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三度目の女子会 編
しっかり向き合わなきゃ
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「制約があるって……、イイ……! 縛られてるって感じがするわ……!」
「マゾか」
エミリさんがズパッと突っ込む。
「それはそうと、私ばっかり幸せのお裾分けをして申し訳ないわ。エミリさんも恵ちゃんも朱里さんも、盛大に惚気て頂戴?」
春日さんが聖母スマイルで言い、私たちは視線を交わし合って「どうする……」とお互いの様子を見る。
「エ、エミリさんは自分の事まったく話してないじゃないですか。聞きたいな~」
私が話を振ると、彼女は「売ったな?」という顔をしてから「うーん……」と腕組みをして考え込む。
「……別に、本当に大した事はないのよウチは。付き合いが長いからラブラブ期間も過ぎちゃってるし、デートしてもすでに熟年カップルみたいな空気感を醸し出しているし……」
「それが聞きたいんじゃないですか」
恵、ナイスアシスト。
エミリさんは「うーん……」と考え込み、溜め息をつく。
「本当に話す事がないのよ。朝起きて一緒に動画を見ながら体操するでしょ? で、一緒にご飯作って、一緒に出社して。仕事もずっと一緒。接待で食事やらあっても同行するから浮気の心配もないし、帰ったあとも風磨さんはチマチマとプラモデルを作ってるから、基本的に外出しない。……私から誘って動物園や大きい公園の散歩に誘って一緒に行くとか、ドライブとか、キャンプに行く事もあるけど、基本的に逆らわず同行してくれて、一緒に楽しんでくれる。夜は週に二回ぐらい。……そんな感じよ? 特に私の話は面白くないのよ」
「憧れの夫婦像じゃないですか」
私がニコニコして拍手すると、恵が「まだ結婚してないけどね」と突っ込む。
「恵ちゃんは? さっき話が途中だったじゃない」
さっきオフサイドだったからか、エミリさんが的確なパスを渡してくる。
「そうそう! 恵は一番大活躍したんだから、報告しないと! 今やトップストライカーだよ!?」
「何の話をしてんの……」
恵は呆れ顔で私を見たあと、大きな溜め息をついて腕組みをする。
エミリさんもだけど、喋り渋りをする人って、どうして皆腕組みをするのか……。
「……正直、付き合い始めだから、まだそんなに話せる事はないんですよね……」
「え……、エッチ……した?」
春日さんは真っ赤になり、ニヤニヤしながら尋ねてくる。小学生男子か!
そして恵も正直なもんだから、そっぽを向いて赤面している。
「したんだー! フッフゥー!」
春日さんは一気にご機嫌になり、両手の人差し指で天井をツンツンして喜ぶ。
デザートは数種類の中から選べるようになっていて、私は杏仁豆腐にした。
「……ど、どうだったの? 恵ちゃんってお付き合いした事なかったんでしょ?」
デザートをつつきながらも春日さんは執拗に質問し、恵は食べる事に集中してやり過ごそうとしている。
けれど、ある程度食べてから溜め息混じりに言った。
「……さっきも言った通り、凄く優しいですよ。こっちが初めてだって事を忘れるぐらいでした。……多分、涼さんとならいい関係を築いていけるんじゃ……と思ってます。……でも、だからこそ大切に過ごしていきたいっていうか、きっと私の人生に一回しか訪れない大きな幸運だから、しっかり向き合わなきゃって思います」
そう言った恵は少し思い詰めた表情をしていて、佳苗さんからアドバイスは受けていたものの、やっぱり当事者としては彼女ほど達観して考えられないんだろう。
気持ちは物凄く分かる。
佳苗さんは自立した素敵な女性の考えを持っているけれど、私はまだ彼女ほどしっかり稼げていない。
もしも尊さんの手を放してしまったら、大きな喪失感を抱えて働くどころじゃなくなってしまうと思う。
秘書として側にいるのも叶わなくなり、他部署に異動になるか、最悪退社。
彼ほど素敵な人はいないと分かっているからこそ、次の恋愛なんて考えられない。
恵の気持ちが分かったのか、春日さんは茶化すのをやめて真剣に返事をする。
「分かるわ。真剣にお付き合いしたいからこそ、色々慎重になっちゃうわよね。でも楽しんでいかない? 『これをやったら嫌われるかも』ってビクビクしていたら、きっと三日月さんは悲しむと思う。それに彼はそんなに小さい男じゃないと思うのよね。自分が全力で愛せる女性を探すため、今までずっと待っていたわけでしょ? それでやっと恵ちゃんと出会って『よし! 全力で愛すぞ!』ってなってるわけだから、恐れる事はないと思うのよね」
「私も同意見。仕事柄、経営者とか富裕層とお近づきになる事が多いけど、彼らは無駄な事をしないわ。時間だけは買えないって分かってるから、一部の人を除き、遊びで女性と付き合って評判を落とすとか、汚い別れ方なんてしないわけ。頭のいい経営者って自分の損になる選択肢を作らないのよね。相手に『どっちがいい?』って選ばせる時も、結局はどちらも自分の得になる選択肢だった……って事が多い」
