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故郷
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国境を越えた時、アンバーは嬉しさのあまり胸が高鳴り苦しくなった。
車窓の外は見慣れた景色が続き、ずっと向こうにはドランスフィールドの主要都市レイクウッドの街並みがうっすら見える。
歓喜の涙を零すアンバーを、ヴォルフは横からそっと抱き締めてくれた。
その温もりも優しさも嬉しい。けれど彼を好きだと思えば思うほど、両親に何と説明すればいいのかアンバーは懊悩した。
レイクウッドの石畳を馬の蹄がカポカポと鳴らして進んだ先、森と湖に守られた場所にドランスフィールド伯爵家はあった。
左右に広い白壁の屋敷は変わらない。しかし庭園はきちんと管理されて、以前感じていたどこか寂れた雰囲気はなくなっていた。
玄関の前で佇むアンバーの背を、ヴォルフがそっと押す。
「大丈夫だ。『娘が無事に戻った』と、両親にちゃんと伝えればいい」
「……はい」
もうこうなったら、なるがままだ。
ノッカーを鳴らすと、すぐに中からメイドが顔を出した。
「あの……ただいま」
中年のメイドはアンバーの顔を見てポカンとしていた。だが恥ずかしそうにアンバーが帰宅を告げると、「旦那様ー!」と慌てて中に駆け込んで行った。
すぐに屋敷は活気づき、玄関ホールに様々な使用人が押し寄せた。
山賊に襲われ連れ去られたと、逃げ帰った使用人から聞いたお嬢様が、見るも美しい男性を連れて戻ったのだ。蜂の巣をつついたような騒ぎになったが、なんとか使用人の質問攻撃を逃れ二人は応接室に通された。
連れてきた軍隊は庭園に配置された人数以外は、門外で待機しているらしい。レイクウッドの街に、怪しい影がないか巡回する部隊も出したそうで、ヴォルフの仕事も速い。
懐かしいお茶の香りを吸い込み、舌に馴染みのあるマドレーヌを食べていた時、両親が現れた。
「アンバー!」
応接室に父のダリルと母のケイシーが入ってきた。
寝込んだままのダリルは、あれから多少回復したのか自分の足で歩いていた。ケイシーも疲れを隠せない様子だが、娘の帰還に戸惑いつつも喜色を浮かべている。
「お父様、お母様……!」
パッと立ち上がったアンバーは、広げられた両親の腕に飛び込んだ。
ずっと一人で我慢していたものを解放し、しばらく嗚咽が続く。ヴォルフと共に屋敷に入ったシシィも、微笑んでその様子を見守っていた。
「あなたが……ヘレヤークトフント公爵閣下ですね。お手紙をどうもありがとうございました。娘を連れ帰ってくださる日を、今日か今日かと待っていたのですが……」
人数分のお茶が揃い、四人はソファに座ってそれまでの時間を埋める会話をしていた。
自然とアンバーの両親はヴォルフを受け入れ、彼の事を『アンバーの恩人』と認識しているようだ。
「娘さんをお連れするのが遅くなり済まない。事情があって彼女を城から出すのを躊躇っていた」
「閣下はクラルヴィン王国の軍部を司る方だとお窺いしております。お忙しいでしょうし、そんなあなたが躊躇われる〝事情〟なら仕方ありません。きっとすべてアンバーを守ってくださるための事と思います」
「ご理解頂けるのなら、幸いです」
ヴォルフにおもねるような笑みを向けた父に、アンバーは素直な疑問を口にする。
「ところでお父様、アルトマン公爵という方はそのご何も仰っていないのですか? 仮にも私が嫁ぐと言っていたのに……、到着しなかったら不思議に思うでしょう。昔からのご縁があって、ドランスフィールド伯爵家がこのような状態になっているのに私をと望んでくださっているお方……。その方が、山賊に襲われた程度で諦めるものでしょうか?」
「あぁ、アルトマン閣下からはお手紙を頂いている」
ダリルは執事に命令して、アルトマン公爵からという手紙を持ってこさせた。
「読んでみなさい」
父は封筒から折り畳まれた便箋を出し、娘に渡す。
「…………」
白い便箋には、流麗な文字でアルトマン公爵の思いが綴ってあった。アンバーはヴォルフの文字を知っていたが、それよりもややダイナミックな筆記である。
『親愛なるドランスフィールド伯爵
