ヒーロー再誕 ~ヒーロー諦めた俺がもう一度ヒーローを目指す話~

秋月 銀

文字の大きさ
39 / 54
学園一斉清掃大会編

2話 いくぞ。C組へ襲撃を仕掛けろ

しおりを挟む
 「学園一斉清掃大会?ってなんなんですか?」
 「「え?」」
 「ほら、佐藤先生がホームルームで言ってたじゃないですか。来週にあるからって。私聞いた事がなくて、なんなのかなぁーって思ったんですけど」

 朝の軽い遊び喧嘩も終えて、佐藤先生のホームルーム終了後。星叶が俺達の席にやってきて発した一言に俺達は耳を疑った。

 星叶は、学園一斉清掃大会をしらない、だと……?今まで何をして生活してきたんだ。

 俺とカズミネは神妙な面持ちで頷き合う。アイコンタクトで会話した結果、星叶の冗談だろうとの決着がつく。

 「いや、だから勝手に納得されても困るんですけど。清掃大会ってなんのことなんですか?」
 「え?それ本気で言ってるの?」
 「待てカズミネ。記憶操作系の能力は……」
 「確かC組にいたね。よし、そいつが元凶だ。行こうかシュウヤ」
 「おう」

 ガタガタと音を立てながら俺達は席を立った。くそ……許せねぇ。星叶をこんな目に合わせやがった奴は俺とカズミネでボコボコにしてやる。さっさとソイツを探しに行かなければ、と思ったんだが、星叶が俺達の目の前に立ちはだかってくる。

 「いやいやいや!何でC組に突撃しようとしてるんですか!」
 「何でもクソもないだろ。お前の記憶を取り戻しにだよ」
 「記憶操作なんてされてませんよぉ!」
 「記憶操作に加えて洗脳まで…!待ってて星叶さん。僕達に任せておいてよ!」
 「いやだからあのですね!」
 「おい皆!聞いてただろ、星叶はC組の記憶操作系の能力者の手によって学園一斉清掃大会の記憶が失くなってしまった!取り戻しに行くぞ、失くした記憶をな!」

 うおおおおおおおお!!と湧き上がるクラスメイト達。頼もしい事この上ない。だが、上梨と山田さんはどうやらこのテンションについていけてないようだった。「俺も知らないんだが」「シッ、ここは黙ってて。面倒くさい事になるから」なんて会話が聞こえてきた。面倒くさくはないだろ。

 クラスメイトの殆どが一致団結し、教室の外を目指してぞろぞろと進んでいく。しかし相変わらず星叶は俺達の進路を阻んでくる。

 「どくんだ星叶。これは必要な制裁なんだよ」
 「いやだから私、転校生だから聞いた事がないだけなんですって!!」

 その星叶の叫びにシーンと静まり返る教室。そうだわ、星叶って転校生だったわ。あまりにも俺達に馴染み過ぎて、中学位からの友人レベルに親しくなっていた。多分、皆「そういえばそうだったな」って思っているはずだ。

 「ま、知ってたんだけどね。この流れはノリだよノリ」

 カズミネはケロっと表情をいつもの顔に戻した。クラスメイトもうんうんと頷きながら自分達の席へと戻っていく。あれぇー?そういえば、なんて思ってたの俺だけなの?本気でC組襲撃しに行こうとしてたんだけど。

 星叶は安心したように、ホッとため息をついた。

 「そうなんですか……それにしても迫真の演技過ぎですよ。完全に騙されてましたからね」

 まぁ演技じゃなかったしな。でもここは頷いておく。

 「まっさかぁ。清掃大会は確かに重要な行事だけど、知らないくらいで別クラスの陰謀を疑う程じゃないよ」

 疑ってたんだけどな。でもここは頷いておく。

 「それじゃあ結局、学園一斉清掃大会ってなんなんですか?」
 「その名の通りだよ。その日は授業はお休みで、生徒教師全員で学園内をキレイにしましょうって取り組み」
 「ほぇー……凄いですねぇ。…………それだけなんですか?」
 「うん?目的はそれだけだよ」
 「この学園にしては普通ですね」
 「星叶も月陰学園に慣れてきたって事だな」

 だいぶ勿体ぶった様だが、学園一斉清掃大会とはホントに清掃活動だ。

 この月陰学園の規模はかなり広い。俺達の今いる校舎も含まれる学園エリアや以前にも行った商業エリアなど、色々なエリアの集合体を「月陰学園」と呼んでいる訳だ。小さな遊園地などより確実に巨大だ。勿論、定期的に清掃業者を呼んでいたりもするのだが、業者さんばかりにこの広大な学園を清掃させるのも申し訳ないとの事で始まった行事だ。生徒達からしたら迷惑極まりないはずなのだが。

 しかしこの行事には文句一つ出た事はない。それは何故か。

 実はこの学園一斉清掃大会に於いて、生徒達が拾ったゴミの量により、ポイントが貰えたりするのだ。このシステムが上手い具合に作用している。ただの清掃活動なら、やる気を出さない生徒は大勢いるが、報酬でポイントが貰えるとなると話は別。皆、目をギラギラ輝かせながらゴミを探す殺伐な行事になっちゃってる。

 まぁ俺もその中の1人なんだけどね!

 学年戦と違い、学園一斉清掃大会は1年に一回しか無い。この貴重なポイント稼ぎの場が、今年もやってきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

姉の忘れ形見を育てたいだけなのに、公爵閣下の執着が重いんですが!?~まっすぐ突き進み系令嬢の公爵家再建計画

及川えり
ファンタジー
突然届いた双子の姉からの手紙。 【これをあなたが読んでいるころにはわたしはもう死んでいることでしょう。わたしのことは探さないでね。双子を引き取ってもらえないかしら?】 姉の遺言通り双子を育てようと姉の嫁ぎ先へと突入する。 双子を顧みなかったという元夫のウィルバート公爵に何とか双子を引き取れるよう掛け合うが、話の流れからそのまま公爵家に滞在して双子を育てる羽目に。 だが、この公爵家、何かおかしい? 異常に気付いたハンナは公爵家に巣くう膿をとりのぞくべく、奮闘しはじめる。 一方ハンナを最初は適当にあしらっていたウィルバートだったが、ハンナの魅力に気付き始め……。 ハンナ・キャロライン・バーディナ 22歳      バーディナ伯爵家令嬢         ✖️ ウィルバート・アドルファス・キングスフォード 26歳      キングスフォード公爵 ブックマーク登録、いいね❤️、エール📣たくさんいただきありがとうございます。 とても励みになります。 感想もいただけたら嬉しいです。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました

歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と 罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、 エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」 辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。 商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。 元夫が「戻ってこい」と泣きつくが—— 「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」

処理中です...