となりのクラスのタカアシくん

狗井 ねも

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第1章 初めましてカニさん

カニとの遭遇

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人だかりの隙間から見えたのは足の長い大きなカニだった。私が驚きで思考停止していたら、隣で泉ちゃんが嬉しそうにクラスを覗いていた。

「あっ、見えた!あー、やっぱりタカアシくんちょーイケメン!ねっ!そう思うでしょ?」

「え?ちょ、ちょっと待って!え、イケメンなの?カニだよ!?」

「・・・カニ?」

(え、これって私がおかしいの?みんな、あのカニがイケメンって言って違和感を持ってないみたいだし・・・これが普通なの?)

私の叫び声に気づいたのか、カニの周りにいた子たちが私を見ながらカニを小突いた。

「あの子って転校生か?おい!タカアシ~!もー転校生ちゃんの心奪っちゃったのかぁ~?」

「え~?うそー!まあ、でもタカアシくんカッコイイもんねー。」

私の発言にクラスの皆はざわざわとして、こちらとタカアシくんを交互に見てはからかっていた。
色んな意味で心を奪われました。
ぼーっとして、タカアシくんを見つめていると、何故か私の周りできゃー!という黄色い声が上がり、隣で泉ちゃんが顔を赤くして騒いでいた。

「きゃー!タカアシくんがこっち見た!」

「えっ?こっち見たの?」

(目どこかわかんない・・・)

私は、泉ちゃんから目線を外しタカアシくんを見ると目が合った・・・ような気がした。タカアシくんの周りの子たちは私とタカアシくんが見つめ合っているのに気づいたのか、またからかい始めた。

「なんだぁ?タカアシも転校生ちゃんに心奪われちゃったのか~?まぁ、確かに転校生ちゃんカワイイよな~。」

「あー、カワイイよな~。でも、胸はもっとほしいかな~。なーんっつて!」

「ちょっとぉー!さいてー!転校生ちゃん気にしなくていいからねー!」

めちゃくちゃムカつくことを言われた。
でもそれよりも、彼の方が気になるし、これに対してなんと言えばいいのか分からなかったし、何故か周りから注目されていたこともあり、「あ」とか「えっと」とか言葉にできず言い淀んでいると低い声が聞こえた。

「・・・転校生困ってるだろ。やめろよ。」

(喋った・・・!え、てか喋るんだ・・・そして割とクール)

「あいっかわらず、クールだなあ!ジョーダンだって!
ごめんね!転校生ちゃん。」

「あ、いえ・・・」

喋ったことの驚きで未だに動けず、曖昧な返事なってしまった。タカアシくんに礼を言うべきなのか悩んでいるといると休み時間の終了を告げるチャイムがなった。
泉ちゃんが、私の腕を掴んで教室に帰るよと言って、引っ張った。授業のことよりも、ちょっと拗ねている泉ちゃんよりも、私はこのとなりのクラスにめちゃくちゃ馴染んで、クールなカニに色んな意味で夢中になった。

(タカアシって呼ばれてたからタカアシガニなのかな・・・?)

となりのクラスだからそこまで交流はないだろうが、気になってしょうがない。話してみたいとも思っている。
私の新たなる高校生活はどうなってしまうのだろうか。私はじっと、注目されたのが嫌だったのか背を向けてしまったタカアシくんの背中?甲羅?を見つめていた。

(椅子、どうやって座るんだろ…)
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