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墓参り 編
絶対に彼を幸せにします
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やがて尊さんは立ち上がり、私はお墓の前でしゃがんで手を合わせる。
私は少しの間石碑を見つめたあと、目を閉じて心の中でさゆりさんとあかりちゃんに語りかけた。
(はじめまして、上村朱里と申します。尊さんと結婚させていただきたいと思っております。彼とは十二年前にご縁があって再会しましたが、あかりさんの事も含めて運命を感じています。でもそれだけじゃありません。傷付いた彼を癒して幸せにしたいと思いますし、私自身、尊さんに強く惹かれて一緒にいたいと思っています。私たちには運命的な関係にあると思いますが、それ以上に彼を一人の男性として尊敬し、愛しています。私、尊さんと一緒にいると、とても自然体になれるんです。こんな人はもう現れないと思います。だから、絶対に彼を幸せにします。だからどうか私たちの結婚をお許しください。見守っていてください)
終わったあと、私は顔を上げて微笑む。
そのとき風が吹いて、ザァッと周囲の木々を揺らした。
一際強い風はただの春一番かもしれないけれど、私には二人が応えてくれたように感じられた。
立ちあがって振り向くと、尊さんは時間を確かめていた。
「時間、大丈夫ですか?」
小牧さんと弥生さんとは、東京ミッドタウンのレストランで待ち合わせし、一緒にランチをする予定だ。
十二時半の予約なので、まだ間に合うと思うけど……。
「ん、大丈夫。ゆっくり歩いていけるぐらい余裕がある」
応えたあと、尊さんは微笑んで掃除道具を片づけ始めた。
「そろそろ行くか」
「……はい」
私たちは最後にもう一度お墓に手を合わせ、ゆっくり歩き始める。
「……尊さん、なんてお参りしたんですか?」
訪ねると、彼はいたずらっぽく笑う。
「『食いしん坊と結婚するから、充分食わせていけるよう見守ってください』って」
「なにそれー! ブーブーですよ、ブーブー」
親指を下に向けて不満を訴えると、尊さんはケラケラ笑う。
それから私の手を握ってグッと引き寄せ、耳元で囁いた。
「『世界で一番大切な女と結婚するから、幸せになる。安心して』って言ったんだよ」
「…………っ」
彼の言葉を効いた瞬間、私はポッと赤面する。
尊さんはそんな私の顔を見て微笑むと、明るく言った。
「トリュフが待ってるぞ」
「はいっ」
ランチは小牧さんたちの希望で、フレンチを食べる事になっている。
「楽しみだな……」
呟くと、聞き漏らさなかった尊さんはクスクス笑った。
**
ビル一階にあるフレンチレストランは、テラス席がとても広い。
大きな窓の向こうには緑が見え、もう少ししたら一面の桜が見え、専門のコースもできるとか。
まだ肌寒い日もあるので、私たちは中の個室で食事をする事になっていた。
お二人はまだ来ていないようで、座って待っていたら予約時間を少し過ぎて小牧さんと弥生さんが現れた。
「やーん、遅れてごめんね。変なのに捕まってて」
小牧さんは両手をあわせて謝り、ピンときた私は尋ねる。
「ナンパですか?」
その言葉を聞き、美人姉妹は顔を見合わせる。
「……そうなの?」
「……なのかもね? しらなーい」
お店で会った時は小牧さんは和服だったけれど、今日は大人っぽい黒のシースルーワンピを着ていた。
弥生さんは黒い襟がついた、スモーキーブルーのプリーツワンピースだ。
飲み物のメニューを渡され、二人は迷いなくシャンパンをオーダーする。
尊さんも「軽く一杯入れとく」とスパークリングワインを頼み、私はとても迷った挙げ句、大人しくクランベリージュースにしておいた。
「ラスボスを前に、どんなお気持ちですか?」
小牧さんが丸めたおしぼりを持って、尊さんにインタビューしてくる。
