求める皇太子の恋心を冷めさせる。

当初、セオドールは恋のライバルであるはずのエドワードの企みに警戒していた。
しかしながら、皇太子との結婚から逃れるために藁にも縋る思いで彼に協力することを決意した。

結果、2人は皇太子から解放されたのだ。

その後、エドワードは形式上の罪滅ぼしと称して、セオドールに仕えることにし、侍従に収まった。
それからというもの、エドワードはセオドールにアプローチをかけて、ついに念願叶って恋人に昇格した。

「今思えば、お前の行動は大胆だったな」
「翼竜は愛する者に幸運を運ぶ生き物なんだ。俺の母さんが父さんを想い続けて富を授けたように、俺はセオドールに自由の翼を与えたんだ」

ラフェリス帝国は翼竜と共存し、その恩恵として魔法を司る国。
それは翼竜が人間の姿に形を変えて暮らしているという意味だ。

「愛しているよ、セオドール」
「俺もだ、エドワード」

2人は笑い合いながらキスをした。
エドワードはセオドールを押し倒すと、着ていたシャツを脱ぐ。

彼の背中からは翼竜特有の鱗で覆われた翼がバサリと姿を現した。
コーラルピンクの美しい色合いのその翼はセオドールの密かなお気に入りだ。

そしてセオドールは首筋に落とされるキスをくすぐったそうに受けながら、愛する男の翼を撫で、満足そうに微笑んだ。
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