我が妻となるアンバー嬢が誘拐されたと知り、夜も眠れぬ日々を過ごしておりました。しかし意外な人物――我が親友ヘレヤークトフントより、アンバー嬢を保護したとの連絡を受け胸を撫で下ろしています。今はアンバー嬢の心身の回復を待つのを優先させたいと思います。輿入れについてはまた改めてご連絡致します。私もいずれ親友の城に訪れ、アンバー嬢にご挨拶をしたいと思っております。ドランスフィールド卿におきましては心配のあまり食事も喉を通らぬ思いでしょうが、我が親友は国王陛下から全幅の信頼を受ける元帥閣下なので、どうぞご安心を。 アルトマン』
アンバーが手紙から視線を外すと、紅茶を飲んでいたダリルが言う。
「アルトマン公爵はすべてご存知だ。お前の状況も分かってくださっている。だからアンバーは何も心配せず、閣下の言う事を聞きなさい」
「……はい」
ヴォルフとアルトマン公爵が親友だと知らず、ちらりと隣に座る彼を見やる。しかしヴォルフはアンバーの視線に気付かず、ダリルに同意する。
「君のお父上の仰る通りだ。俺はアルトマン公爵をよく知っている。向こうも俺を信頼してくれているから、君をどうこう……というのは俺たち二人の話になる。どちらが夫となってもドランスフィールドへの援助は惜しまないし、君は心配しないでいい」
「……そう、……ですか」
確かに嫁いだきっかけは、昔からの約束もある上に援助をしてもらえるという事だった。家のため、領民のために憎たらしい男の妻となる覚悟をしたはずだ。
けれど今はヴォルフに甘く蕩かされ、彼を愛してしまった。
彼ほど自分を必要としてくれる人もいないだろうし、アンバーもヴォルフを心から愛している。
だというのに、ヴォルフはアルトマン公爵と平和的に話し合えるのだろうか?
元帥と言えば大層な権力者だ。そんなヴォルフがアルトマン公爵を圧倒してしまえば……、両親と親交があったという公爵に申し訳ない。
かといって、今さらヴォルフと離れるという事も考えられない。
(まず私は今、家族と顔を合わせられた。それから後の問題は順番に片付けていかなければ。一気に考えて解決しようとするから、混乱するのだわ)
頭の中で結論づけて、アンバーはこの場でもう話題を引き延ばすのはやめにした。
その後は、両親にヘレヤークトフントの城の事などを聞かれ、広くて美しい内装や広大な土地の事も話す。
婚約者であるアルトマン公爵以外の男性と同じ屋根の下にいたというのに、不思議と両親は何も言及せず、それどころか命の恩人として歓迎するのだった。
また生き延びて帰ってきた使用人の名前を知り、亡くなってしまった、または売り飛ばされてしまったかもしれない者たちを思い涙を流した。
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車窓の外は見慣れた景色が続き、ずっと向こうにはドランスフィールドの主要都市レイクウッドの街並みがうっすら見える。
歓喜の涙を零すアンバーを、ヴォルフは横からそっと抱き締めてくれた。
その温もりも優しさも嬉しい。けれど彼を好きだと思えば思うほど、両親に何と説明すればいいのかアンバーは懊悩した。
レイクウッドの石畳を馬の蹄がカポカポと鳴らして進んだ先、森と湖に守られた場所にドランスフィールド伯爵家はあった。
左右に広い白壁の屋敷は変わらない。しかし庭園はきちんと管理されて、以前感じていたどこか寂れた雰囲気はなくなっていた。
玄関の前で佇むアンバーの背を、ヴォルフがそっと押す。
「大丈夫だ。『娘が無事に戻った』と、両親にちゃんと伝えればいい」
「……はい」
もうこうなったら、なるがままだ。
ノッカーを鳴らすと、すぐに中からメイドが顔を出した。
「あの……ただいま」
中年のメイドはアンバーの顔を見てポカンとしていた。だが恥ずかしそうにアンバーが帰宅を告げると、「旦那様ー!」と慌てて中に駆け込んで行った。
すぐに屋敷は活気づき、玄関ホールに様々な使用人が押し寄せた。
山賊に襲われ連れ去られたと、逃げ帰った使用人から聞いたお嬢様が、見るも美しい男性を連れて戻ったのだ。蜂の巣をつついたような騒ぎになったが、なんとか使用人の質問攻撃を逃れ二人は応接室に通された。
連れてきた軍隊は庭園に配置された人数以外は、門外で待機しているらしい。レイクウッドの街に、怪しい影がないか巡回する部隊も出したそうで、ヴォルフの仕事も速い。
懐かしいお茶の香りを吸い込み、舌に馴染みのあるマドレーヌを食べていた時、両親が現れた。
