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第13話

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東京拘置所

東京拘置所では先日救助された敵船の船員が収容されていた。しかし、宣戦布告なども受けていない日本にとっては捕虜扱いもできないのであり、殺人未遂として書類送検されたうえで拘置所にとどめられている。

船員約10名は乗っていた船が艦砲射撃によって後方に被弾し沈没しようとしていたため、海に避難。そこに護衛艦からの救助浮輪によって一命をとりとめ、自衛隊に現行犯逮捕された。(なお、警察官職務執行法が準用された。)

その後、呉基地で2日ほど事情聴取が行われた。逮捕された男たちは工作員としては半人前以下であり、「お前らバナスタシア帝国を敵に回すとどうなるかわかるよな?」「俺たちがどういう人間かはわかっているよな」などと言って高圧的な態度を取り続けていた。また、日本が未知の技術(政府内通称:魔法)が確認されていたため、不意な反逆行為を行う可能性があるため対話はモニター越しに質疑をし、自爆されても被害が及ばないような部屋に入れ、三食の支給は完全に武装した自衛隊員2名が支給をした。

しかし、反逆行為の実施は認められなかったことと、攻撃を受けた後に調査として護衛艦一隻が残っていたところ、現場海域にやってきたオルスター王国海軍の方を日本まで招き(もちろん政府には許可を取ってもらった)、海軍の方によって身体検査が行われ、"魔法の行使を行う際に必要な"魔石"の所持をしていないため魔法の実行は普通の人間であるならば不可能だろう"との報告を受けた。

政府はバナスタシア帝国に関しての情報をオルスター王国に共有できるかの要請を海軍の指揮官を通じて行った。回答は了承とのことで外務副大臣の訪問時に併せて提供するとのことだった。

しかし、海軍の人は"体内に使用した魔力が残留する体質を持っていた場合、魔法の行使ができる場合もありますので、警戒は怠らないようにしてください"との発言をしていたため、厳戒態勢は依然継続していた。





防衛省

「なぁ、今日も不審な飛行生物が飛来してきているのか?」

「はい。そのため毎日のように第5対戦車ヘリコプター隊が対領空侵犯措置を取っていますが、はっきり言って隊員の疲労などが問題事項となっています」

そうなのである。警戒監視を強化している日本は毎日のように未確認飛行物体を確認している。しかし、オルスター王国の飛竜ではないことはわかっているため、国籍を調べている。(といいつつも大方見当はついているのである。)

「それじゃあ別の基地から部隊を呼び寄せるか?」

「いや、それも実施しているのですが、八尾空港と明野駐屯地周辺住民から毎晩のように騒音の苦情が来ているのですよ」

「じゃあ他の案は?」

「一つ目の案はT-4の武装を新たに装備すること。二つ目は海上に護衛艦を浮かべそこで対応する。の二つが防衛省内で上がっています」

「一つ目だろうな。二つ目だと4隻しかないDDHのうちの一つを海上に固定することになってしまうからな」

「ご明察ですね。一つ目に関しては若干研究がされてましたからね。まぁ費用対効果がなさ過ぎて即座に没になりましたけど」

「でも武装に何をつけるのだ?」

「機関砲とAAM(air to air missile:空対空ミサイル)ですね。T-4は練習機なので低速性能も悪くありませんから、機関砲も当てやすいですよ」

「撃墜前提かよ...ま、予算取れるかわからんがな」

「予算に関しては防衛予算が大幅に増加できると思います。何せ国民の不安が高まっていますからね。国交や輸入を確約した現在の政権は支持率が大幅に上がっていますからね」

「なるほどねぇ。まぁ元来のスクランブル対応部隊は暇だろうし練習機なら絶対乗ってるはずだから訓練もいらないしな」

「では計画を進めておきますね」

防衛大臣の許可も得たため、防衛省内では練習機T-4の武装化が進んでいた。もともと武装ポッドによる武装化は試作時代に行っていたため、AAMと機関銃の装備とそれに伴うアビオニクスの改修、増槽の装備などが新規追加としてあげられる。ちなみにT-4が選定されたのは低速性能が良好であること、操縦が容易いこと、即応性があることが挙げられる。ヘリコプターより早く現場空域に到達できることは重視された。

なお、自衛隊内の装備として次世代の戦闘機開発が現在進められているが、そこの開発部門から一部のリソースを用いてT-4の武装化を進めることになった。しかし、数機程度の改修でとどまるだろうとの見解が大方であった。そもそも対飛行生物領空侵犯措置に対応するためであって、普通の戦闘機に対してはまったくもって無意味なのである。







なお国会では憲法改正の論争が絶賛行われていた。与党は賛成派の3分の2の議席数を得ていなかった。そのため一部野党を取り込む必要があるが、その目星はついていて、左派の皆様からの猛烈な反発を乗り切ろうとが策しているところであった。
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