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彼と彼女のその後 編
人生を楽しむための選択肢
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「今の君は何でもできるんだよ。もう何に縛られる必要もない。男を見て怯えなくていいし、スカートを穿くのが怖くても俺が守るから、自由にお洒落を楽しんでいいんだよ。『自分は男っぽい』なんて呪いを掛けないで、憧れている服を好きに着てごらん」
ゆっくり目を開くと、目の前に信じられない美形がいる。
そっと彼の頬を撫でると、涼さんは愛しそうに目を細めて笑った。
「恵ちゃんは今まで硬くつぼんでいた。でもそろそろ、周りを気にする事なく咲いてみていいんじゃないかな? 本当はスカートに憧れているのに、〝何か〟を気にして穿けないなんて勿体ない。……正直、俺だって恵ちゃんのスカート姿見てみたいよ」
最後に涼さんは悪戯っぽく付け加える。
「……涼さん、スカートを穿いた女性が好きですか?」
恐る恐る聞いてみると、彼らしい答えが返ってきた。
「恵ちゃんがパンツスタイルのほうが好きというなら、無理強いはしない。でも両方楽しみたい気持ちがあるなら、ぜひスカート姿も見てみたいな。選択肢が多くあるなら、色々経験してみるほうが楽しいと思うんだ」
そう言われ、涼さんとデートする時にスカートを穿く自分を想像してみる。
色々気にしてしまいそうだけど、いつもみたいな男っぽい格好でいるよりは、さまになるかもしれない。
「……うん。……じゃあ、今度お店に行った時に見てみます。……何が似合うのか分からないんですが」
いつも服を買う時は朱里のアドバイス通りに買っていて、それで周りから「似合ってる」と言われるスタイルができている。
でもスカートにも色んな種類があって、果たして何が似合うか分からないから、また朱里に相談してみないと。
(……服屋の店員って苦手だからな……)
最近でこそ、話しかけていいか悪いかの意思表示ができるカラーカードを導入した店もあるみたいだけど、基本的にあちらも接客業だから、商品を見ていると話しかけてくる事が多い。
コミュ障ではないつもりだけど、得意ではない分野でプロの話術に勝てるはずもなく、苦手意識を抱いたら即、店から逃げてしまう癖がある。
「じゃあ、これから来てもらう?」
「はい?」
彼の言っている事が分からず、私は目を瞬かせる。
「ちょうど俺も夏になる前に着る物が欲しかったし、一緒に見てみようか」
そう言うと、涼さんはスマホを出してどこかに電話を掛ける。
呆気にとられて見ていると、簡潔に用事を済ませた涼さんはニッコリ笑って言った。
「これから外商が来てくれるから、のんびり待ってようか」
「がい、しょう」
セレブ御用達の単語を耳にし、私はピキーンと固まってオウム返しに言う。
「……い、……いや。……私、デパートの服とか高くて買えないんで、その辺のファストファッションで充分…………デス……」
「いいから、気になった服、何でも買ってあげるよ。勿論、スカートやワンピースだけじゃなくて、パンツも靴も帽子もアウターもアクセサリーも、一通り持ってきてもらうから」
おう…………っ…………。
私は両手で顔を覆い、タラタラと冷や汗を掻く。
トラウマを打ち明けて失念していたけれど、この人は馬鹿がつくほどの金持ちだった。
ランドでも色んな物を『買ってあげようか?』と言っていたし、結局指輪ももらってしまったし……。
「あ、……あの、……返せる宛てがありません……」
お金がないと言うのは恥ずかしいけれど、買ってしまう前にちゃんと言わなくては。
「なに言ってるの。俺が恵ちゃんにお金を請求するわけがないでしょ。そんなせこい事しないよ」
涼さんはパチクリと目を瞬かせて言ったあと、「そうだ」と言って立ちあがった。
「少し待ってて」
彼はそう言ってリビングから出て、どこかに行ってしまう。
「はぁ……」
溜め息をついた私は、いつまでも寝転がっているのもなんだと思い、フカフカのクッションに背中を預けて脚を伸ばす。
ディープソファは、座る角度のまま横になれるほど座面の幅があり、ハッキリ言ってキングサイズのベッドみたいだ。
(このリビングにいるだけで生活できそう)
座った感じの弾力も程よく、布団を掛けたらそのまま快適に眠れそうだ。
(……涼さんと一緒に住む……、か)
誰だってセレブみたいな生活をしたいって思うだろう。
私も希望が叶うなら、今の賃貸マンションより広くてグレードの高い所に住んでみたい。
(でも、本気なのかな)
いまだに涼さんと付き合っている実感がなく、今後彼とどんな交際を続けるのか、想像できていない。
