20 / 54
学年トーナメント戦編
2話 やってやろうか学年戦
しおりを挟む
俺とカズミネは教室を出て帰路へと着く。俺達は同じ寮に住んでいるのでこのまま帰り道は同じだ。
俺はカズミネから今に至るまでの状況説明を受けていた。
「じゃあ俺はずっと寝たままだったって事なんだよな?授業中とか注意受けたりしなかったか?」
「そこら辺は安心しといて。予め僕がクラスの皆や先生にはでっちあげの説明しといたから」
「そりゃ有り難い。どんな説明したんだ」
「………………………………」
こっちを見ろ。凄い気になるだろうが。カズミネは思いっ切り話を逸らすような口調で、実際に話を逸らした。
「でも佐藤先生には説明が要らなかったよ。HRの時とかは特に苦労しなかった」
「流石佐藤先生だな。状況説明無しでも全てを把握していたという訳だ」
「いや、シュウヤの存在に気がついていなかった」
「ちょっと待て教師。受け持ったクラスの生徒の体調確認はおろか存在確認すらやっていないだと?」
担任教師の重大な失態が露見した。まぁ詳しく聞かれるよりはましだったのかもしれないが、せめて「どうした?大丈夫か」位は聞いて欲しかった。寝てたから応えられないけど。
「しかし、カズミネもカズミネだけどな。俺が金欠だなんて今回初めてじゃなかろうに。いきなり意識を奪ってくるからビックリしたぜ」
「悪かったとは思ってるよ。けどシュウヤも、僕との短くない付き合いで、僕が寝起きの機嫌が超悪いって事を察して欲しかったな」
「別に放課後とかに話しても良かったんだけどな」
「じゃあ最初っからそうしてくれると助かるよ………………」
そうすると面白くないじゃないか。という言葉は言わずに飲み込む。
俺の残高は美しく幻想的で清らかな0ポイントではあるが、今すぐ死ぬという事は決してない。
ただポイントが無いという事は、物品を買う事も出来ず、食料もロクに口にしていないということなのだ。この学園には、ポイントが無くなった生徒の為に無料で、僅かな種類の食料や物品を寮で配布している。快適に過ごす為の物ではなく、最低限生きていく為の物を配布している辺り、社会の厳しさを改めて教えられる今日この頃。
無料で配布される食料は基本野菜だ。それもキュウリ。マヨネーズは寮の食堂で貸出されているので、俺はそれをかけて食べているが、いずれ限界が近づく。
俺も食べ盛りの高校生だ。キュウリだけ食べていると本気で死の危険を感じる。俺がキュウリだけを食い始めてもう二日といった所か。一番長くて一ヶ月程キュウリだけ食べていた時期もあったのでまだ耐えられると思うが、なにぶんそれも中学の頃の話だ。高校一年生としては、毎日のように肉を食っていたいものである。
しかしキュウリを食べていると水を飲む必要があまりないので、ある意味便利食材ではあるのだが。
「残念だけど、今回僕はポイント譲渡出来ない」
「そうか、まぁカズミネにいつまでも縋っちゃいけないしな。たまには自分で何とかしてみるよ」
「そうしてくれそうしてくれ。そして僕が今までに貸したポイント全額返してくれ」
「在学中には不可能だな」
「断言する所がシュウヤらしいよ」
「しかしそうなるとポイント稼ぎが出来るものなんて………………」
「“アレ”しかないんじゃない?僕も今回真面目に優勝狙ってみるよ」
「学年戦、か」
月一で開催される学年全体で行われる大規模トーナメント戦。参加は自由だが、毎回おおよそ八割強の参加率を誇る。
参加するだけで2000ポイント。カズミネ曰く、優勝なら100000ポイントは貰えるらしい。俺が準優勝した時は50000ポイント貰えていたのであながち嘘ではない。
1円=1ポイントのレートであるこの学園での100000ポイントはかなり大きい。
俺はバシッと拳を自分の掌に打ち付ける。
「久しぶりに本気だすか。一ヶ月を過ごせるだけのポイントを目指す」
「堅実な所がシュウヤらしいと思うよ」
不純な動機かもしれないが、学年戦に参加する奴の心情なんて大体こんなもんなので特に気にする事なく俺達は寮へと足を進めて行った。
俺はカズミネから今に至るまでの状況説明を受けていた。
「じゃあ俺はずっと寝たままだったって事なんだよな?授業中とか注意受けたりしなかったか?」
「そこら辺は安心しといて。予め僕がクラスの皆や先生にはでっちあげの説明しといたから」
「そりゃ有り難い。どんな説明したんだ」
「………………………………」
こっちを見ろ。凄い気になるだろうが。カズミネは思いっ切り話を逸らすような口調で、実際に話を逸らした。
「でも佐藤先生には説明が要らなかったよ。HRの時とかは特に苦労しなかった」
「流石佐藤先生だな。状況説明無しでも全てを把握していたという訳だ」
「いや、シュウヤの存在に気がついていなかった」
「ちょっと待て教師。受け持ったクラスの生徒の体調確認はおろか存在確認すらやっていないだと?」
担任教師の重大な失態が露見した。まぁ詳しく聞かれるよりはましだったのかもしれないが、せめて「どうした?大丈夫か」位は聞いて欲しかった。寝てたから応えられないけど。
「しかし、カズミネもカズミネだけどな。俺が金欠だなんて今回初めてじゃなかろうに。いきなり意識を奪ってくるからビックリしたぜ」
「悪かったとは思ってるよ。けどシュウヤも、僕との短くない付き合いで、僕が寝起きの機嫌が超悪いって事を察して欲しかったな」
「別に放課後とかに話しても良かったんだけどな」
「じゃあ最初っからそうしてくれると助かるよ………………」
そうすると面白くないじゃないか。という言葉は言わずに飲み込む。
俺の残高は美しく幻想的で清らかな0ポイントではあるが、今すぐ死ぬという事は決してない。
ただポイントが無いという事は、物品を買う事も出来ず、食料もロクに口にしていないということなのだ。この学園には、ポイントが無くなった生徒の為に無料で、僅かな種類の食料や物品を寮で配布している。快適に過ごす為の物ではなく、最低限生きていく為の物を配布している辺り、社会の厳しさを改めて教えられる今日この頃。
無料で配布される食料は基本野菜だ。それもキュウリ。マヨネーズは寮の食堂で貸出されているので、俺はそれをかけて食べているが、いずれ限界が近づく。
俺も食べ盛りの高校生だ。キュウリだけ食べていると本気で死の危険を感じる。俺がキュウリだけを食い始めてもう二日といった所か。一番長くて一ヶ月程キュウリだけ食べていた時期もあったのでまだ耐えられると思うが、なにぶんそれも中学の頃の話だ。高校一年生としては、毎日のように肉を食っていたいものである。
しかしキュウリを食べていると水を飲む必要があまりないので、ある意味便利食材ではあるのだが。
「残念だけど、今回僕はポイント譲渡出来ない」
「そうか、まぁカズミネにいつまでも縋っちゃいけないしな。たまには自分で何とかしてみるよ」
「そうしてくれそうしてくれ。そして僕が今までに貸したポイント全額返してくれ」
「在学中には不可能だな」
「断言する所がシュウヤらしいよ」
「しかしそうなるとポイント稼ぎが出来るものなんて………………」
「“アレ”しかないんじゃない?僕も今回真面目に優勝狙ってみるよ」
「学年戦、か」
月一で開催される学年全体で行われる大規模トーナメント戦。参加は自由だが、毎回おおよそ八割強の参加率を誇る。
参加するだけで2000ポイント。カズミネ曰く、優勝なら100000ポイントは貰えるらしい。俺が準優勝した時は50000ポイント貰えていたのであながち嘘ではない。
1円=1ポイントのレートであるこの学園での100000ポイントはかなり大きい。
俺はバシッと拳を自分の掌に打ち付ける。
「久しぶりに本気だすか。一ヶ月を過ごせるだけのポイントを目指す」
「堅実な所がシュウヤらしいと思うよ」
不純な動機かもしれないが、学年戦に参加する奴の心情なんて大体こんなもんなので特に気にする事なく俺達は寮へと足を進めて行った。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる