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学園生活日常編
5話 ワンパンタイム
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休日。土曜日。
ピピピ、ピピピと枕元で存在を主張し続けている目覚し時計も、今日は無視する。起床時刻を告げる電子音のリズムは段々と速くなるばかりだ。無視を決め込めば決め込む程、ピピピピピピ!と焦った様にうるさく響く。
しかし俺は無視をする。
目覚し時計は頑張って俺を起こそうと奮闘していたが、暫くすると静かになった。布団の中で俺はほくそ笑む。フッ、どうやら今日は俺の勝ちらしいな。少しもしないうちに眠気がやってきて、ウトウトしだす。もう一度寝てしまおう。二度寝だって許される。
だって今日は休日なんだから。
「だってもクソもないよ!朝っぱらから目覚し時計の音がうるさくてうるさくてしょうがないんだから!」
俺の部屋のドアをバタン!と大きな音を立ててカズミネが俺の安眠阻害の為に乱入してきた。何故かは知らないが、俺の考えている事がわかるらしい。そして多分お前の方がうるさいな。
しかし、カズミネの言っている事も一理ある。目覚し時計を止めて二度寝するべきではあった。
「それは素直に申し訳ないな。
でも考えてもみてくれよ。目覚し時計がなる時間体なら大体皆起きて活動を開始している頃だ。そんな時間に目覚し時計が隣室から聞こえてきても、うるさいとは思っても、そんな怒鳴り込む程じゃないだろ?」
「怒鳴り込む程だよ!今何時だと思ってんのさ!」
「そんな時間がわかっている様な口ぶりで人に時刻を訊ねるもんじゃないだろ。わかっているなら聞くんじゃない」
「良いからさっさと答えて」
「お、おう」
やべぇ。カズミネが割りと殺気立っている。ホント最近のカズミネは怒りっぽいな。以前にも同じ様な流れを体験した気がする。デジャヴかな?
あまりカズミネを待たせるのもアレなので、俺は布団の中でよいしょよいしょと身じろぎをして枕元の目覚し時計に手を伸ばす。アナログ式のその時計は2つの針で、俺が普段に起床している時刻より1時間も遅い時刻を指し示していた。
「………5時だな」
「馬鹿じゃないの!?」
カズミネの叫びに、身体がビクッと跳ねる。
「いや、馬鹿ってなんだ馬鹿って。5時起床なんて遅すぎて二度寝を決め込む始末だぞ」
「君はジジイか!5時起きが遅すぎなんてジジイか!!」
「なんだと!?じいさんだってもう少しぐっすり寝てるわ!多分毎日4時起きなのはそこまで人数いないだろうが!」
「ああそうだろうさ!だったら僕が4時起きじゃない事くらい想像出来たでしょ!」
「勿論出来たさ!お前はそんな事さえ理解出来ないのか!」
「理解したくはなかったよ!想像出来たなら目覚し時計を止めてくれよ!」
ギャーギャーと俺とカズミネの口喧嘩が、早朝5時の男子寮内に響く。多分俺達が一番うるさいな。
ここで遅れながら、男子寮の説明をさせてもらう。外観だけなら東京にでも建っていそうなオシャレな5階立てマンション。勿論このマンションも高等部専用だ。俺はそのマンションの5階の一番端の一室に住まわせてもらっている。
月陰学園の寮は、デリケートな存在である能力者生徒一人一人のプライベートを尊重してくれている為か、全室一人部屋となっている。おかげで部屋を自分好みに彩る事が出来る。寮暮らしの楽しみの一つと言ってもいい。そんな中、一人部屋最大の悩みと言えば話相手がいない事にあると思う。しかし俺にはあまり関係がない。
なぜなら隣はカズミネの部屋だからだ。俺達は良く互いの部屋に行き来しているので、2人で2部屋という感覚まである。という事で、今更カズミネに遠慮なんかするのもアレなので俺は言い返した。
「待てよカズミネ。俺だって目覚し時計を止めないのは申し訳ないと思っていたし、それでカズミネが苦しむって事も想像出来ていた」
「うん。じゃあ何で1時間も無駄に目覚し時計を鳴らしたのか、理由を聞こうか」
フゥーと息を吐いて、最大限の笑みを見せる。
「カズミネだから……別に良いかなぁ、って」
その次の瞬間からの事を、俺はあまり覚えていない。
ただ見えたのは、カズミネが瞬く間に布団にくるまる俺まで距離を詰めてきた後、布団を剥がして俺を空中に上げた。ぶわっと浮遊感がおれの身体を包み込み、世界が俺の能力を使ったかのようにスローに映る。そしてヤバイと思った。俺の瞳に映るカズミネは、腰をしっかりと据えて右手を引いた正拳突きの構えだった。