「アンバー!」
応接室に父のダリルと母のケイシーが入ってきた。
寝込んだままのダリルは、あれから多少回復したのか自分の足で歩いていた。ケイシーも疲れを隠せない様子だが、娘の帰還に戸惑いつつも喜色を浮かべている。
「お父様、お母様……!」
パッと立ち上がったアンバーは、広げられた両親の腕に飛び込んだ。
ずっと一人で我慢していたものを解放し、しばらく嗚咽が続く。ヴォルフと共に屋敷に入ったシシィも、微笑んでその様子を見守っていた。
「あなたが……ヘレヤークトフント公爵閣下ですね。お手紙をどうもありがとうございました。娘を連れ帰ってくださる日を、今日か今日かと待っていたのですが……」
人数分のお茶が揃い、四人はソファに座ってそれまでの時間を埋める会話をしていた。
自然とアンバーの両親はヴォルフを受け入れ、彼の事を『アンバーの恩人』と認識しているようだ。
「娘さんをお連れするのが遅くなり済まない。事情があって彼女を城から出すのを躊躇っていた」
「閣下はクラルヴィン王国の軍部を司る方だとお窺いしております。お忙しいでしょうし、そんなあなたが躊躇われる〝事情〟なら仕方ありません。きっとすべてアンバーを守ってくださるための事と思います」
「ご理解頂けるのなら、幸いです」
ヴォルフにおもねるような笑みを向けた父に、アンバーは素直な疑問を口にする。
「ところでお父様、アルトマン公爵という方はそのご何も仰っていないのですか? 仮にも私が嫁ぐと言っていたのに……、到着しなかったら不思議に思うでしょう。昔からのご縁があって、ドランスフィールド伯爵家がこのような状態になっているのに私をと望んでくださっているお方……。その方が、山賊に襲われた程度で諦めるものでしょうか?」
「あぁ、アルトマン閣下からはお手紙を頂いている」
ダリルは執事に命令して、アルトマン公爵からという手紙を持ってこさせた。
「読んでみなさい」
父は封筒から折り畳まれた便箋を出し、娘に渡す。
「…………」
白い便箋には、流麗な文字でアルトマン公爵の思いが綴ってあった。アンバーはヴォルフの文字を知っていたが、それよりもややダイナミックな筆記である。
『親愛なるドランスフィールド伯爵
我が妻となるアンバー嬢が誘拐されたと知り、夜も眠れぬ日々を過ごしておりました。しかし意外な人物――我が親友ヘレヤークトフントより、アンバー嬢を保護したとの連絡を受け胸を撫で下ろしています。今はアンバー嬢の心身の回復を待つのを優先させたいと思います。輿入れについてはまた改めてご連絡致します。私もいずれ親友の城に訪れ、アンバー嬢にご挨拶をしたいと思っております。ドランスフィールド卿におきましては心配のあまり食事も喉を通らぬ思いでしょうが、我が親友は国王陛下から全幅の信頼を受ける元帥閣下なので、どうぞご安心を。 アルトマン』
アンバーが手紙から視線を外すと、紅茶を飲んでいたダリルが言う。
「アルトマン公爵はすべてご存知だ。お前の状況も分かってくださっている。だからアンバーは何も心配せず、閣下の言う事を聞きなさい」
「……はい」
ヴォルフとアルトマン公爵が親友だと知らず、ちらりと隣に座る彼を見やる。しかしヴォルフはアンバーの視線に気付かず、ダリルに同意する。
「君のお父上の仰る通りだ。俺はアルトマン公爵をよく知っている。向こうも俺を信頼してくれているから、君をどうこう……というのは俺たち二人の話になる。どちらが夫となってもドランスフィールドへの援助は惜しまないし、君は心配しないでいい」
「……そう、……ですか」
確かに嫁いだきっかけは、昔からの約束もある上に援助をしてもらえるという事だった。家のため、領民のために憎たらしい男の妻となる覚悟をしたはずだ。
けれど今はヴォルフに甘く蕩かされ、彼を愛してしまった。
彼ほど自分を必要としてくれる人もいないだろうし、アンバーもヴォルフを心から愛している。
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元帥と言えば大層な権力者だ。そんなヴォルフがアルトマン公爵を圧倒してしまえば……、両親と親交があったという公爵に申し訳ない。
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