ヒーロー再誕 ~ヒーロー諦めた俺がもう一度ヒーローを目指す話~

秋月 銀

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学園生活日常編

3話 赤点回避!

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 「おはよーシュウヤ。今日はどうしたのさ」
 「どうしたってのはどういう事だよ」
 「だっていつも真っ先に登校してきてるのに、机の上には荷物しかないから神隠しにでもあったのかと」
 「そう思ってたのなら、もう少し心配してくれてもバチは当たらないぞ」
 「やだなぁ。僕が君を心配してたらまるで仲良しみたいじゃないか」
 「え?俺達仲良しじゃなかったの?」

 まさかの友達と思ってたのは俺だけ?一方的だったというの?これが片思い……!なんか気持ち悪いな。

 ただ仲良くない宣言は普通にダメージを食らう。ショックなんですけど。危うく昇天しそうになった俺にカズミネはニヤリと笑いかけた。

 「だって僕達は親友じゃないか。仲良い仲良くないの範疇で収まると思ったら大間違い……ってアレ?ちょっと?なんで頭を掴むの?」
 「腹が立ったからだよ」

 両手でカズミネの頭をしっかりと掴んでそのまま前後にシェイクシェイクシェイク。あばばばばばばばばばとカズミネが言語崩壊するまで揺すってやった。ホント腹立つわコイツ。

 気が収まったので両手をカズミネの頭から離すと、だいぶヘロヘロになっていた。少し申し訳ない気持ちにならないでもない、訳でもない。当然の結果だ。

 「それで…、シュウヤが朝にいなかった理由って……?」
 「勉強に集中出来なかったから、校舎内探検してたんだよ。そしたら中庭で愛川を見つけたから、愛川と花壇の手入れしてた」
 「ほえぇそうなんだ。愛川さんに何か変な事言われたりした?」
 「何だそのイジメを心配する母親のような口調は。何にも言われてないから安心しろ。前みたいに尖ってなかったしな」

 俺は今朝の愛川を思い出した。学年戦の鋭い目つきはどこへやら。本来の瞳で柔らかく微笑む愛川の表情を思い出そうとすると、また顔が熱くなる気がして途中で止めた。

 カズミネも特に興味はなかったのか、それ以上追求してくる事はなく、俺も自分の席に着席した。暫くカズミネとくだらない話を繰り返していると、佐藤先生がやってきてホームルームが始まる。またいつも通りの日々が始まる。

 「わかってるとは思うが、来週からテストだ」

 いつも通りの日々崩壊。

 「なんでそんな事言うんですか……!」
 「血涙でも流しそうな勢いで歯噛みしながら言うんじゃないぞ田中。テストがあるのは事実で変えられないのだからな」

 あぁ…またこの季節が来たのか。夏は嫌いじゃないけど、夏にあるテストは嫌いだ。そのせいで、夏という季節に苦手意識すら存在する。

 月陰学園は、国で唯一の能力者育成機関だ。だからと言って、他の学校と何が違うのかと言われれば能力者がいる事くらいしかない。後、特殊な行事が多いな。

 能力者が集められているというだけで、普通の学校となんら変わりない月陰学園にも勿論ペーパーテストなるものは存在する。そりゃ毎日授業があればその成果を発揮する場が合っても不思議ではないんですけどね。ええ。

 ただ、月陰学園が他の学校と比べた時の利点と言えば、テスト実施日数の絶対数の少なさである。先程も言った通り、この学園には毎月学年戦があったり、学園一斉清掃大会とかいう大規模な行事があったりと、イベントには事欠かさない。その為か、テストは一学期事に一回しか実施されない。要するに年三回しかテストを受けなくていいのだ。

 そして、テストを受ける教科は普通の高校と全く一緒だ。能力学とか特別な教科は一切存在しない。普通の学生の如く、二次関数ってなんだイオン式ってなんだと毎日呪詛を吐いている。吐いているのかな?吐いているよな。

 しかしここで大きな問題が。一学期事に一回しか実施されないとしたら、当たり前だがテストの出題範囲がエライ事になるのだ。おかげでテスト前日なんて眠る事さえ出来やしない。普段から勉強しとけばいいんだが、俺が普段勉強しているのは検定問題ばかりであって授業の予習復習なんかは一切していない。

 テストの点が悪ければ、勿論追試になるし補習もくらう。それだけは回避したい。このテストを乗り切らない限り、真に夏は訪れたとは言えないのだ!

 「やってやるぜ赤点回避!」
 「志はもっと高く持てよ田中」
 「そんな事言ってシュウヤって毎回平均点くらいだよね」
 「うるさいな」
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