ヒーロー再誕 ~ヒーロー諦めた俺がもう一度ヒーローを目指す話~

秋月 銀

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学年トーナメント戦編

2話 やってやろうか学年戦

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 俺とカズミネは教室を出て帰路へと着く。俺達は同じ寮に住んでいるのでこのまま帰り道は同じだ。

 俺はカズミネから今に至るまでの状況説明を受けていた。

 「じゃあ俺はずっと寝たままだったって事なんだよな?授業中とか注意受けたりしなかったか?」
 「そこら辺は安心しといて。予め僕がクラスの皆や先生にはでっちあげの説明しといたから」
 「そりゃ有り難い。どんな説明したんだ」
 「………………………………」

 こっちを見ろ。凄い気になるだろうが。カズミネは思いっ切り話を逸らすような口調で、実際に話を逸らした。

 「でも佐藤先生には説明が要らなかったよ。HRの時とかは特に苦労しなかった」
 「流石佐藤先生だな。状況説明無しでも全てを把握していたという訳だ」
 「いや、シュウヤの存在に気がついていなかった」
 「ちょっと待て教師。受け持ったクラスの生徒の体調確認はおろか存在確認すらやっていないだと?」

 担任教師の重大な失態が露見した。まぁ詳しく聞かれるよりはましだったのかもしれないが、せめて「どうした?大丈夫か」位は聞いて欲しかった。寝てたから応えられないけど。

 「しかし、カズミネもカズミネだけどな。俺が金欠だなんて今回初めてじゃなかろうに。いきなり意識を奪ってくるからビックリしたぜ」
 「悪かったとは思ってるよ。けどシュウヤも、僕との短くない付き合いで、僕が寝起きの機嫌が超悪いって事を察して欲しかったな」
 「別に放課後とかに話しても良かったんだけどな」
 「じゃあ最初っからそうしてくれると助かるよ………………」

 そうすると面白くないじゃないか。という言葉は言わずに飲み込む。

 俺の残高は美しく幻想的で清らかな0ポイントではあるが、今すぐ死ぬという事は決してない。

 ただポイントが無いという事は、物品を買う事も出来ず、食料もロクに口にしていないということなのだ。この学園には、ポイントが無くなった生徒の為に無料で、僅かな種類の食料や物品を寮で配布している。快適に過ごす為の物ではなく、最低限生きていく為の物を配布している辺り、社会の厳しさを改めて教えられる今日この頃。

 無料で配布される食料は基本野菜だ。それもキュウリ。マヨネーズは寮の食堂で貸出されているので、俺はそれをかけて食べているが、いずれ限界が近づく。

 俺も食べ盛りの高校生だ。キュウリだけ食べていると本気で死の危険を感じる。俺がキュウリだけを食い始めてもう二日といった所か。一番長くて一ヶ月程キュウリだけ食べていた時期もあったのでまだ耐えられると思うが、なにぶんそれも中学の頃の話だ。高校一年生としては、毎日のように肉を食っていたいものである。

 しかしキュウリを食べていると水を飲む必要があまりないので、ある意味便利食材ではあるのだが。

 「残念だけど、今回僕はポイント譲渡出来ない」
 「そうか、まぁカズミネにいつまでも縋っちゃいけないしな。たまには自分で何とかしてみるよ」
 「そうしてくれそうしてくれ。そして僕が今までに貸したポイント全額返してくれ」
 「在学中には不可能だな」
 「断言する所がシュウヤらしいよ」
 「しかしそうなるとポイント稼ぎが出来るものなんて………………」
 「“アレ”しかないんじゃない?僕も今回真面目に優勝狙ってみるよ」
 「学年戦、か」

 月一で開催される学年全体で行われる大規模トーナメント戦。参加は自由だが、毎回おおよそ八割強の参加率を誇る。

 参加するだけで2000ポイント。カズミネ曰く、優勝なら100000ポイントは貰えるらしい。俺が準優勝した時は50000ポイント貰えていたのであながち嘘ではない。

 1円=1ポイントのレートであるこの学園での100000ポイントはかなり大きい。

 俺はバシッと拳を自分の掌に打ち付ける。

 「久しぶりに本気だすか。一ヶ月を過ごせるだけのポイントを目指す」
 「堅実な所がシュウヤらしいと思うよ」

 不純な動機かもしれないが、学年戦に参加する奴の心情なんて大体こんなもんなので特に気にする事なく俺達は寮へと足を進めて行った。
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