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恵 編
基本的に他人に興味ねぇし
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「俺、とりあえずビール飲んどくわ」
尊さんはチラッとドリンクメニューを見てから即決し、店員に注文する。
「篠宮さん、食べたい物があったら自分で注文してくださいね。あと、私たちは割り勘のつもりで控えめに注文してましたが、篠宮さんの奢りという事で遠慮なく食べます」
恵の図々しいとも言える言葉を聞いても、尊さんは「ははっ」と笑うだけだった。
「どうぞ遠慮せず食ってくれ」
そのあと三人で食べたい物を注文したあと、再度三人で「お疲れ様」と乾杯した。
「……で、二人の話は解決したのか?」
尊さんが切り出し、私はコクンと頷く。
「二十代の篠宮さんが、どんだけ病んで朱里を気にしてたかは話してませんけど、お互い知ってる事を話して状況を把握しました」
恵の言葉を聞き、尊さんはじっとりとした目で彼女を見る。
「中村さん、君ね……。割と……、言うね……」
「あはは! もう開き直りましたから」
恵はケロッと明るく言い、手をヒラヒラと振る。
その様子を見て、尊さんは微笑みながら溜め息をついた。
「……まぁ、良かったよ。俺のやってた事は非常識だったし、中村さんを利用して二人の友情に亀裂が入ったらどうしようとか……、会社で悶々としてた」
やっぱりそう思ってたか。
「大丈夫ですよ。流れ上、尊さんが責任を感じるのは仕方ないですけど、私たち二十六歳ですよ? 成熟しきった……とは言えませんけど、ちゃんと話し合える大人で、親友同士です」
私が言うと、尊さんは頷いてからビールを飲んだ。
「女の友情は固いな」
「そうですよ。篠宮さんが首を突っ込む前からの仲ですから」
「中村さん……、当たり強いのヤメテ……」
尊さんがしょんぼり顔で言うものだから、私たちはつい顔を見合わせて笑ってしまった。
「……私の恋が叶わないのはともかく、付き合ってるなら朱里をちゃんとしたデートに誘ってあげてくださいよ」
恵に言われ、尊さんは申し訳なさそうな顔で私を見た。
「すまん。ちゃんとする」
「や、いいんですよ! 付き合ってからバタバタしてたのは、私が一番分かってますし。こないだ横浜帰りに言ってましたけど、そのうち温泉とかランドとか色々行く……んですもんね?」
「ああ、朱里の行きたい所に、どこでも連れて行く」
「言質とりましたからね」
恵はそう言ってからグラスを傾け、二杯目のビールを呷る。
トン、とテーブルにグラスを置いてから、彼女は渦中の尊さんに話題を振った。
「それはそうと、噂の的ですけど大丈夫です? 私たちの心配をしてる場合じゃないでしょう」
「あー……」
彼は少し上を向いて考える素振りを見せる。
「……まぁ、〝上〟の話し合いではなんとかなる……感じかな」
「前に予想していたような感じになります?」
私が尋ねると、尊さんは「多分な」と頷いた。
詳細を言わないのは〝外〟で不用意に社内の事を言いたくないからだろう。
「篠宮さんは大丈夫なんです? 色々言われてるじゃないですか」
「まーなぁ……」
今日なんて、胸糞悪い会話を聞いてしまった。
社食から戻る時、他部署の男性社員がこんな会話をしていた。
『速水部長ってあのイケメンだろ? 若くて部長なのに、実は御曹司ってマジかよ』
『天は二物を与えるのかね~。でも社長が不倫して生まれた子だろ? 隠し子が同じ会社にいるとか、どんな昼ドラだよ』
『速水部長と付き合いたいって女多いけど、金目当てで分かりやすっ。それに結婚しても、部長の両親からは祝福されないだろ? お気の毒ー』
『ウケる。父親は不倫で、母親は鬼籍? 継母は逮捕。それでも顔が良くて金持ってたら結婚したいのかね。女ってこえー』
そんな会話を聞いた私は、後ろから思い切り殴ってやりたくて堪らなかった。
恵が腕を組んで私を押さえてくれていたから、暴れずに済んだけど……。
尊さんは生ハムを取り皿にとりつつ言う。
「俺、こないだ『人を大切にしたい』とは言ったけど、関わる人全員を……なんて、菩薩みたいな事は考えてねぇから大丈夫。外野の言葉でいちいち傷付かねぇわ」
サラッと言ったのを聞いて、とりあえず安心した。
「朱里は俺を『愛情深い』って言ってくれるけど、本当に大切にしたいのはごく身近な人だけだ。あとはうまく生きていくために利用していく感じ。基本的に他人に興味ねぇし」
『興味がない』とハッキリ言われ、私は目を見開いた。
尊さんはチラッとドリンクメニューを見てから即決し、店員に注文する。
「篠宮さん、食べたい物があったら自分で注文してくださいね。あと、私たちは割り勘のつもりで控えめに注文してましたが、篠宮さんの奢りという事で遠慮なく食べます」
恵の図々しいとも言える言葉を聞いても、尊さんは「ははっ」と笑うだけだった。
「どうぞ遠慮せず食ってくれ」
そのあと三人で食べたい物を注文したあと、再度三人で「お疲れ様」と乾杯した。
「……で、二人の話は解決したのか?」
尊さんが切り出し、私はコクンと頷く。
「二十代の篠宮さんが、どんだけ病んで朱里を気にしてたかは話してませんけど、お互い知ってる事を話して状況を把握しました」
恵の言葉を聞き、尊さんはじっとりとした目で彼女を見る。
「中村さん、君ね……。割と……、言うね……」
「あはは! もう開き直りましたから」
恵はケロッと明るく言い、手をヒラヒラと振る。
その様子を見て、尊さんは微笑みながら溜め息をついた。
「……まぁ、良かったよ。俺のやってた事は非常識だったし、中村さんを利用して二人の友情に亀裂が入ったらどうしようとか……、会社で悶々としてた」
やっぱりそう思ってたか。
「大丈夫ですよ。流れ上、尊さんが責任を感じるのは仕方ないですけど、私たち二十六歳ですよ? 成熟しきった……とは言えませんけど、ちゃんと話し合える大人で、親友同士です」
私が言うと、尊さんは頷いてからビールを飲んだ。
「女の友情は固いな」
「そうですよ。篠宮さんが首を突っ込む前からの仲ですから」
「中村さん……、当たり強いのヤメテ……」
尊さんがしょんぼり顔で言うものだから、私たちはつい顔を見合わせて笑ってしまった。
「……私の恋が叶わないのはともかく、付き合ってるなら朱里をちゃんとしたデートに誘ってあげてくださいよ」
恵に言われ、尊さんは申し訳なさそうな顔で私を見た。
「すまん。ちゃんとする」
「や、いいんですよ! 付き合ってからバタバタしてたのは、私が一番分かってますし。こないだ横浜帰りに言ってましたけど、そのうち温泉とかランドとか色々行く……んですもんね?」
「ああ、朱里の行きたい所に、どこでも連れて行く」
「言質とりましたからね」
恵はそう言ってからグラスを傾け、二杯目のビールを呷る。
トン、とテーブルにグラスを置いてから、彼女は渦中の尊さんに話題を振った。
「それはそうと、噂の的ですけど大丈夫です? 私たちの心配をしてる場合じゃないでしょう」
「あー……」
彼は少し上を向いて考える素振りを見せる。
「……まぁ、〝上〟の話し合いではなんとかなる……感じかな」
「前に予想していたような感じになります?」
私が尋ねると、尊さんは「多分な」と頷いた。
詳細を言わないのは〝外〟で不用意に社内の事を言いたくないからだろう。
「篠宮さんは大丈夫なんです? 色々言われてるじゃないですか」
「まーなぁ……」
今日なんて、胸糞悪い会話を聞いてしまった。
社食から戻る時、他部署の男性社員がこんな会話をしていた。
『速水部長ってあのイケメンだろ? 若くて部長なのに、実は御曹司ってマジかよ』
『天は二物を与えるのかね~。でも社長が不倫して生まれた子だろ? 隠し子が同じ会社にいるとか、どんな昼ドラだよ』
『速水部長と付き合いたいって女多いけど、金目当てで分かりやすっ。それに結婚しても、部長の両親からは祝福されないだろ? お気の毒ー』
『ウケる。父親は不倫で、母親は鬼籍? 継母は逮捕。それでも顔が良くて金持ってたら結婚したいのかね。女ってこえー』
そんな会話を聞いた私は、後ろから思い切り殴ってやりたくて堪らなかった。
恵が腕を組んで私を押さえてくれていたから、暴れずに済んだけど……。
尊さんは生ハムを取り皿にとりつつ言う。
「俺、こないだ『人を大切にしたい』とは言ったけど、関わる人全員を……なんて、菩薩みたいな事は考えてねぇから大丈夫。外野の言葉でいちいち傷付かねぇわ」
サラッと言ったのを聞いて、とりあえず安心した。
「朱里は俺を『愛情深い』って言ってくれるけど、本当に大切にしたいのはごく身近な人だけだ。あとはうまく生きていくために利用していく感じ。基本的に他人に興味ねぇし」
『興味がない』とハッキリ言われ、私は目を見開いた。
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