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三度目の女子会 編
ほどけたモヤモヤ
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彼女には言えてないけど、神くんは元々私の事を好きでいてくれたわけで、尊さんと私がいる場所にいたら、微妙な気持ちにならないだろうか。
今は春日さんという彼女がいるわけだから、おこがましい考えだっていうのは分かってる。
けど、私としてはちょっと気まずい。
加えて尊さんと風磨さんも、仲良く一緒に旅行……とかした事がないように思えるし、いまだに関係を修復中とはいえ「どうなんだろう?」と感じてしまう。
考えていると、春日さんに「朱里さん」と名前を呼ばれた。
「はい」
彼女のほうを見ると、春日さんはニコッと笑って言った。
「私、ユキくんから、彼が朱里さんの事を好きだったって教えてもらったの」
「ふんぎゃー!」
私は思わず声を上げ、椅子に座ったまま小さく跳び上がる。
「ど、どどど……、どうっ、……ご、ごめんなさい……っ!」
アバババババ……となって謝ったけれど、春日さんはケラケラ笑って「やーね」と肩をポンポン叩いてくる。
「全然気にしてないから、そういう態度をとらないで?」
「で、でも……」
涙目になった私に、春日さんは微笑んで言う。
「ユキくんから教えてもらって、最初に会った時の言葉を思い出したわ。『少し前まで好きな人がいたけど……』っていうくだり。あの時、ユキくんも朱里さんもとても気まずかったと思う。でもユキくんは新しい恋をしてみようと思ってくれたし、朱里さんも背中を押してくれた。朱里さんは優しいから、関係が気まずくなるのを恐れて言い出せなかったんだと思う。微妙な感情になっていたわよね。ごめんなさい」
「いっ、いえっ。私こそ、言えずにいてすみません。でも、おこがましいというか……」
そう言うと、春日さんはうんうんと頷く。
「朱里さんはそう思うだろうから、私もちゃんと言おうと思ったの。私が惚気ている裏で、朱里さんが一人で気まずい思いをしてるなんて嫌だもの。ユキくんもそう言ってた。『親友なら隠し事はなしのほうがいいと思います』って。これで朱里さんがユキくんを想ってるなら話は別だけど、綺麗さっぱり断って篠宮さんしか見えていないんでしょ? 私としてはこだわるポイントがまったくないわけ。それでユキくんも『今は新しい恋に真剣に向き直っています』って言ってくれたから、私としては『そんなに気にしないで顔をお上げよベイベー!』なのよ」
明るく笑った彼女は、「ね?」と小首を傾げる。
「……そ、そんな対応されたら、もっと春日さんの事を好きになるじゃないですかぁ~……」
グスグスして訴えると、彼女はカラカラと笑う。
「あっはは! どーんと来ねぇ! 女の子なら何人でも受け止められるもんね!」
「じゅぎ!」
私はワッとなって言ったあと、バッグからポケットティッシュを出して洟をかんだ。
「良かったじゃん」
恵に言われ、私は「うん」と頷く。
「ま、朱里さんはこれから結婚に向けて色々忙しくなるでしょ? 私としてはその前に負担を一つでも軽くして、ピューッと走ってゴールインしてほしいわけ。行け! 韋駄天アカリ!」
「いぎまず!」
私は彼女の友情と器の大きさに感動し、ボロボロと涙を零しながら頷く。
「春日さんって本当に男前よね。いや、男前なんて言ったら失礼ね。いい女。本当に今までろくな男と付き合ってこなかったのが不思議なぐらい」
エミリさんが言い、恵がボソッと突っ込む。
「下手に男前すぎて、並大抵の男じゃ相手にならなかったんじゃないですかね。神くんぐらいで丁度いいっていうか」
「そうなのよぉ~! ユキくん最高! 私はユキくん色に染まるわ! ユキ? 雪? 白? 純白の春日誕生! 染め上げて~!」
春日さんはご機嫌になり、おかわりのワインで一人「かんぱーい!」と言ってクイーッと飲んでいる。
その時、テーブルの上にあった春日さんのスマホが震え、彼女は「ちょっと失礼」と通知を見る。
――と、その顔が見る見る曇り、目がまん丸に見開かれる。
「……どうかしましたか?」
おずおずと尋ねると、彼女は私たちを見て「しーっ」と人差し指を唇の前に立てる。
「……ユ、ユキくんが『あまり飲み過ぎないようにね』って……。エスパー! ……これで最後の一杯にしておきます」
春日さんはグラスに残っていたワインを飲み、スンッと大人しくなる。
「いい感じに手綱を握られてますね。春日さんって割と奔放だから、そうやって気をつける相手がいるぐらいで丁度いいのかも。それとも、そうやって制限をつけられるって嫌ですか?」
