433 / 779
二日目の夜の葛藤 編
お仕置き ☆
しおりを挟む
「こういう体勢になったら、顔が見えないから少しは安心できる?」
「ち……っ、違う意味で緊張します!」
私はゾクゾクッと身を震わせ、首を竦めて弱音を吐く。
背面って、無防備な所だ。
自分では見えないし、体の硬い人だと背中に手すら届かない。
朱里とお風呂に入ると、彼女はいつも『背中に出来物ができてないか、見てくれる?』と言っていた。
それぐらい、自分の体なのに分からない部分だ。
だから背中から包み込まれるように抱き締められると、自分の体を涼さんに任せた気持ちになる。
私よりずっと大きい体に身を任せると、安心してすべてを委ねてしまいそうだ。
「落ち着いて。体の力を抜いてもたれかかってみて」
耳元で涼さんに囁かれ、それだけで降参してしまいたくなる。
とろけそうな気持ちと羞恥、理性と本能との間で揺れていると、涼さんが私の頭を撫でてきた。
「恵ちゃんの考えている事は大体分かるよ。今まで『強くいなきゃ』って思い続けてきたから、男に身を任せるってなかなかできないよね」
涼さんが気持ちを察してくれ、痒い所に手が届く彼の洞察力に感謝する。
「ゆっくりでいいよ。今日、いきなり恋人になれなくてもいい。俺の事は『大体信頼できる男』と思ってくれてるだろうけど、そもそもトラウマを持っている人が会ったばかりの人を心から受け入れ、信頼するなんて土台無理な話なんだ」
譲歩してくれた涼さんに、大人の余裕を感じる。
(私、フォローされてばかりだな)
情けなく思うも、涼さんを前にしたら自分が何もかも〝足りない〟と思い知らされる。
心の余裕がないし、恋愛経験値も少ない。
(……二十六歳で処女って知って、どう思ったかな)
「私、処女です」と自己申告した訳じゃないけど、涼さんなら今までの流れで悟っているだろう。
けど、涼さんはその件について何もコメントしていないし、気にしている素振りも見せない。
彼と話していると、気になる事があっても、余計な事は口に出さないのが大人の流儀だと教えられている気がする。
「……ありがとうございます……」
そんな会話をしている間も、涼さんは私のうなじや肩にチュッチュッとキスをし、優しく胸を揉んでいる。
何となく、このままイチャイチャして寝る流れになりそうだけれど、涼さんのアレをお尻に感じている以上、どうしても気になってしまう。
なので、聞いてみた。
「……あの、涼さんはいいんですか?」
「ん?」
また彼の声が耳元で聞こえ、私はピクッと肩を跳ねさせる。
「……か、下半身の大事な部分がお目覚めしてるじゃないですか。……出したほうが楽になるなら、私の体の好きな所を使って出し……ふぎゃっ!」
言いたかった事を口にしていた途中、涼さんにガブリと耳を囓られ、そのまま押し倒されて耳孔に舌をねじ込まれる。
「っひああぁああっ! 駄目っ、駄目っ、それっ、んんんンんんんぅんんっ!」
ただ耳を舐められているだけなのに、どうしてこんな声が出てしまうのか分からない。
私はビクビクと体を跳ねさせ、渾身の力で逃げようとするけれど、涼さんに押さえつけられていて敵わない。
圧倒的な力の差を見せつけられ、本来なら心の底に少しの怯えがあるはずなのに、相手が涼さんだからか本当の意味での恐怖は感じない。
胸を満たすのは羞恥、快楽、……悦びだ。
涼さんは好きなだけ私の耳を舐めたあと、「……はぁっ」と息を吐いて私を解放する。
とんでもない悦楽の余韻に浸ってぐったりしていると、彼は乱れた私の髪を撫でつけて顔を出し、鼻をつまんできた。
「恵ちゃん? 今みたいな事を言ったら、またお仕置きするからね」
お仕置きと言われ、私はカーッと赤面する。
今の耳舐めは、涼さんなりのお仕置きだったのだ。
(びっくりしたけど、気持ちいい事ならしてほしい……、けど。これは繰り返したらいけないやつだ)
彼は私の頭を撫で、穏やかに微笑んで言い含めてくる。
「自分の体を『使っていい』なんて、道具みたいな事を言わないで。聞いていて悲しくなる。『女性を性欲のはけ口としか見ていない男だと思われているのかな』って、自信もなくなるし」
「あ……。……ごめんなさい」
考えなしな言葉が彼のプライドをも傷つけたのだと知り、私は深く反省する。
「ち……っ、違う意味で緊張します!」
私はゾクゾクッと身を震わせ、首を竦めて弱音を吐く。
背面って、無防備な所だ。
自分では見えないし、体の硬い人だと背中に手すら届かない。
朱里とお風呂に入ると、彼女はいつも『背中に出来物ができてないか、見てくれる?』と言っていた。
それぐらい、自分の体なのに分からない部分だ。
だから背中から包み込まれるように抱き締められると、自分の体を涼さんに任せた気持ちになる。
私よりずっと大きい体に身を任せると、安心してすべてを委ねてしまいそうだ。
「落ち着いて。体の力を抜いてもたれかかってみて」
耳元で涼さんに囁かれ、それだけで降参してしまいたくなる。
とろけそうな気持ちと羞恥、理性と本能との間で揺れていると、涼さんが私の頭を撫でてきた。
「恵ちゃんの考えている事は大体分かるよ。今まで『強くいなきゃ』って思い続けてきたから、男に身を任せるってなかなかできないよね」
