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しおりを挟むもう断れる雰囲気じゃなかったってのが本音。美形にずっと求愛されて断る方が難しいことを知ってほしい。あと一族から圧力かけられてたし。
自分でミシェル勧めたくせに、いざ付き合うとなれば少し不機嫌になるジョエルは厄介だ。
「式が終わってからだと思っていました」
なら早く言ってほしかった。先に言えよ。
もう既にお酒が入っているから夕ごはんは軽め。でも美味しい。料理はされないんですか?とか言ってきたけど、しない。むしろできたとしても、ちゃんと日本の調味料あるの?お醤油とか味噌はありそうな味のごはんはでるから、多分あるんだろうけど。
「ジョエル怒ってる?」
「いいえ」
「ほんと?」
「えぇ」
いつもよりお酒のペース早いからご機嫌ではないことはわかる。あたしをバスルームに入れてるときも多分飲んでた。ジョエルの大好きな透けてるランジェリーなのにいつもより反応が薄い。
「明日3人で前撮りするんでしょ?」
前撮りはあたしの結婚式の知識の中で必要なものだった。当日はきちんとした写真を撮る暇なんてないだろうから、実際着るドレスを着て写真を撮ってもらう。撮ってくれるのはちゃんと魔術で契約した高級紙の専属カメラマンさん。事前には紙面には絶対出さないけど、翌日以降出していくらしい。恐ろしい。
会場は警備の関係上ダメだから王子様のおうちをお借りするって言ってた。ほぼ庭の予定なんだけど、お城も池?湖も背景にはいるから完璧な場所らしい。人の家借りるとかウケる。ハウススタジオ扱いじゃん。
「嫉妬ですよ嫉妬」
ジョエルが絶対に言わなさそうな言葉が出てきてちょっとびっくりした。とりあえずお酒飲もう。うん、ジョエルが嫉妬?うそでしょ?
「恋人という存在になったあの者たちがミズキと二人っきりになれる環境があることに嫉妬しているんです」
グラスに残っていたものを一気に煽ったと思ったらキスしてきた。ほんと口移しとか好きだなジョエル。それが独占欲的なものだとわかったから嬉しい。
「ミシェルとは本当にシてないんですか?」
「うん。おっぱいとちゅーだけ。確かめてみる?」
「えぇ」
あーあ、今日こそ早く寝ようって思ったけど無理かも。
*****
「動くなっ!」
衣装部屋ではマチアス様がドレスの調整をしてくれている。胸ダーツが気に食わないと急遽お直し。前回の最終調整では完璧だと思ったのに、やっぱりなんか違うらしい。
マチアス様は王様の弟の息子らしい。いわば公爵令息。王子様の次くらいに身分が高い人で、なんとジョエルよりも上!様だ様、マチアス様。お父さんがしんせきこーか?して公爵様だからマチアス様が継ぐわけではないけれど、爵位はあるけどこだわらないらしくて特に気にしてないらしい。奥様が気になる。どんな人なんだろう。
ノアとジョエルは別室で着替えとヘアセット。いいよね、顔は引くほど整ってるから化粧なんていらないんだもん。あたしなんて眠いのに朝早くから起こされてお風呂に入れられて、いつのまにかいたミシェルにマッサージ(AVみたいな悪徳マッサージかと思ったらちゃんとしたやつだったの。スペンス乳腺開発とかポルチオ開発されるのかとビクビクしたのに快適なマッサージだった)されて、フルーツだけちょっと食べさせられながらヘアメイクしてもらってコルセット締められて今に至る。
「もーだめ、ねむい」
「旦那に言え。朝から予定がある日はあまり無理をするなと」
「昨日は嫉妬に駆られたジョエルががんばっちゃったのー」
「ききたくない…」
嫉妬した相手もこの場にいるけどなんて言ったらマチアス様怒られそうだから言わない。ミシェルはニコニコしてる。
ドレスが思った以上にクラシカルになったのは全部夫達のせいらしい。信用がないようで、最悪キスマークついててもなんとかなるようにってレースのハイネックがついた。暑かったら困るからノースリーブだけど。あとは基本体に沿ったマーメイドラインのドレス。後ろのレースのところはドレス布のくるみボタンが大量についてるのがかわいい。ルネさんにつくってもらうザ・お姫様なベルラインのドレスも大好きだけど、マチアス様の大人ドレスも女っぷりが上がるから大好き。
ガーデンウエディングを提案したのはあたしってことになってるし、屋外で広がりまくったドレスは大変だからちょうどいいのかもしれない。お色直しもあるし、後日ジョエルの家主催の結婚パーティーなる舞踏会もあるからドレスは何枚あっても困らないらしい。1回しか着ないの勿体ないけど、メゾンの広告みたいなもんだから仕方ないみたい。
ドレスの修正も終わってこれから写真。そもそも写真で合ってるの?スマホで撮るわけでもないのに。でも写真らしい。ギリギリまでミシェルが髪に花差してくれてる。
「グリッターは髪にします?花に?」
「どちらが映えますか?」
「どちらもというのが写りとしては」
「ではラメの大きさを変えましょうか」
ミシェルとジョエルとカメラマンさんがあたしを取り囲んで調整している。ライトも魔術なのね、眩しい。つけま鬼盛りしたんだけど、まつエクできないかな?ミシェルに相談しよ。
「キレイだねミズキ」
「ほんと?うれしー!ありがとう」
純粋に褒めてくれるノアな言葉が一番嬉しい。ほんとだったらぎゅーってしたいししてほしいけど、ヘアセットの最中だから出来ない。手だけ繋いでる。あたしの写真映えについてはノアはなにも口出しをしないらしい。ぶっちゃけあたしのドレスより、イケメン2人がお揃いのタキシード着てるほうがよっぽど見応えあるし映えると思うんだけど。
「出来ましたよ」
ミシェルに言われたからみんなで移動。撮影の前に、場所を提供してくれた王子様に言いに行くらしい。なぜか今日はここでお仕事するらしく、大きな窓のある庭に面した応接室に通された。どこにでもあるな応接室。
「殿下、快く場所を提供してくださり有難うございます」
ジョエルのこの一言が若干イヤミったらしい。あたしはあんなに練習させられたカーテシーもこのドレスじゃできないし、頭も下げられないから膝を折るだけ。礼したら花落ちる。
「あぁ、場所はいくらでも。晴れてよかった」
バチンと目が合ったけど、すぐ反らされた。なんだ、キレイだとかはないのか。一張羅どころじゃない、ウエディングドレスなのに。
殿下の横にいたロランは王子様をほっぽりだしてあたしのとこに来た。仕事はいいのだろうか?
「綺麗だ。本当に。今すぐ抱き締めたいのに出来ないのがもどかしい」
手をとってキスをしてくれるところが、やっぱりこの人はあたしのことが好きなんだなって感じれるところかもしれない。ジョエルとノアは何も思ってなさそうだけれど、ミシェルはちょっと睨んでる。これが夫と彼氏の余裕の差か。
「ありがとう。ちゅーしたいけど、リップとれたら怒られるからまた今度ね」
「あぁ。ここから見守っている」
窓ね。ここから見えるのか。でも彼女が夫とイチャついてるとこなんてみて楽しいの?やっぱここの人たちって特殊。もはや性癖なの?しかも今日ラッキースケベ起きてない!すごい!
今日1日ミシェルを借りる、ありがとって王子様に伝えて庭にでる。ミシェルは日傘差してくれるし、日本に戻ったらあたしダメ人間になる気がする。メイドさんとかいっぱいいないとダメな人間になりそうでこわい。
外は晴れ。池?湖?めっちゃキラキラしてるからびっくりしてたら、ノアが魔術つかったらしい。確かに周りの緑も水でもまいたのか?ってくらいキラキラしてる。
「女神のようですよ」
「すごく綺麗だよ」
いや、もはやこれはあたしではない、キラキラ補正がやばすぎる。レフ板なんていらない、もうキラキラしまくってるから。プリクラより盛れるというかもはや盛れすぎている。なにこのフィルター?アプリもいらないじゃん。
ちょくちょく撮っては確認で見せてもらうけど、ほんとアプリ使ってないの?もはや盛れてるどころの話ではない、誰!?ってレベル。
カメラマンさんの横でマチアス様は服しか見えてないし、ミシェルは何かあるたびにメイク直しに来る。メイク直しに来るのはノアもジョエルもちょくちょくちゅーしてくるからリップがはがれる。まぁ幸せなことなんだけどね。
ある程度写真を撮ったら、今度はドレスを変えるからまた部屋に入れられた。コルセットはこのまま、今はマチアス様とルネさんがさっき撮った写真を見ながらティアラとベールの長さの話し合いをしてる。ティアラはジョエルのお母様のを使うって言ってた。多分ダイヤであろう宝石がキラキラしてたやつ。持つ手は震えた。マジ国宝じゃね?ってくらい眩しかったもん。
コルセットだけになって、ハンガーにかかったお色直し用のドレスをみながらミシェルと髪型の相談だ。魔術があるからガッチガチに固めた髪もすぐ元に戻るのはほんとすごい。マジ感動。
「当日は下ろすんだっけ?」
「えぇ。全体的に巻いてボリュームを出す予定ですけど、写真はどうします?」
「さっきはアップだったから下ろす。またお花もキラキラつけてくれる?」
「全部貴女の思うままに」
思うままにとか言うくせにキスしてくるのは思うままじゃない。美人だからいいけど。
「結局この執事にも手出してるんじゃない!」
「ちがう、出されたの。あとミシェルの家族からも脅された」
ルネさんに指摘されたけど、あのほぼ脅しは本当だ。マチアス様はドレスの用が済んだから帰るらしい。マチアス様とニュイの方々は本当に帰った。
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