恵が尋ねると、春日さんは頬を染めて自分を抱き締めた。
今は春日さんという彼女がいるわけだから、おこがましい考えだっていうのは分かってる。
けど、私としてはちょっと気まずい。
加えて尊さんと風磨さんも、仲良く一緒に旅行……とかした事がないように思えるし、いまだに関係を修復中とはいえ「どうなんだろう?」と感じてしまう。
考えていると、春日さんに「朱里さん」と名前を呼ばれた。
「はい」
彼女のほうを見ると、春日さんはニコッと笑って言った。
「私、ユキくんから、彼が朱里さんの事を好きだったって教えてもらったの」
「ふんぎゃー!」
私は思わず声を上げ、椅子に座ったまま小さく跳び上がる。
「ど、どどど……、どうっ、……ご、ごめんなさい……っ!」
アバババババ……となって謝ったけれど、春日さんはケラケラ笑って「やーね」と肩をポンポン叩いてくる。
「全然気にしてないから、そういう態度をとらないで?」
「で、でも……」
涙目になった私に、春日さんは微笑んで言う。
「ユキくんから教えてもらって、最初に会った時の言葉を思い出したわ。『少し前まで好きな人がいたけど……』っていうくだり。あの時、ユキくんも朱里さんもとても気まずかったと思う。でもユキくんは新しい恋をしてみようと思ってくれたし、朱里さんも背中を押してくれた。朱里さんは優しいから、関係が気まずくなるのを恐れて言い出せなかったんだと思う。微妙な感情になっていたわよね。ごめんなさい」
「いっ、いえっ。私こそ、言えずにいてすみません。でも、おこがましいというか……」
そう言うと、春日さんはうんうんと頷く。
「朱里さんはそう思うだろうから、私もちゃんと言おうと思ったの。私が惚気ている裏で、朱里さんが一人で気まずい思いをしてるなんて嫌だもの。ユキくんもそう言ってた。『親友なら隠し事はなしのほうがいいと思います』って。これで朱里さんがユキくんを想ってるなら話は別だけど、綺麗さっぱり断って篠宮さんしか見えていないんでしょ? 私としてはこだわるポイントがまったくないわけ。それでユキくんも『今は新しい恋に真剣に向き直っています』って言ってくれたから、私としては『そんなに気にしないで顔をお上げよベイベー!』なのよ」
明るく笑った彼女は、「ね?」と小首を傾げる。
「……そ、そんな対応されたら、もっと春日さんの事を好きになるじゃないですかぁ~……」
グスグスして訴えると、彼女はカラカラと笑う。
「あっはは! どーんと来ねぇ! 女の子なら何人でも受け止められるもんね!」
「じゅぎ!」
私はワッとなって言ったあと、バッグからポケットティッシュを出して洟をかんだ。
「良かったじゃん」
恵に言われ、私は「うん」と頷く。
「ま、朱里さんはこれから結婚に向けて色々忙しくなるでしょ? 私としてはその前に負担を一つでも軽くして、ピューッと走ってゴールインしてほしいわけ。行け! 韋駄天アカリ!」
「いぎまず!」
私は彼女の友情と器の大きさに感動し、ボロボロと涙を零しながら頷く。
「春日さんって本当に男前よね。いや、男前なんて言ったら失礼ね。いい女。本当に今までろくな男と付き合ってこなかったのが不思議なぐらい」
エミリさんが言い、恵がボソッと突っ込む。
「下手に男前すぎて、並大抵の男じゃ相手にならなかったんじゃないですかね。神くんぐらいで丁度いいっていうか」
「そうなのよぉ~! ユキくん最高! 私はユキくん色に染まるわ! ユキ? 雪? 白? 純白の春日誕生! 染め上げて~!」
春日さんはご機嫌になり、おかわりのワインで一人「かんぱーい!」と言ってクイーッと飲んでいる。
その時、テーブルの上にあった春日さんのスマホが震え、彼女は「ちょっと失礼」と通知を見る。
――と、その顔が見る見る曇り、目がまん丸に見開かれる。
「……どうかしましたか?」
おずおずと尋ねると、彼女は私たちを見て「しーっ」と人差し指を唇の前に立てる。
「……ユ、ユキくんが『あまり飲み過ぎないようにね』って……。エスパー! ……これで最後の一杯にしておきます」
春日さんはグラスに残っていたワインを飲み、スンッと大人しくなる。
「いい感じに手綱を握られてますね。春日さんって割と奔放だから、そうやって気をつける相手がいるぐらいで丁度いいのかも。それとも、そうやって制限をつけられるって嫌ですか?」
恵が尋ねると、春日さんは頬を染めて自分を抱き締めた。
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