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春日原和嶺編
1話 そして現在
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時を戻して今になる。
幼き頃から、10年は経ち、立派とまではいかないもののなんとか高校生をやれている。
しかし、不思議な事もあるものだ。主人公を諦めた次の日、俺に能力が発現した。だが別に珍しいことじゃ無い。世界中で確認されている事例なのだ。
能力に目覚めてからはあっという間の日々だ。俺以外の能力者も通う小中高一貫の学園に転校していきなり親元離れて寮暮らししたのもあっという間に感じた。
戸惑いも最初は多かった。馴れない能力や、一新された人間関係。それでも主人公みたいな能力を手に入れたおかげで俺は頑張ってこれた。
でも、俺は未だに主人公を諦めている。主人公みたいな能力を手に入れた、と言ったけれどそれはこの学校に通っている皆にも共通することであり、俺が求めた孤独で特別なヒーローとは全然違うのだ。
目からビームが出る奴もいるし、手から武器が生える奴もいる。
後、頭が異常に発光する奴。最後は違うな。そりゃただのハゲだ。
とにかく、俺は主人公になれない。
俺がいることで世界は乱れないし、女の子のラッキースケべを拝めない。
両親を殺すくらいの事をした因縁の敵なんて存在しないし、生き別れた兄弟もいない。
ぎりぎりの場面で覚醒しない。
隠された秘密もない。
何も封印されてない。
死にかけの場面で誰も助けに来ない。
敵が味方にならない。
超強くないし、超弱くない。
俺には主人公の素質など無かったのだ。
ならばどうすべきか?簡単だ。悪役になれば良い。それもとびっきりの。
主人公を諦めた今でも嫌だった。いつの間にか勝負を解説してる奴、1回倒されて二度と出てこなくなる奴、間違いを認めて寝返る奴、まるで主人公の踏み台にされてるような奴になるのは嫌なんだ。
だからなるなら最強最悪の敵になる。
「そんな事知らないよ」
「てめぇはもう少し俺の話に関心を向けろ」
そう言ってきた、後ろの席の春日原和嶺を小突く。俺なんかより主人公っぽい名前に少々憧れる。
「僕の名前が欲しいんなら、僕と中身だけでも入れ替えてみる?田中 終夜くん」
「冗談でも止めてくれ、田中は世界に誇れる名前なんだよ」
「ダサいのは苗字じゃなくて名前だって言ってるじゃん」
「よし分かったカズミネ。今すぐ表へ出ろ」
「何言ってんのさ、もうHR始まるのに」
視線を前に戻すと、確かに我等が担任佐藤先生が教卓にいらっしゃった。なら仕方ない。
「後で覚えてろよ」
「そこら辺が君の小物臭を倍増させるよね」
「うっせ」
話を打ち切って前に向き直る。
佐藤先生はいつもの様に今日の日程についてや、提出物の回収のみでHRを終了させる。そして授業が始まる訳だが、特別な科目はなんてものは無い。
能力者であれど学生の本分は勉学という事なのか。
毎日しっかり、勉学してます。
幼き頃から、10年は経ち、立派とまではいかないもののなんとか高校生をやれている。
しかし、不思議な事もあるものだ。主人公を諦めた次の日、俺に能力が発現した。だが別に珍しいことじゃ無い。世界中で確認されている事例なのだ。
能力に目覚めてからはあっという間の日々だ。俺以外の能力者も通う小中高一貫の学園に転校していきなり親元離れて寮暮らししたのもあっという間に感じた。
戸惑いも最初は多かった。馴れない能力や、一新された人間関係。それでも主人公みたいな能力を手に入れたおかげで俺は頑張ってこれた。
でも、俺は未だに主人公を諦めている。主人公みたいな能力を手に入れた、と言ったけれどそれはこの学校に通っている皆にも共通することであり、俺が求めた孤独で特別なヒーローとは全然違うのだ。
目からビームが出る奴もいるし、手から武器が生える奴もいる。
後、頭が異常に発光する奴。最後は違うな。そりゃただのハゲだ。
とにかく、俺は主人公になれない。
俺がいることで世界は乱れないし、女の子のラッキースケべを拝めない。
両親を殺すくらいの事をした因縁の敵なんて存在しないし、生き別れた兄弟もいない。
ぎりぎりの場面で覚醒しない。
隠された秘密もない。
何も封印されてない。
死にかけの場面で誰も助けに来ない。
敵が味方にならない。
超強くないし、超弱くない。
俺には主人公の素質など無かったのだ。
ならばどうすべきか?簡単だ。悪役になれば良い。それもとびっきりの。
主人公を諦めた今でも嫌だった。いつの間にか勝負を解説してる奴、1回倒されて二度と出てこなくなる奴、間違いを認めて寝返る奴、まるで主人公の踏み台にされてるような奴になるのは嫌なんだ。
だからなるなら最強最悪の敵になる。
「そんな事知らないよ」
「てめぇはもう少し俺の話に関心を向けろ」
そう言ってきた、後ろの席の春日原和嶺を小突く。俺なんかより主人公っぽい名前に少々憧れる。
「僕の名前が欲しいんなら、僕と中身だけでも入れ替えてみる?田中 終夜くん」
「冗談でも止めてくれ、田中は世界に誇れる名前なんだよ」
「ダサいのは苗字じゃなくて名前だって言ってるじゃん」
「よし分かったカズミネ。今すぐ表へ出ろ」
「何言ってんのさ、もうHR始まるのに」
視線を前に戻すと、確かに我等が担任佐藤先生が教卓にいらっしゃった。なら仕方ない。
「後で覚えてろよ」
「そこら辺が君の小物臭を倍増させるよね」
「うっせ」
話を打ち切って前に向き直る。
佐藤先生はいつもの様に今日の日程についてや、提出物の回収のみでHRを終了させる。そして授業が始まる訳だが、特別な科目はなんてものは無い。
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毎日しっかり、勉学してます。
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