【R-18】触手婚~触手に襲われていたら憧れの侯爵様に求婚されました!?~

臣桜

文字の大きさ
4 / 9

現れた触手 ☆

しおりを挟む
「そうですね」

 それもそうだと思い、私はいつごろからアレに襲われたのか思い出す。

 覚えている限り、自宅で絵を描いて過ごし、舞踏会に通っていた時は何もなかった。

 初めてアレに襲われたのは、湖へ訪れた時で、やはり〝絵画を愛する会〟に入ってからと考えたほうが妥当だ。

 でも皆さんと一緒に美術館を巡っていた時、人に肩を叩かれたと思って振り向くと、誰もいない……という事があり、幽霊に取り憑かれているのではないかと恐ろしくなった覚えがあった。

 悪魔つきの他にも幽霊に取り憑かれた人々の話も聞いていて、彼らは寝ていると金縛りに遭うとか、肩がズシッと重たくなる、家の中で物音がする……などの怪現象に襲われているという。

 けれどそれは私には当てはまらなかった。

 ちょっとおかしいなと思ったのは、それまで私にとても懐いていた小型犬が、私に向かって吠えるようになった事だ。

 犬は人に見えないものを目にする事があるという。

 だからもしかしたら、かなり前から私は〝何か〟に取り憑かれていたのかもしれない。

 けれど日曜日にミサに行った時も、神父様には何も言われなかった。

 聖職者は悪魔憑きを見ると一目で分かると言うけれど、私が明らかにおかしな行動をしていなかったから、分かりづらかったのかしら?

 自分でも悪魔憑きになってしまったのかよく分からない……と思っていた矢先、湖畔で写生会を始めた頃から、私は触手に悩まされるようになった。

 思い出しながらハロルド様に話しているうちに、私は急激な眠気を覚える。

(人様の家に来ているのに、眠くなるなんて失礼だわ。仮にもお慕いしている方を前にしているのに……)

 自分を叱咤した私は、ドレスごしに太腿をギュウッとつねる。

 ――痛い!

 強い眠気で閉じかかっている目、痛みで歪む唇、眉間と鼻の頭に寄る皺。

 私はとんでもない顔をしながら、とにかく眠らないように努力するので精一杯だ。

「エメライン、大丈夫か?」

「え、ええ……」

 私は必死に目を開き、歯を食いしばる。

 好きな人の前で変顔をしているなど気にする余裕もなく、ひたすら寝ないように、寝ないように……と頑張っていたけれど――。



 ぷつん、と意識が途切れた。



**



「んぅ……っ、あ、あぁ……っ♡」

 まただ。

 また、擦られている。

 ぬめりけのある触手が私の股間に這い、凹凸のある表面でジュルジュルと秘唇を擦ってくる。

 それだけじゃない。剥き出しになった乳房にも生温かい触手が這い、そのつぶつぶで私の乳首を包み、擦ってくる。

 中には先端が生き物の口のようになった触手もあり、私の乳首をチュウッと吸い上げては舌のような突起でレロレロと舐め回してきた。

「はぁあ……っ、あぁあ……っ!」

 お腹も、腕も手も、指も、ありとあらゆる場所を触手に擦られ、吸われて、犯される。

「駄目ぇ……っ!」

 敏感な肉芽を吸引され、私はドプッと愛蜜を零して絶頂した。

「はぁ……っ、あ、――――あぁ……?」

 淫夢にうなされて目を開けると、知らない天井が目に入る。

 え……と?

 考えようとした時、肉色をした触手が目の前に迫り、私は悲鳴を上げた。

「っきゃあああああ!!」

 今まで透明だと思っていたそれが、見える!

 これはこれで、気持ち悪い!

 粘液でテラテラと光るそれは、私の手足を戒め全身を這い回っていた。

 えっと!? 私、どうしたんだっけ!?

「エメライン」

 その時、男性の声がして、私はハッとそちらを見た。

「え……っ……」

 ――ハロルド様。

 なのに、様子がおかしい。

 彼は上半身裸になっていて、下半身はトラウザーズのみだ。

 冷たく整った美貌や私を見て微笑む顔は、いつもと同じ。

 けれど、その背中からは人のものではない〝羽〟が生えていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...