涼さんが気持ちを察してくれ、痒い所に手が届く彼の洞察力に感謝する。
「ゆっくりでいいよ。今日、いきなり恋人になれなくてもいい。俺の事は『大体信頼できる男』と思ってくれてるだろうけど、そもそもトラウマを持っている人が会ったばかりの人を心から受け入れ、信頼するなんて土台無理な話なんだ」
譲歩してくれた涼さんに、大人の余裕を感じる。
(私、フォローされてばかりだな)
情けなく思うも、涼さんを前にしたら自分が何もかも〝足りない〟と思い知らされる。
心の余裕がないし、恋愛経験値も少ない。
(……二十六歳で処女って知って、どう思ったかな)
「私、処女です」と自己申告した訳じゃないけど、涼さんなら今までの流れで悟っているだろう。
けど、涼さんはその件について何もコメントしていないし、気にしている素振りも見せない。
彼と話していると、気になる事があっても、余計な事は口に出さないのが大人の流儀だと教えられている気がする。
「……ありがとうございます……」
そんな会話をしている間も、涼さんは私のうなじや肩にチュッチュッとキスをし、優しく胸を揉んでいる。
何となく、このままイチャイチャして寝る流れになりそうだけれど、涼さんのアレをお尻に感じている以上、どうしても気になってしまう。
なので、聞いてみた。
「……あの、涼さんはいいんですか?」
「ん?」
また彼の声が耳元で聞こえ、私はピクッと肩を跳ねさせる。
「……か、下半身の大事な部分がお目覚めしてるじゃないですか。……出したほうが楽になるなら、私の体の好きな所を使って出し……ふぎゃっ!」
言いたかった事を口にしていた途中、涼さんにガブリと耳を囓られ、そのまま押し倒されて耳孔に舌をねじ込まれる。
「っひああぁああっ! 駄目っ、駄目っ、それっ、んんんンんんんぅんんっ!」
ただ耳を舐められているだけなのに、どうしてこんな声が出てしまうのか分からない。
私はビクビクと体を跳ねさせ、渾身の力で逃げようとするけれど、涼さんに押さえつけられていて敵わない。
圧倒的な力の差を見せつけられ、本来なら心の底に少しの怯えがあるはずなのに、相手が涼さんだからか本当の意味での恐怖は感じない。
胸を満たすのは羞恥、快楽、……悦びだ。
涼さんは好きなだけ私の耳を舐めたあと、「……はぁっ」と息を吐いて私を解放する。
とんでもない悦楽の余韻に浸ってぐったりしていると、彼は乱れた私の髪を撫でつけて顔を出し、鼻をつまんできた。
「恵ちゃん? 今みたいな事を言ったら、またお仕置きするからね」
お仕置きと言われ、私はカーッと赤面する。
今の耳舐めは、涼さんなりのお仕置きだったのだ。
(びっくりしたけど、気持ちいい事ならしてほしい……、けど。これは繰り返したらいけないやつだ)
彼は私の頭を撫で、穏やかに微笑んで言い含めてくる。
「自分の体を『使っていい』なんて、道具みたいな事を言わないで。聞いていて悲しくなる。『女性を性欲のはけ口としか見ていない男だと思われているのかな』って、自信もなくなるし」
「あ……。……ごめんなさい」
考えなしな言葉が彼のプライドをも傷つけたのだと知り、私は深く反省する。
463
あなたにおすすめの小説
3歳児にも劣る淑女(笑)
章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。
男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。
その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。
カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^)
ほんの思い付きの1場面的な小噺。
王女以外の固有名詞を無くしました。
元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。
完結 愛人さん初めまして!では元夫と出て行ってください。
音爽(ネソウ)
恋愛
金に女にだらしない男。終いには手を出す始末。
見た目と口八丁にだまされたマリエラは徐々に心を病んでいく。
だが、それではいけないと奮闘するのだが……
病弱な私と意地悪なお姉様のお見合い顛末
黒木メイ
恋愛
幼い頃から病弱だったミルカ。外出もまともにできず、家の中に引きこもってばかり。それでもミルカは幸せだった。家族が、使用人たちがいつもミルカの側にいてくれたから。ミルカを愛してくれたから。それだけで十分――なわけないでしょう。お姉様はずるい。健康な体を持っているだけではなく、自由に外出できるんだから。その上、意地悪。だから、奪ったのよ。ずるいお姉様から全てを。当然でしょう。私は『特別な存在』で、『幸せが約束されたお姫様』なんだから。両親からの愛も、次期当主の地位も、王子様も全て私のもの。お姉様の見合い相手が私に夢中になるのも仕方ないことなの。
※設定はふわふわ。
※予告なく修正、加筆する場合があります。
※いずれ他サイトにも転載予定。
※『病弱な妹と私のお見合い顛末』のミルカ(妹)視点です。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる