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上梨西我編
6話 向ける刃は煌めく白銀
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問◎主人公が何らかの原因によりヒロインと決闘を行う場合、脇役として対処する方法とは。簡潔に述べよ。
答☆応援応援とにかく応援。要所要所で『なっ…アイツまさか……!』とか『きた!アイツの十八番!この技は避けられない!』等と叫んでおくと脇役ポイントがアップする。
(脇役検定準2級試験問題より抜粋)
◆◆◆
場所を移して体育館二階に位置するギャラリー席に俺とカズミネ、星叶は並んで腰掛けていた。横を見れば他にもクラスメイトは座っているのだが、いちいち誰が誰とか説明しても意味がないので割愛する。
必要な情報は、ここに居ない生徒は二人いるということ。
山田さんと上梨だ。
視線を体育館中央に下ろすと二人が向き合う様にして立っていた。間には佐藤先生も立っている。二人の視線がぶつかり合い、火花を撒き散らしている様にも見えなくないが、気のせいだろうな。
佐藤先生が、それでは、と場の空気を仕切る。
「今から模擬戦を始める。準備は良いな?」
フッと、一瞬にして山田さんと上梨を覆う様に展開される防護陣。山田さんは防護陣越しに、上梨を睨む。
「問題ありません」
対する上梨は、頭を掻きながらため息を吐く。
「ここまで来たら、全力でやってやるさ………!」
二人の意志を確認した佐藤先生は頷いて、戦闘開始の合図を出す。
「模擬戦を、開始するっ!」
戦闘開始の合図と共に、二人の能力者がぶつかりあった。
◆◆◆
まず始めに攻撃を繰り出したのは、山田李伊奈だった。彼女は能力を使用せず、上梨西我に突っ込んだ。肩からぶつかる様に走り出した彼女を見て、上梨は右へと回避する。
模擬戦のルールを一応は理解した上梨だが、いまいち実感出来ていなかった。上梨は序盤は回避に専念して、戦闘の感覚をつかもうとしていた。
つもりだった。
「ッ!!」
回避した直後に襲う、山田の拳。これを彼はバックステップでなんとか避ける。しかし彼を待っていたのは、拳の連撃。息を吐かせぬ速度で繰り出される攻撃に彼は全て対処出来ず、一撃を受ける。
ブゥゥン、と上梨の防護陣が重低音と共に小さな振動を起こす。
(ヤバイな……もう《完全遮断》が発動しちまった……!)
初撃決着や一撃必殺を防ぐ為に防護陣に組み込まれたエンターテインメント性、《完全遮断》。これはどんな威力のものでも初撃を一度だけ無効化する事が出来る。
しかしそれは言い換えてみれば、どんな微弱な攻撃でも初撃ならば《完全遮断》は発動してしまうという事である。
模擬戦に於いての勝敗を大きく左右するのは《完全遮断》の発動の有無だ。如何に自分のを発動させず、相手のを発動させるかが重要となる。
その事を上梨は理解していたつもりだったのだが、体が動かない。頭が、《完全遮断》の重要性を理解していない。
「クソッ……!」
闇雲な拳を山田に放つ。しかし彼女は既に上梨との距離を空けていた。
上梨の額には、僅かに汗が浮かぶ。流石に息はまだ切れてはいないが、それも時間の問題だ。初心者である上梨に、山田は一切の手加減を行っていない。今までの経験の差が浮き彫りとなる。
(落ち着け、《完全遮断》が発動したから負けって訳じゃない。防護陣の耐久度もいまいち分からないが、まだ壊されはしない筈)
上梨は息を大きく吸って、ゆっくりと吐き出す。
(それに俺達が今やってるのは喧嘩じゃない。能力を使用する、模擬戦なんだ。常識なんて今は要らない。出来ない事が、今は出来るんだ……!)
