ヒーロー再誕 ~ヒーロー諦めた俺がもう一度ヒーローを目指す話~

秋月 銀

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学園生活日常編

1話 凄い暇だったから

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 時間は流れるのが早いもので、学園一斉清掃大会からはや2週間。季節は夏。カレンダーでは7月を示していた。

 衣替えはとっくに行われており、生徒は皆半袖になっている。女子も男子も関係なく薄着になるこの季節、俺はとても待ち遠しかった。この言い方だと男子の薄着も見たい様に捉えられてしまうな。男子の薄着は別に興味ない。誰得だよ。

 夏になって半袖になっても俺のやる事は特に変わらず、朝一番に教室に乗り込み勉強だ。勇者検定の3級は合格していたので、次は2級を目指す。テキストを開いて、文字に目を落とす。しかしあまり内容が頭に入ってこなかった。今の俺の脳内にあるのは、会長とのあの会話。俺が新たに設立される委員会、風紀委員の委員長に任命された、あの時だ。

 公式発表の後にあの腕章は渡してくれるらしいが、あれから2週間たった今でも会長からの連絡はない。カズミネに頼んで、ちょいちょい会長に問い合わせてみたものの、毎度毎度上手いことはぐらかされる。そのせいで風紀委員の話は嘘なんじゃないかと思うまである。

 頭が別の事しか考えられない今、勉強に集中出来るはずもなく、俺はテキストを閉じた。さて、勉強以外の何かして過ごすか。

 読書は好きだ。主にライトノベル。しかし今は持ち合わせていない。よって読書は無し。

 睡眠でもするか?寝る事も大好きだが、二度寝しようと思う程眠たくないしな。睡眠も却下。

 ちらりと教室前方に設置されている時計へと視線を向ける。時刻はまだ7時前。こんな時間に登校しているのは俺ぐらいしかいない。星叶が登校してくるまで、後30分近く待たなければいけない。

 ………凄い暇だ。

 こんな時こそ勉強するべきなんだが、その肝心の勉強に力を入れることが出来ていないしな。

 少し散歩でもしてくるか。そう思い立った俺は、席を立って教室を後にした。

◆◆◆

 特に目的もなく歩く事、数分。流石に今から校舎を出るのは躊躇われたので、高等部の敷地内をぶらぶらと歩く。

 高等部に進学して、もう3ヶ月近く経った今でもまだ校舎内は見慣れない。と言うより見たことない場所の方が多い。今だって、どこ歩いているかわかんないもん。てか、ここ校舎内じゃなかった。あえて言うなら、中庭みたいな場所にいつの間にか来ていた。

 とても快適そうな場所だ。ベンチもあるし、ここで昼食なんか食べる事が出来そうだ。今度カズミネとか誘ってみるか。

 「………ん?」

 中庭の端に設置されていた花壇。その付近に女子生徒がしゃがんでいた。金髪に近い茶髪を後ろで一つにまとめている。どこかで見たことあるような後ろ姿だ。なるべく音を立てない様に近づく。そこでようやっと女子生徒の正体がわかった。

 「愛川かよ」
 「え?きゃ!な、ななななんで貴方がここにいるのよ!」
 「なんでってな……暇だったからとしかな………」
 「なんなのよその曖昧な理由は……」

 飛び上がる程の勢いで驚いた女子生徒。生徒会書記の、愛川だった。その勢いでここに来た理由を尋ねられたのだが、答えに困る。本当にその理由しか持ち合わせていないんだが。他に説明のしようがない。

 愛川も、俺がここに来た理由を詳しく追求する気はないのか、視線を花壇に戻した。

 「そういや何してたんだ?」
 「花壇の手入れよ」
 「生徒会の活動なのか?」
 「違うわよ。私が好きでやってる事。元から花が好きだから」

 花壇を覗くと、確かに花が植えられている。先程植えたばかりなのか、愛川の手は土で汚れていた。丁度良いや。やる事もないし愛川の手伝いでもするか。俺も、愛川の隣にしゃがむ。

 「俺になんか手伝える事はないか?」
 「そんな……悪いわよ」
 「俺が好きでやってる事だ。気にすんな」

 そう言ったら、愛川側から熱気が漂ってきた。あっつ。今の季節が夏という事もあってかなり熱い。なんでこんな熱気が出てるのやら。

 そそくさと愛川からポットに入った花を渡される。

 「………じゃあ、花を植えるの手伝って。後、草抜きとかもお願いしたい」
 「わかった」

 それから俺は愛川と並んで、花壇に花を植えたり、雑草を抜いたりして過ごした。暇だった朝の時間は、愛川の手伝いをしていたらあっという間に過ぎ去っていた。
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