「……あのなぁ……」
彼は呆れた表情をして水を飲み、大きな溜め息をついてから言った。
私は少しの間石碑を見つめたあと、目を閉じて心の中でさゆりさんとあかりちゃんに語りかけた。
(はじめまして、上村朱里と申します。尊さんと結婚させていただきたいと思っております。彼とは十二年前にご縁があって再会しましたが、あかりさんの事も含めて運命を感じています。でもそれだけじゃありません。傷付いた彼を癒して幸せにしたいと思いますし、私自身、尊さんに強く惹かれて一緒にいたいと思っています。私たちには運命的な関係にあると思いますが、それ以上に彼を一人の男性として尊敬し、愛しています。私、尊さんと一緒にいると、とても自然体になれるんです。こんな人はもう現れないと思います。だから、絶対に彼を幸せにします。だからどうか私たちの結婚をお許しください。見守っていてください)
終わったあと、私は顔を上げて微笑む。
そのとき風が吹いて、ザァッと周囲の木々を揺らした。
一際強い風はただの春一番かもしれないけれど、私には二人が応えてくれたように感じられた。
立ちあがって振り向くと、尊さんは時間を確かめていた。
「時間、大丈夫ですか?」
小牧さんと弥生さんとは、東京ミッドタウンのレストランで待ち合わせし、一緒にランチをする予定だ。
十二時半の予約なので、まだ間に合うと思うけど……。
「ん、大丈夫。ゆっくり歩いていけるぐらい余裕がある」
応えたあと、尊さんは微笑んで掃除道具を片づけ始めた。
「そろそろ行くか」
「……はい」
私たちは最後にもう一度お墓に手を合わせ、ゆっくり歩き始める。
「……尊さん、なんてお参りしたんですか?」
訪ねると、彼はいたずらっぽく笑う。
「『食いしん坊と結婚するから、充分食わせていけるよう見守ってください』って」
「なにそれー! ブーブーですよ、ブーブー」
親指を下に向けて不満を訴えると、尊さんはケラケラ笑う。
それから私の手を握ってグッと引き寄せ、耳元で囁いた。
「『世界で一番大切な女と結婚するから、幸せになる。安心して』って言ったんだよ」
「…………っ」
彼の言葉を効いた瞬間、私はポッと赤面する。
尊さんはそんな私の顔を見て微笑むと、明るく言った。
「トリュフが待ってるぞ」
「はいっ」
ランチは小牧さんたちの希望で、フレンチを食べる事になっている。
「楽しみだな……」
呟くと、聞き漏らさなかった尊さんはクスクス笑った。
**
ビル一階にあるフレンチレストランは、テラス席がとても広い。
大きな窓の向こうには緑が見え、もう少ししたら一面の桜が見え、専門のコースもできるとか。
まだ肌寒い日もあるので、私たちは中の個室で食事をする事になっていた。
お二人はまだ来ていないようで、座って待っていたら予約時間を少し過ぎて小牧さんと弥生さんが現れた。
「やーん、遅れてごめんね。変なのに捕まってて」
小牧さんは両手をあわせて謝り、ピンときた私は尋ねる。
「ナンパですか?」
その言葉を聞き、美人姉妹は顔を見合わせる。
「……そうなの?」
「……なのかもね? しらなーい」
お店で会った時は小牧さんは和服だったけれど、今日は大人っぽい黒のシースルーワンピを着ていた。
弥生さんは黒い襟がついた、スモーキーブルーのプリーツワンピースだ。
飲み物のメニューを渡され、二人は迷いなくシャンパンをオーダーする。
尊さんも「軽く一杯入れとく」とスパークリングワインを頼み、私はとても迷った挙げ句、大人しくクランベリージュースにしておいた。
「ラスボスを前に、どんなお気持ちですか?」
小牧さんが丸めたおしぼりを持って、尊さんにインタビューしてくる。
「……あのなぁ……」
彼は呆れた表情をして水を飲み、大きな溜め息をついてから言った。
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