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上梨西我編
2話 六法全書って面白いの?
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問◎脇役には脇役にしか出来ない事がある。それは何か。簡潔に述べよ。
答☆カツアゲされる。
(脇役検定2級練習問題集 俺達だって人間だ!~目立つモブキャラとは~より抜粋)
◆◆◆
最近は毎朝、主人公検定の勉強ばかりしていたのだが、つい先日その検定があった。手応えとしてはまあまあだが、やはり結果が返ってくるまでは何とも言えない。
検定が終わったので、勉強する必要も無くなったのだが、朝の勉強が習慣になったのか、勉強していないとソワソワする。
という事で、気分を変えて普段なら絶対に勉強しないであろう、脇役検定の問題集を持ってきた。恐らく誰もいないであろう教室の扉を開く。
「………………ん?」
普段なら誰も登校していない時間帯の筈なのだが、どうやら俺は2着だったらしい。俺は先に教室にいた奴の席まで歩く。
「よっ、カズミネ。何してんだ」
俺の数少ない友人の1人、春日原和嶺は何やら机に広げられた本と格闘していた。
「んー駄目だ。やっぱり僕には無理っぽいや」
そう言ってカズミネは本を閉じて、腕を伸ばす。
「駄目って、本を読む事がか?」
「そ、昨日生徒会の先輩から本を読んでみろって言われたんだけど、小さい字をずっと眺めるの苦手なんだよね」
「そりゃそうだろうな……………」
カズミネが先程閉じた本に視線を移すとそこには、表紙にどでかく『六法全書』と記載されていた。
そりゃ俺も無理だわ。法律とか興味ないもん。
「一体何がどうして読書に六法全書を選んだんだ」
「いやぁ僕が先輩に読む本を持っていませんって言ったらコレ渡されちゃって……」
「お前は生徒会でイジメにでも遭ってんの?何なら助けてやろうか?」
「お気遣いなく。それに助けるって言ってもシュウヤ、生徒会って基本一筋縄ではいかない人達だらけなんだよ?」
「実際に会った事ないから分かんねえよ。そもそも俺は生徒会役員の名前なんてお前くらいしか知らねぇし」
「せめて生徒会長の名前くらいは知っておきなよ……………」
この学園の生徒総数はかなりのものだ。俺も詳しい数は把握出来てはいない。その中のほんの数人、生徒会役員を全員知っているなんて奴は同じ生徒会役員くらいなものではないのか?
それに、ここの生徒会は役員選挙などが存在せず、生徒会長直々に指名して役員が決められるらしい。カズミネも勿論そうやって役員に選ばれた。何故選ばれたのかと何度もしつこく尋ねてみたが、それははぐらかされた。
しかし役員選挙が存在しないとなると誰がどの役職になったかなんて全然分からない。加えて行事などであまり表に立たない事が生徒会役員の知名度の低さに拍車をかけている。
「生徒会長なんて、今後の学園生活で関わる事ないんじゃないか?」
「意外と目立つ人だから会えばすぐに分かると思うよ。それに、シュウヤならきっと気に入られると思うしね」
「俺のどこを気に入るかは聞かない事にする。つーかカズミネ、お前がこんな朝早くに登校するなんて珍しいな」
カズミネは重たそうな瞼を擦る。その様子から普段より幾らか早く起きた事が分かる。
「読書の為…………って訳じゃないけど、ちょっとした仕事だよ。生徒会の」
「そうか、そりゃご苦労さん。佐藤先生来るまで時間あるし寝ておけよ」
「お言葉に甘えさせてもらうよ………ふあぁ」
大きな欠伸を1つして、カズミネは机に突っ伏した。すぐに小さな寝息が聞こえてきたので、相当眠かったのかもしれない。
生まれてこの方、生徒会に関わった事がないので仕事内容なんて知らないが、決して楽じゃない事くらいは分かっているつもりだ。
今は寝かせておいてやろう。
そう思ってカズミネの机を離れた時、
「大ニュースですよっ!!春日原さん田中さん!大大大ニュースです!!」
勢い良く教室の扉が開かれて、星叶が入ってくる。