その正拳突きが放たれるのを最後に、俺の意識はブラックアウトした。以前はフルボッコだった様な気がしたが、どうやら今回はワンパンだったらしい。手加減くらいしてくれカズミネ……。
ピピピ、ピピピと枕元で存在を主張し続けている目覚し時計も、今日は無視する。起床時刻を告げる電子音のリズムは段々と速くなるばかりだ。無視を決め込めば決め込む程、ピピピピピピ!と焦った様にうるさく響く。
しかし俺は無視をする。
目覚し時計は頑張って俺を起こそうと奮闘していたが、暫くすると静かになった。布団の中で俺はほくそ笑む。フッ、どうやら今日は俺の勝ちらしいな。少しもしないうちに眠気がやってきて、ウトウトしだす。もう一度寝てしまおう。二度寝だって許される。
だって今日は休日なんだから。
「だってもクソもないよ!朝っぱらから目覚し時計の音がうるさくてうるさくてしょうがないんだから!」
俺の部屋のドアをバタン!と大きな音を立ててカズミネが俺の安眠阻害の為に乱入してきた。何故かは知らないが、俺の考えている事がわかるらしい。そして多分お前の方がうるさいな。
しかし、カズミネの言っている事も一理ある。目覚し時計を止めて二度寝するべきではあった。
「それは素直に申し訳ないな。
でも考えてもみてくれよ。目覚し時計がなる時間体なら大体皆起きて活動を開始している頃だ。そんな時間に目覚し時計が隣室から聞こえてきても、うるさいとは思っても、そんな怒鳴り込む程じゃないだろ?」
「怒鳴り込む程だよ!今何時だと思ってんのさ!」
「そんな時間がわかっている様な口ぶりで人に時刻を訊ねるもんじゃないだろ。わかっているなら聞くんじゃない」
「良いからさっさと答えて」
「お、おう」
やべぇ。カズミネが割りと殺気立っている。ホント最近のカズミネは怒りっぽいな。以前にも同じ様な流れを体験した気がする。デジャヴかな?
あまりカズミネを待たせるのもアレなので、俺は布団の中でよいしょよいしょと身じろぎをして枕元の目覚し時計に手を伸ばす。アナログ式のその時計は2つの針で、俺が普段に起床している時刻より1時間も遅い時刻を指し示していた。
「………5時だな」
「馬鹿じゃないの!?」
カズミネの叫びに、身体がビクッと跳ねる。
「いや、馬鹿ってなんだ馬鹿って。5時起床なんて遅すぎて二度寝を決め込む始末だぞ」
「君はジジイか!5時起きが遅すぎなんてジジイか!!」
「なんだと!?じいさんだってもう少しぐっすり寝てるわ!多分毎日4時起きなのはそこまで人数いないだろうが!」
「ああそうだろうさ!だったら僕が4時起きじゃない事くらい想像出来たでしょ!」
「勿論出来たさ!お前はそんな事さえ理解出来ないのか!」
「理解したくはなかったよ!想像出来たなら目覚し時計を止めてくれよ!」
ギャーギャーと俺とカズミネの口喧嘩が、早朝5時の男子寮内に響く。多分俺達が一番うるさいな。
ここで遅れながら、男子寮の説明をさせてもらう。外観だけなら東京にでも建っていそうなオシャレな5階立てマンション。勿論このマンションも高等部専用だ。俺はそのマンションの5階の一番端の一室に住まわせてもらっている。
月陰学園の寮は、デリケートな存在である能力者生徒一人一人のプライベートを尊重してくれている為か、全室一人部屋となっている。おかげで部屋を自分好みに彩る事が出来る。寮暮らしの楽しみの一つと言ってもいい。そんな中、一人部屋最大の悩みと言えば話相手がいない事にあると思う。しかし俺にはあまり関係がない。
なぜなら隣はカズミネの部屋だからだ。俺達は良く互いの部屋に行き来しているので、2人で2部屋という感覚まである。という事で、今更カズミネに遠慮なんかするのもアレなので俺は言い返した。
「待てよカズミネ。俺だって目覚し時計を止めないのは申し訳ないと思っていたし、それでカズミネが苦しむって事も想像出来ていた」
「うん。じゃあ何で1時間も無駄に目覚し時計を鳴らしたのか、理由を聞こうか」
フゥーと息を吐いて、最大限の笑みを見せる。
「カズミネだから……別に良いかなぁ、って」
その次の瞬間からの事を、俺はあまり覚えていない。
ただ見えたのは、カズミネが瞬く間に布団にくるまる俺まで距離を詰めてきた後、布団を剥がして俺を空中に上げた。ぶわっと浮遊感がおれの身体を包み込み、世界が俺の能力を使ったかのようにスローに映る。そしてヤバイと思った。俺の瞳に映るカズミネは、腰をしっかりと据えて右手を引いた正拳突きの構えだった。
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