と、涼さんが「お待たせ」とA4の紙を手に戻ってきた。
「色々戸惑う事があると思うから、簡単な契約書を作ってみた」
「契約書!?」
その単語を聞き、私は目を丸くして声を上げた。
ゆっくり目を開くと、目の前に信じられない美形がいる。
そっと彼の頬を撫でると、涼さんは愛しそうに目を細めて笑った。
「恵ちゃんは今まで硬くつぼんでいた。でもそろそろ、周りを気にする事なく咲いてみていいんじゃないかな? 本当はスカートに憧れているのに、〝何か〟を気にして穿けないなんて勿体ない。……正直、俺だって恵ちゃんのスカート姿見てみたいよ」
最後に涼さんは悪戯っぽく付け加える。
「……涼さん、スカートを穿いた女性が好きですか?」
恐る恐る聞いてみると、彼らしい答えが返ってきた。
「恵ちゃんがパンツスタイルのほうが好きというなら、無理強いはしない。でも両方楽しみたい気持ちがあるなら、ぜひスカート姿も見てみたいな。選択肢が多くあるなら、色々経験してみるほうが楽しいと思うんだ」
そう言われ、涼さんとデートする時にスカートを穿く自分を想像してみる。
色々気にしてしまいそうだけど、いつもみたいな男っぽい格好でいるよりは、さまになるかもしれない。
「……うん。……じゃあ、今度お店に行った時に見てみます。……何が似合うのか分からないんですが」
いつも服を買う時は朱里のアドバイス通りに買っていて、それで周りから「似合ってる」と言われるスタイルができている。
でもスカートにも色んな種類があって、果たして何が似合うか分からないから、また朱里に相談してみないと。
(……服屋の店員って苦手だからな……)
最近でこそ、話しかけていいか悪いかの意思表示ができるカラーカードを導入した店もあるみたいだけど、基本的にあちらも接客業だから、商品を見ていると話しかけてくる事が多い。
コミュ障ではないつもりだけど、得意ではない分野でプロの話術に勝てるはずもなく、苦手意識を抱いたら即、店から逃げてしまう癖がある。
「じゃあ、これから来てもらう?」
「はい?」
彼の言っている事が分からず、私は目を瞬かせる。
「ちょうど俺も夏になる前に着る物が欲しかったし、一緒に見てみようか」
そう言うと、涼さんはスマホを出してどこかに電話を掛ける。
呆気にとられて見ていると、簡潔に用事を済ませた涼さんはニッコリ笑って言った。
「これから外商が来てくれるから、のんびり待ってようか」
「がい、しょう」
セレブ御用達の単語を耳にし、私はピキーンと固まってオウム返しに言う。
「……い、……いや。……私、デパートの服とか高くて買えないんで、その辺のファストファッションで充分…………デス……」
「いいから、気になった服、何でも買ってあげるよ。勿論、スカートやワンピースだけじゃなくて、パンツも靴も帽子もアウターもアクセサリーも、一通り持ってきてもらうから」
おう…………っ…………。
私は両手で顔を覆い、タラタラと冷や汗を掻く。
トラウマを打ち明けて失念していたけれど、この人は馬鹿がつくほどの金持ちだった。
ランドでも色んな物を『買ってあげようか?』と言っていたし、結局指輪ももらってしまったし……。
「あ、……あの、……返せる宛てがありません……」
お金がないと言うのは恥ずかしいけれど、買ってしまう前にちゃんと言わなくては。
「なに言ってるの。俺が恵ちゃんにお金を請求するわけがないでしょ。そんなせこい事しないよ」
涼さんはパチクリと目を瞬かせて言ったあと、「そうだ」と言って立ちあがった。
「少し待ってて」
彼はそう言ってリビングから出て、どこかに行ってしまう。
「はぁ……」
溜め息をついた私は、いつまでも寝転がっているのもなんだと思い、フカフカのクッションに背中を預けて脚を伸ばす。
ディープソファは、座る角度のまま横になれるほど座面の幅があり、ハッキリ言ってキングサイズのベッドみたいだ。
(このリビングにいるだけで生活できそう)
座った感じの弾力も程よく、布団を掛けたらそのまま快適に眠れそうだ。
(……涼さんと一緒に住む……、か)
誰だってセレブみたいな生活をしたいって思うだろう。
私も希望が叶うなら、今の賃貸マンションより広くてグレードの高い所に住んでみたい。
(でも、本気なのかな)
いまだに涼さんと付き合っている実感がなく、今後彼とどんな交際を続けるのか、想像できていない。
と、涼さんが「お待たせ」とA4の紙を手に戻ってきた。
「色々戸惑う事があると思うから、簡単な契約書を作ってみた」
「契約書!?」
その単語を聞き、私は目を丸くして声を上げた。
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