上梨は鋭い視線を山田へと向ける。彼女と模擬戦をする事になったのは、彼にも原因がある。それでも、そうやすやすと負けて退学するつもりなど、上梨にはさらさら無い。
彼は制服のはポケットから刀の柄の様な物を取り出す。上梨は右手でそれを掴み、握る力を強める。
「ここから先は、全力だ━━━━!」
柄から銀色に輝く、美しい刀身が現れる。銀色の刀を両手持ちに変え、水平に構えた上梨が吠えた。
答☆応援応援とにかく応援。要所要所で『なっ…アイツまさか……!』とか『きた!アイツの十八番!この技は避けられない!』等と叫んでおくと脇役ポイントがアップする。
(脇役検定準2級試験問題より抜粋)
◆◆◆
場所を移して体育館二階に位置するギャラリー席に俺とカズミネ、星叶は並んで腰掛けていた。横を見れば他にもクラスメイトは座っているのだが、いちいち誰が誰とか説明しても意味がないので割愛する。
必要な情報は、ここに居ない生徒は二人いるということ。
山田さんと上梨だ。
視線を体育館中央に下ろすと二人が向き合う様にして立っていた。間には佐藤先生も立っている。二人の視線がぶつかり合い、火花を撒き散らしている様にも見えなくないが、気のせいだろうな。
佐藤先生が、それでは、と場の空気を仕切る。
「今から模擬戦を始める。準備は良いな?」
フッと、一瞬にして山田さんと上梨を覆う様に展開される防護陣。山田さんは防護陣越しに、上梨を睨む。
「問題ありません」
対する上梨は、頭を掻きながらため息を吐く。
「ここまで来たら、全力でやってやるさ………!」
二人の意志を確認した佐藤先生は頷いて、戦闘開始の合図を出す。
「模擬戦を、開始するっ!」
戦闘開始の合図と共に、二人の能力者がぶつかりあった。
◆◆◆
まず始めに攻撃を繰り出したのは、山田李伊奈だった。彼女は能力を使用せず、上梨西我に突っ込んだ。肩からぶつかる様に走り出した彼女を見て、上梨は右へと回避する。
模擬戦のルールを一応は理解した上梨だが、いまいち実感出来ていなかった。上梨は序盤は回避に専念して、戦闘の感覚をつかもうとしていた。
つもりだった。
「ッ!!」
回避した直後に襲う、山田の拳。これを彼はバックステップでなんとか避ける。しかし彼を待っていたのは、拳の連撃。息を吐かせぬ速度で繰り出される攻撃に彼は全て対処出来ず、一撃を受ける。
ブゥゥン、と上梨の防護陣が重低音と共に小さな振動を起こす。
(ヤバイな……もう《完全遮断》が発動しちまった……!)
初撃決着や一撃必殺を防ぐ為に防護陣に組み込まれたエンターテインメント性、《完全遮断》。これはどんな威力のものでも初撃を一度だけ無効化する事が出来る。
しかしそれは言い換えてみれば、どんな微弱な攻撃でも初撃ならば《完全遮断》は発動してしまうという事である。
模擬戦に於いての勝敗を大きく左右するのは《完全遮断》の発動の有無だ。如何に自分のを発動させず、相手のを発動させるかが重要となる。
その事を上梨は理解していたつもりだったのだが、体が動かない。頭が、《完全遮断》の重要性を理解していない。
「クソッ……!」
闇雲な拳を山田に放つ。しかし彼女は既に上梨との距離を空けていた。
上梨の額には、僅かに汗が浮かぶ。流石に息はまだ切れてはいないが、それも時間の問題だ。初心者である上梨に、山田は一切の手加減を行っていない。今までの経験の差が浮き彫りとなる。
(落ち着け、《完全遮断》が発動したから負けって訳じゃない。防護陣の耐久度もいまいち分からないが、まだ壊されはしない筈)
上梨は息を大きく吸って、ゆっくりと吐き出す。
(それに俺達が今やってるのは喧嘩じゃない。能力を使用する、模擬戦なんだ。常識なんて今は要らない。出来ない事が、今は出来るんだ……!)
上梨は鋭い視線を山田へと向ける。彼女と模擬戦をする事になったのは、彼にも原因がある。それでも、そうやすやすと負けて退学するつもりなど、上梨にはさらさら無い。
彼は制服のはポケットから刀の柄の様な物を取り出す。上梨は右手でそれを掴み、握る力を強める。
「ここから先は、全力だ━━━━!」
柄から銀色に輝く、美しい刀身が現れる。銀色の刀を両手持ちに変え、水平に構えた上梨が吠えた。
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