とある少年の奮闘記

シンさん

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到着

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毎日レイモンドに疑われながらも、無事ミクニレニアに到着!


「で、ここがうちの統治領なのか…?」
「そのようですね。」

嘘でだろ…。
ゲロ吐きまくって、海賊に襲われて、やっと着いた統治領がこれ…?
想像以上に何もない。

原住民達は俺達を見て、蜘蛛の子を散らすように消えていった。

「俺達、もしかして嫌われてる?」
「歓迎されてはいないですね。」

やはりこの国でも人望は全くない王子なんだな、俺は。まぁ、その方が良いけど。俺、小太郎だし、期待されると困る。
そうだ、俺はこの国で王子だという事を隠して生きていこう。

「ん?」

誰もいなくなったかと思ったら、男の子が走ってきて俺に石を投げてきた。

「わっ!?」

トマスがそれをキャッチしたから怪我はしなかった。

「ジーク様、お怪我は?」
「ない。」

「父ちゃんを返せっ!!」
「父ちゃん?」
「うるさい!帰れっ!!」

もう1つ石を投げて、男の子は走って逃げてしまった。

「どういう意味だと思う?」
「内容は解りかねますが、どこかに無理矢理連れていかれて、帰ってこない…という状況なのでしょう。」
「無理矢理って、誘拐されたのか?大人の男が?」
「いえ、そうとは言い切れませんが。」

だったら、『返せ』というのはなんなんだ。
気にはなるけど、今は自分の事を優先しよう。

「はやく家に行こう…。なんか、体がフラフラするし。」

船を下りても、何だか変な感じ。まだ揺れてるような、そんな感じ…。

「1ヶ月も海上にいたので、陸になれるのに暫くかかりますよ。」
「そうなの?」
「はい。」

神様とやらよ。取説魔法は要らないから、俺に安住の地をくれ。

馬車に乗って家に向かう途中に、人だかりが出来ている。
何か美味しい物でも売ってるのかもしれない。

「あそこ、見に行いきたいんだけど。」
「はぁ、解りました。」

ちょっと見るだけなんだし、溜め息つかなくてもいいだろ。…と思うけど、トマスに睨まれたら恐いので言わない。

「…なぁ、あれは何をしてるんだ?」
「…わかりません。」

人だかりの中心には、褐色肌の男2人、女2人、子供1人が木の檻のような物に入れられて、生肉のような物を食べている。
それを、まわりでケラケラ笑ったり気持ち悪いと言って見ているのは、多分本土の人間。
肌の色と目の色、服装でそれは誰でもわかる。

「うぷ…」

ヤバい、また吐きそうだ…。
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