その音に驚いて飛び起きたカズミネの表情が泣きそうだったのは見なかった事にしてやろう。
答☆カツアゲされる。
(脇役検定2級練習問題集 俺達だって人間だ!~目立つモブキャラとは~より抜粋)
◆◆◆
最近は毎朝、主人公検定の勉強ばかりしていたのだが、つい先日その検定があった。手応えとしてはまあまあだが、やはり結果が返ってくるまでは何とも言えない。
検定が終わったので、勉強する必要も無くなったのだが、朝の勉強が習慣になったのか、勉強していないとソワソワする。
という事で、気分を変えて普段なら絶対に勉強しないであろう、脇役検定の問題集を持ってきた。恐らく誰もいないであろう教室の扉を開く。
「………………ん?」
普段なら誰も登校していない時間帯の筈なのだが、どうやら俺は2着だったらしい。俺は先に教室にいた奴の席まで歩く。
「よっ、カズミネ。何してんだ」
俺の数少ない友人の1人、春日原和嶺は何やら机に広げられた本と格闘していた。
「んー駄目だ。やっぱり僕には無理っぽいや」
そう言ってカズミネは本を閉じて、腕を伸ばす。
「駄目って、本を読む事がか?」
「そ、昨日生徒会の先輩から本を読んでみろって言われたんだけど、小さい字をずっと眺めるの苦手なんだよね」
「そりゃそうだろうな……………」
カズミネが先程閉じた本に視線を移すとそこには、表紙にどでかく『六法全書』と記載されていた。
そりゃ俺も無理だわ。法律とか興味ないもん。
「一体何がどうして読書に六法全書を選んだんだ」
「いやぁ僕が先輩に読む本を持っていませんって言ったらコレ渡されちゃって……」
「お前は生徒会でイジメにでも遭ってんの?何なら助けてやろうか?」
「お気遣いなく。それに助けるって言ってもシュウヤ、生徒会って基本一筋縄ではいかない人達だらけなんだよ?」
「実際に会った事ないから分かんねえよ。そもそも俺は生徒会役員の名前なんてお前くらいしか知らねぇし」
「せめて生徒会長の名前くらいは知っておきなよ……………」
この学園の生徒総数はかなりのものだ。俺も詳しい数は把握出来てはいない。その中のほんの数人、生徒会役員を全員知っているなんて奴は同じ生徒会役員くらいなものではないのか?
それに、ここの生徒会は役員選挙などが存在せず、生徒会長直々に指名して役員が決められるらしい。カズミネも勿論そうやって役員に選ばれた。何故選ばれたのかと何度もしつこく尋ねてみたが、それははぐらかされた。
しかし役員選挙が存在しないとなると誰がどの役職になったかなんて全然分からない。加えて行事などであまり表に立たない事が生徒会役員の知名度の低さに拍車をかけている。
「生徒会長なんて、今後の学園生活で関わる事ないんじゃないか?」
「意外と目立つ人だから会えばすぐに分かると思うよ。それに、シュウヤならきっと気に入られると思うしね」
「俺のどこを気に入るかは聞かない事にする。つーかカズミネ、お前がこんな朝早くに登校するなんて珍しいな」
カズミネは重たそうな瞼を擦る。その様子から普段より幾らか早く起きた事が分かる。
「読書の為…………って訳じゃないけど、ちょっとした仕事だよ。生徒会の」
「そうか、そりゃご苦労さん。佐藤先生来るまで時間あるし寝ておけよ」
「お言葉に甘えさせてもらうよ………ふあぁ」
大きな欠伸を1つして、カズミネは机に突っ伏した。すぐに小さな寝息が聞こえてきたので、相当眠かったのかもしれない。
生まれてこの方、生徒会に関わった事がないので仕事内容なんて知らないが、決して楽じゃない事くらいは分かっているつもりだ。
今は寝かせておいてやろう。
そう思ってカズミネの机を離れた時、
「大ニュースですよっ!!春日原さん田中さん!大大大ニュースです!!」
勢い良く教室の扉が開かれて、星叶が入ってくる。
その音に驚いて飛び起きたカズミネの表情が泣きそうだったのは見なかった事にしてやろう。
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