エミリさんの話を聞き、私は「涼さんならやりかねない……」と頷く。
「マゾか」
エミリさんがズパッと突っ込む。
「それはそうと、私ばっかり幸せのお裾分けをして申し訳ないわ。エミリさんも恵ちゃんも朱里さんも、盛大に惚気て頂戴?」
春日さんが聖母スマイルで言い、私たちは視線を交わし合って「どうする……」とお互いの様子を見る。
「エ、エミリさんは自分の事まったく話してないじゃないですか。聞きたいな~」
私が話を振ると、彼女は「売ったな?」という顔をしてから「うーん……」と腕組みをして考え込む。
「……別に、本当に大した事はないのよウチは。付き合いが長いからラブラブ期間も過ぎちゃってるし、デートしてもすでに熟年カップルみたいな空気感を醸し出しているし……」
「それが聞きたいんじゃないですか」
恵、ナイスアシスト。
エミリさんは「うーん……」と考え込み、溜め息をつく。
「本当に話す事がないのよ。朝起きて一緒に動画を見ながら体操するでしょ? で、一緒にご飯作って、一緒に出社して。仕事もずっと一緒。接待で食事やらあっても同行するから浮気の心配もないし、帰ったあとも風磨さんはチマチマとプラモデルを作ってるから、基本的に外出しない。……私から誘って動物園や大きい公園の散歩に誘って一緒に行くとか、ドライブとか、キャンプに行く事もあるけど、基本的に逆らわず同行してくれて、一緒に楽しんでくれる。夜は週に二回ぐらい。……そんな感じよ? 特に私の話は面白くないのよ」
「憧れの夫婦像じゃないですか」
私がニコニコして拍手すると、恵が「まだ結婚してないけどね」と突っ込む。
「恵ちゃんは? さっき話が途中だったじゃない」
さっきオフサイドだったからか、エミリさんが的確なパスを渡してくる。
「そうそう! 恵は一番大活躍したんだから、報告しないと! 今やトップストライカーだよ!?」
「何の話をしてんの……」
恵は呆れ顔で私を見たあと、大きな溜め息をついて腕組みをする。
エミリさんもだけど、喋り渋りをする人って、どうして皆腕組みをするのか……。
「……正直、付き合い始めだから、まだそんなに話せる事はないんですよね……」
「え……、エッチ……した?」
春日さんは真っ赤になり、ニヤニヤしながら尋ねてくる。小学生男子か!
そして恵も正直なもんだから、そっぽを向いて赤面している。
「したんだー! フッフゥー!」
春日さんは一気にご機嫌になり、両手の人差し指で天井をツンツンして喜ぶ。
デザートは数種類の中から選べるようになっていて、私は杏仁豆腐にした。
「……ど、どうだったの? 恵ちゃんってお付き合いした事なかったんでしょ?」
デザートをつつきながらも春日さんは執拗に質問し、恵は食べる事に集中してやり過ごそうとしている。
けれど、ある程度食べてから溜め息混じりに言った。
「……さっきも言った通り、凄く優しいですよ。こっちが初めてだって事を忘れるぐらいでした。……多分、涼さんとならいい関係を築いていけるんじゃ……と思ってます。……でも、だからこそ大切に過ごしていきたいっていうか、きっと私の人生に一回しか訪れない大きな幸運だから、しっかり向き合わなきゃって思います」
そう言った恵は少し思い詰めた表情をしていて、佳苗さんからアドバイスは受けていたものの、やっぱり当事者としては彼女ほど達観して考えられないんだろう。
気持ちは物凄く分かる。
佳苗さんは自立した素敵な女性の考えを持っているけれど、私はまだ彼女ほどしっかり稼げていない。
もしも尊さんの手を放してしまったら、大きな喪失感を抱えて働くどころじゃなくなってしまうと思う。
秘書として側にいるのも叶わなくなり、他部署に異動になるか、最悪退社。
彼ほど素敵な人はいないと分かっているからこそ、次の恋愛なんて考えられない。
恵の気持ちが分かったのか、春日さんは茶化すのをやめて真剣に返事をする。
「分かるわ。真剣にお付き合いしたいからこそ、色々慎重になっちゃうわよね。でも楽しんでいかない? 『これをやったら嫌われるかも』ってビクビクしていたら、きっと三日月さんは悲しむと思う。それに彼はそんなに小さい男じゃないと思うのよね。自分が全力で愛せる女性を探すため、今までずっと待っていたわけでしょ? それでやっと恵ちゃんと出会って『よし! 全力で愛すぞ!』ってなってるわけだから、恐れる事はないと思うのよね」
「私も同意見。仕事柄、経営者とか富裕層とお近づきになる事が多いけど、彼らは無駄な事をしないわ。時間だけは買えないって分かってるから、一部の人を除き、遊びで女性と付き合って評判を落とすとか、汚い別れ方なんてしないわけ。頭のいい経営者って自分の損になる選択肢を作らないのよね。相手に『どっちがいい?』って選ばせる時も、結局はどちらも自分の得になる選択肢だった……って事が多い」
エミリさんの話を聞き、私は「涼さんならやりかねない……」と頷く。
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